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大学潜入家その2 3月10日

  東京は飯田橋駅の、新宿寄り改札を出る。
  目の前は外堀通りをまたぐ牛込橋である。右に行けば東京理科大、左に行けば 法政大である。女子学生比率を考えて左手にお城の跡みたいな石垣が見 えるので左へ。石垣は江戸城の門跡のようだ。牛込門だったと思う。ここから皇 居まで歩けば20分以上かかるから、やはり江戸城というのは巨大な城だったとわ かる。

  JR総武線の飯田橋から市ヶ谷にかけての車窓。
  千葉方面からの上り電車の場合、左手は崖で右手は外堀である。つまり総武線 は城跡のヘリを走っていることになる。やはり鉄道たるもの・・・と書き出すと 「テツわる」になっちゃうな。

  左手の崖の上にあるのが「外堀公園」。
  公園といっても崖の上にある幅10メートル足らずの散歩道である。桜の名所で 、ちゃんと時期になれば花見客がブルーシートを敷くところだ。ときどきTVの ニュース画像にもなる。


  公園を歩いていくと左手に大きな病院がある。
  10分足らずで本日の目的地、法政大学に到着。3月初旬ということで入試もす でに終わっている。大学の授業がなくてもキャンパスは開いている。大学潜入家 として一言申し述べておくと、3月は大学構内を散歩するのに適した季節である 。サークル活動などでほどよく学生がいるし、大学院生や教授風情もチラホラし ているし、潜入者=不審者とはなりにくい時期なのだ。

  門前には警備員がいるが無視。
  「なんだ、あいつは?」くらいには思われているかもしれないが、たいていは こっちの自意識過剰である(と思う)。

  門の左手で大きな工事をやっている。
  何かの建物の落成が近いようだ。工事の概要を示す掲示があるが、大学潜入家 はこういうものを凝視してはならない。不審者候補に昇格する恐れがあるからだ 。


  まずはキャンパス中央部の掲示板へ。
  ちょうど卒業や進級の発表時期なのか、チラホラという形容詞ではちと足りな いくらいの学生風情がいる。大学潜入家も大学生に混じって掲示板を見る。教務 課の「学生呼び出し掲示」とか、なつかしいよね。

  校舎に潜入。
  横長の建物の左側が「55年館」で右側が「58年館」というらしい。そのわりに 2つの建物は棟続き。増築されたとか、そういうことなのだろうか。建物は古い 。
  20人乗りくらいの巨大なエレベータが全部で6つくらいある。ドアの開閉速度 が非常に遅い。「天の岩戸」とか「インディー・ジョーンズ的」という比喩を献 上したい速度だ。もちろん巨大なドアなのだが、開閉に2秒くらいかかるのでは ないか。デパートの三越日本橋本店にあるような開閉スピード、と言えばわかっ てもらえるだろうか。

  この55年というのは昭和ではあるまい。
  しかし、西暦だと築52年くらいになってしまうのだが、どっちなんだろう。築 52年で7階建てとすれば、今はともかく当時は相当立派な建築物になる。


  6階へ。
  最上階の7階を試したいが、最上階は警備されている可能性があると見たため 自重。幸いなことに学生も警備員もいない。吹きさらしの喫煙所に出てみる。す ると、外階段が全てスロープになっている。車椅子でも昇降できるくらい。うー ん、築52年ですでにバリアフリーだったのだろうか。あるいは後年になってこの 外階段を付け加えたのだろうか。それにしても、スロープも建物と同じくらい古 びている。

  喫煙所から隣の敷地を見下ろす。
  中学校か高校らしい。このあたりは共立女子とか和洋九段とか嘉悦女子とか、 比較的古いというか名門というのか、女子高が多いことを僕はあらかじめ知って いる。この法政大学もそうだし、靖国神社の近辺は意外な文教地区なのである。 あ、調べたのではなく、職業上知っているということです。誤解しないように。 (今ネットで調べたら三輪田学園という中高一貫校だった。ジロジロ見てしまっ たのはまずかったな)

  古いボロいと悪口を書いたが、トイレだけは例外だった。
  ピカピカである。トイレだけ改装したらしく、「我が大学は、トイレだけは平 成時代ですから! ミレニアム越えですから!」という大学当局の意気込みが感 じられる。ウォシュレットまではなかったが、ちゃんと手を乾燥させるアレ(← なんて言うんだっけ?)も装備されている。学生がいない時期ということもある のだろうが、掃除も行き届いている。


  「58年館」の隣にタワービルがある。
  これは知っている。有名なボアソナード・タワーだ。ボアソナードは法学者で 法政大学の創設者(だと思う)。早稲田でいう「大隈講堂」の現代的法政版とい うところだろうか。26階建ての象牙の塔。すごいね。

  観察すると、最上階の26階には「ラウンジ」と「スカイロビー」があるらしい 。
  勇気を振り絞ってエレベーターへ。さっきのエレベーターの3倍くらいのスピ ード。3倍は大げさかな。でも2倍じゃないと思う。耳が痛くなった。

  26階で降りてみると警備員はいない。
  「ラウンジ」からは外が見下ろせるようだが、何かのイベントをやっているよ うで入れない。「スカイロビー」は結婚式のロビーみたいな作りで、ドアがたく さんある。外を見下ろせる大きな窓があるが、バカっぽい法政大生♂3人が地べ たに座って占拠している。渋谷ストリート系というのか、腰からクサリをぶら下 げているようなファッション。

  バカか、お前ら。
  六大学だ(野球用語)MARCHだ(受験業界用語)の1つに数えられている くせに、「六大学・MARCHの落ちこぼれ」なんて言われるのはお前らのせい だ。地べたに座るのはイヌネコだけだろうが、腑抜け。ってか、オレが外を見れ ないじゃないか、どけッ!

  という勇気はなく、代わりにエレベータホールから外を見る。
  なかなかの絶景。まあ、夜になれば法政的バカップルがチューの1つもするた めに集まってきているのだろう。すごい偏見だな。


  一気に地下へ。
  そこに学食があるという掲示をチェックしておいたのだ。大学潜入家として、 学食のチェックは最優先事項。さっきの「58年館」のほうは時期的なものか営業 していなかったのだ。

  ほう・・・。
  オッシャレーな(死語)カフェテリアのようだ。中に踏み込める雰囲気はない 。けっこう多くの学生がたむろしているからだ。メニューなども店の奥のほうに あるようでチェックできず。後の課題にしよう。大学潜入家たるもの、1度の潜 入で全てを知ることはできないと自覚を持たなければならない。


  さて帰るか。
  ここでもトイレをチェックしておこう。女子トイレがあって・・・ん? 女子 トイレのドアには張り紙がある。隣の男子トイレのドアには張り紙がない。なん だろう。間違えたフリをして女子トイレのドアに近づく(潜入家たるもの一人芝 居は必須科目)
  It reads; (和訳=以下のように書いてある)

「このあたりに不審者が出没するので・・・」


  文末までは読めなかった。即座に建物を出て、キャンパスの外に出た(小走り)
  私は名誉ある大学潜入家として、不審者扱いされたくはないのだ。
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