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essay エッセイ
最近はこんな読書12 2月24日
  しかしながら、本を選ぶのは困難だ。
  読書の習慣がない人に推薦するのも難しいし、習慣的活字中毒者に薦めるのもやりにくい。ただ、それだけを理由にしてしまえば何も始まらない。


『甘露なごほうび』『同2』  渡辺満里奈

  Hanakoに連載されていた食に関するエッセイ。
  タレント本ということで、「どうせ本人が書いてないよな」という批判もあるだろうが、そんなことはどーでもよくなるほど面白い。

  10回のうち7回くらいは「近所のどこそこに出かけてコレコレを食った」という話。本の帯にもあるように、なんだか無茶苦茶な大食い女のようである。
  2回くらいは「遠くのどこそこに出かけてシカジカを食った」という話。仕事で地方や海外に言ってるのか、メシのついでに仕事してんのかという食べっぷり。僕はたくさん食べる女性が好きなので嬉しい。
  1回くらいは自宅で食事。「深夜12時に独りお好み焼き」とか、ちょっとヘンな女である。

  文章は軽快で上手だ。少し毒が足りないが、これは掲載誌の性格にあわせたものだろう(彼女はかなりの毒舌家ではないかと推測されるけど・・・)。
  小池アミイゴのイラストもぴったりと文章に寄り添う。1話の分量も見開きで1ページということで、ちょうど一息で読み終える適量。

  僕の個人的な問題ではあるが、ちょっと残念なところが1つ。
  東京山手線内西部(表参道近辺?)にお住まいのようで、知っている店がほとんど出てこないこと。まあこれはしょうがないよな。千葉県習志野市実籾の焼肉屋を紹介されても困るもんなあ。やはり読者のニーズもあるだろう。

  だからといって、おシャレな店ばかりではないのもステキなところ。名著ではないが好著と言えます。


日本将棋用語事典』  原田泰夫(監修)

  タイトルとは裏腹に、将棋の初心者(コマの動かし方がわかる程度でOK)もマニアも楽しめる良書である。もしNHKで将棋を観ることが年に1回程度でもあるならば、即座に読んでいただき、将棋ファンになっていただきたい。

  内容は単純な「辞書」ではない。
  定義だけで終わる項目も多々あるが、ニュアンスを含めた(少しくどい感じの)説明が秀逸である。

>金底の歩(きんぞこのふ)
  受けの手筋の言葉で、金の真下(最下段)に打った歩のこと。(中略)飛車の横利きを止めるのには非常に堅い形である。ただし、底歩を打ってしまうと、その筋には攻めのための歩が使えなくなってしまうのと、うっかり二歩を打ってしまう危険性があるので注意したい。

  この「二歩」というのは、以前に日記で紹介したこともある反則である。
  まさにその日記に書かれているのは「うっかり二歩を打ってしまう危険性がある」パターンそのものである。
  このように、「ああ、実際にそういうのってあるよな」と感心させられる事典というのはケッコウ珍しいのではないか。
  また、欄外の「名棋士の談話室」というインタビューも簡潔でありながら面白い。ぜひ読んでみてください。


新宿熱風どかどか団』  椎名誠

  椎名を初めて読んだのは僕が11歳のときだ。
  彼の小説は好きではないが、エッセイは8割がた読んできた。本書は1980〜82年の椎名の人生史(というほどでもないような)である。1944年生まれの椎名が36歳前後。今の僕が35歳。ううむ。

  『本の雑誌』を創刊した椎名は35歳になってついに脱サラする。作家・写真家・映画監督として多忙な人生を始める最初の時期だ。本書にはないが、椎名の人生は大ざっぱにいって3段階だった(失敬。まだ生きてますが)。

1、20歳前後まで=不良少年・青年
2、35歳まで=まともではないけどサラリーマン
3、35歳以降=移動モノ書き男


  本書の「あとがき」と「文庫版あとがき」が内容の概略になる。

・1981年から出した4冊のシリーズの続き
・本書の続きも(自分が生きているから)あるが、書く予定は今のところナシ

  行き当たりバッタリというか、計画性のない作家であるのは間違いない。

  椎名のエッセイはどれから読み始めても同じように楽しめるが、もし「初椎名」であるなら、本書から入るのは一つの手だろう。今あるシーナ的人生の離陸の瞬間を見られるからだ。
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