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待ち合わせは大阪駅改札そばの「イカリスーパー」の前に10時半だった。
僕は京都駅で8時半に新幹線を降り、近鉄に乗り換えた。京都から大阪に行く
なら、そのままJR(普通は新幹線)を使うのが早いが、それではテツとは言え
ない。
京都から大阪に非JRを使うこと。
1、河原町から阪急
2、七条から京阪
これらが王道。
しかし1の河原町までは地下鉄を使わないと面倒だし、2の七条までは徒歩13分ほど。そこで京都駅から出る近鉄奈良線を利用。丹波橋で京阪に乗り換える。
京阪の終着駅は淀屋橋。路線地図で見ると地下鉄で大阪まで1駅ということで、
歩いて移動することに決める。
あ、これは「テツわる」シリーズじゃないのか。
では徒歩20分を省略して大阪駅にジャンプ!
待ち合わせの相手は某予備校講師(仮名M氏)。
今日が初対面。このHP「よびわる」で知り合ったのである。M氏と僕の旅行
の都合がたまたまビンゴして、大阪を案内してもらうことになったんやで。儲か
りまっか?
無事に落ち合う。
僕の顔はHPに出ているからいいとして、M氏の顔はわからない。しかし逢瀬
じゃないや落ち合うのは簡単だった。M氏が自転車を抱えていたからだ。自転車
?
まずはお互いの知識を得るためにお茶をする。
1時間足らずで打ちとけて、大阪観光へ。手段は自転車の2人乗り。いいのか
なあ。まあ、大阪だから何でもありなのかね。浪速ヤクザにからまれることに比
べれば、警官に注意されるなんて大したことじゃない。
彼の自転車には後部座席がない。
つまり、非運転者は後輪のどこかに足をかけて、運転者の肩につかまるのであ
る。うら若き高校生カップルなら微笑ましいが、30代も半ばになってこんなこと
をするとはッ!
まずは僕の旅行リュックを預けるために大阪駅近くのホテルへ。
M氏が運転する。後ろで立ち乗りする僕は彼よりも高い視点を得るので面白い
。言うまでもないが、通行人の視線が冷たい。大阪駅から徒歩5分くらいの繁華
街で、30男2人が自転車の2ケツをしているのだから。
しかも、視線の冷たさが関東とは異なる。関東ならば「見ないようにしよう」
という顔をするものだが、さすがに大阪では事情が異なる。
「なんやねん、わて
ら?」
という表情で我々を凝視するのである。
僕「あの、視線がきついんですけど」
M「あー、大阪の人は、じっくり見るんですわ」
僕「東京だと見ないフリするけど・・・」
M「いやー、大阪やと、ヘンなもんはじっくり見るんですわ」
僕「襲われたりしないんですかね?」
M「あー、大丈夫ですわ。ほんまおかしなヤツおるなあおもて(おもて=思って
)見とるだけですから」
2人乗り自転車の行き先は大阪環状線の最南端と思われる天王寺駅である。
大阪環状線と言われてもわからない読者が多いと思うので、山手線でたとえて
みよう。カッコの中が山手線です。
・だいたい最北端にあるのが大阪駅(→巣鴨駅)
・だいたい最南端にあるのが天王寺駅(→品川駅)
こんな感じ。
ただし、大阪の環状線のほうが輪が小さい。山手線は1周が1時間ほど、環状
線は40分くらい。直径にすると半分くらいなんだろうか。円周率の使い方がよく
わからないのでM氏に質問していみる。
僕「・・・ということで、半分くらいの広さですかね?」
M「あの、信原さんって」
僕「なんです?」
M「地理的把握というのは、常に電車が基準なんですか?」
僕「テツなもので・・・」
食事を済ませてから難波(なんば)へ。
大阪名物の巨大なカニとか、阪神ファンがやめろと言われても飛び込む道頓堀
の何とか橋のあるあたりだ。さすがに観光客が多い。自転車の運転は、混雑時が
M氏、そうでなければ僕が引き受けている。よってこの界隈ではM氏の運転。こ
のあたりが環状線の描く円の中心らしい。M氏に有名なタコ焼店「本家日本一大
だこ」でおごってもらう。
通天閣にたどり着いた。
ちょっとおのぼりさんやりましょうや、とエレベーターで見晴台へ。高さは100メートルくらいか。手ごろな高さだ。いい眺め。
見晴台には「幸運の神様 ビリケンさん」と名付けられた銅像がある。
説明板には「20世紀初頭のアメリカの女流美術家が夢でみた奇怪な神の姿を像
にしたのがビリケンさん。当時のアメリカで大流行したそうです」とある。はて
、それが通天閣とどういう関係があるのか? 説明は続く(以下原文ママ)。
>この神様、合格と良縁には特に力強いパワーを発揮してくださいます。このビ
リケンさまに願いごとをする時は、足の裏を掻くのが特徴です。
ひどい日本語だし、ひどい内容である。
なぜこの像が通天閣にあるのか全く説明がない。まあ良縁に効果があるなら・
・・と掻いてみる。あるのかなあ。ってか、それでどうしてこのビリケンさんが
通天閣なんだろうとM氏に訊いてみる。
M「さあ・・・。まあ、大阪ですから・・・」
僕「カルチャーショックだなあ」
M「まあ・・・大阪ですから・・・」
見晴台から路面電車の駅が見える。
なんだろうあれと質問してみると、「あー、あれがチン電なのか、ここから出
てたんですね」とのこと。見晴台を降りてダッシュ。
正式名称は阪堺電軌である。
やはり路面電車のようだ。ちょうど電車が出るまで5分くらいということで飛
び乗る。自転車は折りたたみ式なので持ち込みできる。ここ「恵美須町」から「
住吉」に向かい、そこで乗り換え。チン電は「天王寺駅前」に向かう。
この説明もちょっとわかりにくい。
さきほどの阪堺電軌のリンクで路線図を見ていただければありがたい。また山
手線にたとえると、こうなる。
・恵美須町=大崎駅
・住吉=大井町駅
・天王寺駅前=品川駅
環状線の外側にちょっと飛び出すわけだ。
乗車時間は住吉まで15分、そこから天王寺駅前までも15分くらいだったか。混雑はしていないが空いてもいないくらい。バスと同じノリで利用される路線
らしい。大阪にも路面電車があったとは。
M「大阪も10年以上いるけど、初めてでした」
僕「そうか、関係ない地域ですね」
M「あることは知ってたんですけどね」
僕「つき合わせて申し訳ない」
M「・・・ま、先生、テツですよね?」
天王寺から鶴橋駅方面へ向かう。
山手線でいうと品川から新橋に向かうような感じ。北東はこっちの方向だろう
と太陽を見ながら移動を続ける。近鉄の上本町(うえほんまち)駅が見えてきた
。この駅は鶴橋駅のとなりということ。M氏は夕方から仕事で近鉄電車で移動す
るとのこと。ここで自転車激走旅は終了。
今回は2人のりだったのでスピードが出なかったが、1人のりならば確かに大
阪環状線内は狭いようだ。
今まで大阪の街を歩いたことは数回に過ぎない。もちろん徒歩と地下鉄で移動
していた。でもこうやって自転車で移動してみると、今までは観ることのなかっ
た大阪の「空気」が見えたような気がした。まあ、もう1度走ってみたいかと訊
かれると、えーっとという感じはしなくもないけれど。
大阪、いいところですよね。
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