各ページのご案内はコチラ
Copyright (c) 2004
takeshi nobuhara All Rights Reserved.
|
|
岡山での電車切り離し作業を終え、瀬戸大橋に向かう宇野線へ。
こんどは四国内の乗り換え状況について車内放送が始まる。まだ電車は1時間遅れ。
・僕の予定
高松着7:26
↓
食事(讃岐うどん)+切符購入(四国フリーきっぷ)
↓
高松発8:20徳島行き特急「うずしお3号」
・僕の現状
高松着予想8:11
↓
高松発8:20徳島行き特急「うずしお3号」
さあどうする。
「うずしお」は1時間ちょっとしか乗らない予定なので、朝食パスは不可能ではない。しかし、四国フリーきっぷは買わなければ始まらない。改札を出て、みどりの窓口へ行って、ホームに戻って・・・9分ではとてもムリか。
・徳島で乗り換える予定の鳴門線は切るか。
・次の「うずしお5号(9:47発)」まで待つか。
・そうすると空き時間が多く、未乗の牟岐(むぎ)線に乗れなくなってしまう。
・今夜の宿泊地は高知で決まっている。
・いっそのこと高知まで土讃本線で直行するか。
・それでは時間が余りすぎる。
・徳島線(徳島→阿波池田)だけはせめて抑えたい。
・いや、鳴門線を拾うか。
・しかしそれでは、せっかく特急にも乗れる四国フリーきっぷがもったいないか(鳴門線には特急がない)。
・いやしかし、牟岐線はとにかく抑えて、バスで高知に向かい「くろしお鉄道」で行くか。
・いやいやいや、それでは四国フリーきっぷが無駄になる区間が多い。
・ああ、どうすればいいのアタシ、あなたの好きにしてぇぇぇぇ!
などと時刻表と戦いながら楽しんでいると(読者は絶滅しているだろう)、寝台特急は8:12に高松着。
乗り換え時間は8分。ターミナル駅なのでホームは大きく、改札が遠い。まずは改札を出て切符を買わなければいけないから、これで8:20発の特急「うずしお3号」はムリだろう。「5号」までは時間があるから、ゆっくり過ごして計画を練り直すか。特急電車の「遅延払い戻し」は2時間以上の遅延に限られている(←めったにない。うまくできている)。
ところが。
みどりの窓口が空いている。1人待ちで切符をゲット。いつもはカード精算だが、チャンスと見て現金で払う。JR系では、サインの必要なカードは時間がかかると知っているからだ(←カードのスキャンと明細発券が遅いのだ)。
残り4分。いける。
改札のそばで弁当とお茶を買い、改札へ。お姉さんに訊く。
「喫煙の自由席は何両目?」
出発の2分前、僕はガラガラの車内で窓際の席を占領。
出発して、その瞬間に弁当を広げる。ああ、ひとり旅の楽しさよ、テツ旅の究極の瞬間よ!!
時は流れて牟岐線の終点は海部(かいふ)駅。
折り返しの徳島方面行き上り列車が来るまで1時間ちょっとの待ち合わせ。ヒマだ。昼飯どきだから、何か食べられればいいんだけど、食べられないと思うけど。
高架駅を降りると、僕のテツ道の師匠である宮脇俊三さん(作家。故人)が記述していたすし屋が一軒。
ボロくはないが、全く新しくない。正確な記憶がないが、氏も折り返し列車待ち合わせのために、夕方の1時間ほどをここで過ごしたとか。しかし「新しいすし屋」(その本は20年以上前のもの)は
>地元の兄さんのたまり場になっていて落ち着かなかった
とか。今は昼なので店は閉まっている。ラッキーかアンラッキーか。
駅の近くを歩いてみると、予想にたがわずそのすし屋以外に飲食店はナシ。コンビニもなし。店舗それ自体も皆無。人もネコも歩いていない。やっぱな。
時間があるし、いい天気だし、空腹だ。
やや重い荷物を抱えているが、折り返しである海部駅の1つ徳島寄りにある「阿波海南駅」まで歩くことにする。ついでに店の1つでもあるだろう。
あるにはあった。
ショッピングセンター「ママ」。スーパーなのか八百屋なのかショッピングセンターなのか廃屋(はいおく)なのか。写真の通りなので、僕が立ち寄らなかったことは言うまでもない。時間が緩慢に流れている(止まっている可能性もある)。
阿波海南駅ももちろん無人駅。
やっと見つけたコンビニで買った缶コーヒーを飲みながら列車を待つ。あと40分くらいか。駅の目の前には膨大な空き地というか農地のなりそこねというか原野が広がっている。すげえヒマだ。天気はいいが寒い。待合室がないから(あるわけがない)、ホームで日なたぼっこ。もちろん客は僕1人だ。
部活を終えたらしい女子高生がホームにやってきて、お弁当を広げだす。
彼女たちにとっては日常・通常の行為であるらしく、ホームにたたずむ若いオジサン(僕のこと)に不審な目を向けてくる。そうだよなあ、こんな田舎の、まして乗換駅でも終着駅でもないところに、しかも列車が来るまで30分もあるのに、ぼけっとしてベンチに座ってるなんて不審者だよなあ。
ホームに白くて大きな野良犬が上がってくる。
シロ(勝手に命名)は女子高生たちにお弁当の余りモノを貰うのが日課のようである。
「あー、お前また来たんかぁ」
「きょうはあげないぞー」
「おなか空いてるのぉ?」
・・・これも日常であるらしい。
シロはきちんと白線の手前でお座りする。女子高生たちを正面に見据えて、「ごはんください」という顔をしている。なんかすごいとこに来たなぁ。
女子高生たちに声をかけてから写真を1枚。彼女たちがさらに不審な目で僕を見ているが、しょうがないかな。
徳島から吉野川と並行する徳島線。
ここで乗ったのは特急「剣山」である。特別車両は「アンパンマンカー」。4両編成のうち1両がアンパンマン仕様になっていて、子どもが遊べる作りになっている。遊んでいる子どもは2人だけだったけど・・・。
阿波池田で乗り換えて高知駅へ。
高知の安いビジネスホテル泊。
翌朝は高知駅8:18発の特急「しまんと1号」。
四国内の特急は3両編成がキホン。座席占有率は1〜3割程度で、ほとんどが自由席。しかし、この土讃線(高松→高知→窪川)だけは利用率が高いようで、特急「しまんと」は7両編成。僕がのった1号は乗車率5割近い。なかなかのものだ(旅の後半で、松山→高松間の「いしづち」なども同じ状況だと判明したが)。
窪川で予土線に乗り換え。
この予土線が今回のテツ旅で最もローカルな路線である。窪川→宇和島で鈍行のみ片道2時間、1日7往復。いわゆる盲腸線(終着駅が行き止まり)ではなく、終着駅も始発駅もベツの路線につながっているローカル線としてはローカルレベルがなかなか高い。
来ました、1両編成。もちろんワンマンカー!
ワンマンカーというのはバスと同じである。
乗車は車両後方のドアから、降車は前方のドアから。降車時に運転手が改札をするわけだ。路線のほとんどが無人駅なのである。
列車は山間(やまあい)を抜けて走る。
運転席の右後方という最善席を僕は確保している。運転手と同じように線路を観ながら実車できるから、普通のテツはできることならこの座席を確保したがるものだ(8歳くらいの子どもも確保したがり、奪い合いになることも多い)。
しかし、ロングシート(山手線他と同様に全座席が窓を向いているシート)なので右に首を曲げたままなのがつらい。
しかも雨が降ってきて、さらに温度が下がってきたのか、列車の窓が曇ってくる。景色が見えないじゃんか、線路が見えないじゃんか。せっかくの最善席なのに、せっかくの未乗区間なのにッ!
窓をティッシュペーパーで拭きたい。
いやしかし、座席を立って運転士の隣に行って窓を吹きだすというのは、一般客の目にどう映るのか。
ならせめて、席のそばの窓だけでも拭きたいけど、それも世間様はどう思うのか。
いいじゃないか、旅の恥はかき捨てじゃないか。
いや、恥の旅はかき捨てだったか。
あるいは、かき捨ては恥の旅か。
それとも、恥のかき捨ては旅なのか。
どれだ、イヤ、どれでもいいッ!!
風景が観たい、線路が観たいッ!!!
ああしかし・・・。
とジレンマを抱えているうちにワンマンカーは終着駅の宇和島へ。
やはり、拭くべきだったか。
かき捨てるべきだったのか。ああ。
|
|