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essay エッセイ
某有名中華料理店の対応 9月26日
  企業にからむ趣味があるわけじゃないけど、頭に来たのでメールを送ってみた。

  その店に行ったのは2回目だった。非常識に高いということはないけど、メニューに出ているコース料理は最低で3000円以上、最高で3万円程度という感じである。もう少し卑近な例で言うと、食事が終わるまでに3回もオシボリが出てくる。

  前回、つまり初めてその店に行ったときも予約をしていなかった。千葉県にはたいした店がないので(悪気ではないが事実だ)、飛び込みで「ちょっとゼイタクをしようか」というのが難しい。
  しかしサーブ(=料理の出し方)がかなり悪かった。飲み屋なら問題ない。しかし安くはない店で食事をするということは、それなりの対応を期待しているということでもある。庶民のささやかな喜び。特別なもてなしを期待しているわけじゃない。普通に気分よく、ちょっとだけ贅沢な気分を味わいたい。


  今回もそういうノリだった。5種類あるコースの中で安いほうから2番目のコースを頼み、ビールを飲みながら料理を待つ。うん、悪くない。それにしても前菜に入る前の「くらげのカクテル」が遅いな?

  前菜が先に出る。
  あれ?と思いながら食べる。メニューが下げられているから確認はできない。まあいいや。
  美味しい。食べなれないフクザツな料理を楽しむ。紹興酒(中国のお酒)を頼み、パクパク食べる。しかし3品目のあたりでハエが飛んでいることに気がつき、紹興酒のお代わりを頼むときに店員に注意を促す。

「飲食(店)でハエはダメじゃないすか?」

  紹興酒のお代わり。そのグラスに何かのゴミがついている。よくわからない。
  料理。狭いテーブル(何しろ予約してないからね)に大皿が2枚。皿のフチを重ねたまま店員は立ち去る。さすがに頭に来る。


  料理が終わり、「あとはお食事ですが、今お持ちしますか?」と店員が僕たちに聞く。僕は答える。

「いいですよ。ところで、何かのカクテルが最初に来るんじゃなかったんですか?」
「は?」
「メニュー下げられたから知らないけど、前菜の前に1品あったと思ったんですけど、あれは前菜の中にあったの?」

  彼女は確認に戻る。
  テーブルに戻ってきて、忘れていたんだと彼女は謝る。別に、それだけだったらそれでいい。でもそれだけじゃない。


  僕はハッキリと、しかし小さな声で不満を口にする。いいかげん過ぎるんじゃないの? コース料理って、コースで値段をつけてるんだろ?
  彼女は平謝りして下がる。
  しばらくして、店主に近い人が謝罪に来る。僕はにこやかに

「あなたは責任者? 名刺でもいただけますか?」

と言う。真剣に怒っている。本気のときには、大声なんか出さない。

  会計のときに責任者が僕の連れに月餅(げっぺい。マンジュウのこと)を渡す。そういう問題じゃないんだけどな。


  帰宅した僕は名刺を見てHPを発見し、メールを当日中に出す。


>突然のメールで失礼します。
×市に在住する信原健志と申します。
先日、お店(××店)で食事をさせて頂きました。

貴店のグループには、たまにお邪魔しております。
私のような庶民にとっては敷居が高い店でありますので、たまに出向くときは若干の緊張を伴っていく程度の客です。
整然とした店内、いかにも!という感じの高級店の空気を感じながら、メニューではなく値段を見て注文せざるをえない程度です。
正直に言えば、1年に1回もお邪魔をするのが精一杯というところです。

しかし逆に言えば、それでも伺いたくなるだけの魅力を持った店だと思います。
確実にきちんとした料理と雰囲気を味わえる店はそれほどたくさんあるわけではありません。お店の名前の社会的知名度も高く、友人に「・・・・・・に行ったんだ」と話をすれば 「ああそれはきちんとした食事をしたんだね」 という反応を予定調和的にもらえるレベルのお店です。
先日も突然に「ちゃんとした食事をしたいね」ということになって、予約もせずに伺いました。

貴店にお邪魔したのは今回が2回目です。
門前払いされずに食事ができただけ幸せなのかもしれませんが、2回とも料理のサーブの方法などに強い不満を覚えました。

しかし、基本的な考え方として、

・給仕がシロウトであっても、きちんと順序は知るべきではないか?
・料理の簡単な説明はするべきではないか?
・料理を提供するときに、2枚の皿が重なることがないようにするべきではないか?
・たとえ予約のない客でもきちんと案内するべきではないか?
・ハエが飛んでいる料理店があっていいのか?

という疑問を強く感じました。
もちろん、貴店の混雑状況や優先順位があるのだろうとは思います。

しかし我々が安いコースを頼む客であったとしても、

・カクテルという食べなれない料理を楽しみにしている。
・食べなれないからこそ、添えられた見慣れない野菜の名前を知りたい。
・その一部が重ねられた皿で食事をしたくはない。
・飛び込みでもそれなりの料理を食べたい。
・ここは台湾の屋台ではない。

という希望が叶えられればうれしく感じたと思います。


このようなメールを書いて、お読みいただいたのは、それだけ貴店、あるいは貴店のグループに信頼を寄せているからです。言い換えれば、「もう2度と行くものか」と感じたわけではありません。
私事になりますが、私も客商売の職業を持っております。いつも素敵なサービスを提供できれば最善ですが、そうもいかないというのが現実です(笑)。何回も失敗をして、それでも改善して、あるいはお客様もそれを期待してくれる(であろう)という希望を持って努力しています。

私のような卑小な人間=個人事業主でもそうですから、貴店のグループのような大きくて立派な組織なら、そういう改善もきっとあるだろうと信じております。つまり、もう行くものかで済ましてしまうことができないだけの魅力が貴店のグループにはあります。


なお、料理に関しては全く問題はなく、それどころか期待にかなう素敵なものでした。
最後までご高覧いただきありがとうございました。
貴店および、貴店のグループのますますの発展をお祈り申し上げます。
失礼します。

追伸:月餅を美味しくいただきました。ありがとうございました。


  これを書いたことで、あるいは送ったことで僕の気分は晴れている。
  そして返事が翌日のお昼前に来た。


>・・・・・・(グループ名)・・・・・・店の店長、・・・と申します。
  この度は数あるお店の中から当店をお選び頂いたにもかかわらず、 不都合をおかけいたしまして誠に申し訳ございませんでした。
  また、貴重なご忠告を頂きまして誠に有難うございます。
  今後は、従業員教育を再度行い、お客様に気持ちよくお食事していただける 店舗にしてゆく所存でございます。

  大変恐縮ですが、お伺いさせて頂き直接謝罪とお礼をさせて頂きたいので、 信原様のご住所とお電話番号をお教え頂きたいと思いますので 宜しくお願いします。


  どこかのJRと違って対応が早い。
  さすがに客商売であることを意識しているのだろう。すぐにメールで返事を出したら、その夕方には留守電が入っていた。
  翌朝、電話を受け取る。平身低頭の店長は「ご自宅にお伺いしてお詫びをしたい」と言う。僕はこう答える。

「もうこの件はこれで終わりにしましょう。わざわざお越し頂かなくても結構です。すぐに対応してくれたし、また機会を作っていった時にはよろしくお願いします」


  僕だって愉快に食事をしたい。
  田舎の果てにある、まともな料理屋くらいたまには行きたいじゃないですか。僕のような貧民が買っているのは、気分なんだ。


追記:その後、挨拶状くらいは来るかと思ったらそこまではなかった。知人の話によれば、同じようなケースで某ファストフード店はクーポン券を送ってきたという。
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