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大学潜入家その3 4月28日
  京都は叡山電鉄、二軒茶屋駅で降りる。
  駅前に「京都産業大学最寄り駅」という看板があったからだ。

  ああ、京産大。
  きみよ、こんな京都の山奥にいたのか。
  旺文社の入試問題正解に常に入試問題が掲載され、その伝統的な文法の出題内 容ゆえに、数多くの問題集に「出典;京都産業大」と記される君よ、こんなとこ ろに。
  ハッキリ言って、こんな僻地に君はありしか。


  「ありしか」なんていう古文はないかな。
  ま、とにかく山奥にあったわけだ。本当に知らなかった。京都にある大学と言 えば、京都大、同志社大、立命館大が有名だろうか(全て潜入済み)。七条には 京都外語大もある。しかし、京産大がどこにあるのか、どれだけ観光していても 気がつかなかった。きみよ、こんな山奥で・・・しつこいな。


  さて、二軒茶屋駅からは大学へのシャトルバスがあるという。
  しかし今は2月末で大学の休眠期間であるから運休している。それでも二軒茶 屋駅で降りたのは、明らかに京産大生と思われる人影を目撃したからだ。つまり 歩いていける距離のはずだ。

  徒歩15分くらいだった。
  駅を出て正面徒歩1分くらいで大通りに出て、そこを左に曲がるだけ。道に迷 うことはないだろう。裏門のようなところから潜入しよう。

  大学に潜入する経路は、堂々と正門から、というのがいい。
  人通りが多いから「誰何→逮捕→拉致→監禁」という事態が発生しにくいため だ。しかし今日は最初に見えた門が裏門のようだ。しょうがないなあと門番のお ばはんに声をかける。

「あの、ただの旅行者なんですけど、中を見学させてもらっていいスカ?」

  おばはんはニコヤカに許可をくれる。
  名前と住所くらい書かされるかなと思ったがそういうこともなし。ま、これだ け堂々と潜入する悪者もいないだろうが。


  なかなか大きな大学だ。
  キャンパスは山のふもとにある。内には露天エレベーターもある。露天じゃ風 呂みたいだな。屋外、というのか。もちろん屋根はある。山の下のほうにキャン パスがしがみついている、というイメージ。

  3分ほど歩くとキャンパスの中央あたりに出た。
  大きなキャンパス案内図が出ている。3月入試の願書受付のようなものをやっ ていて、チラホラと人影もある。雪もチラホラ降っている。よし、7号館を目指 すか。順路に迷うかもしれないから、念のため案内図をデジカメで撮影。便利な 道具だ。

  なぜ7号館かというと、そこに学食があるから。
  潜入した以上は、大学生の生活を見なければいけない。生活と言えば、食であ る。大学で食と言えば、もちろん学食。華麗なる三段論法が成立した。


  7号館の食堂は、基本的に教職員食堂だった。
  しかし学生の利用も可能。教職員専用エリアとそれ以外に分かれている。2時 過ぎということもあって人は10人くらいしかいない。メニューも休眠期間という ことで少ない。5種類くらいかなあ。

  今日のランチは「若鶏のカツレツ470円」。
  注文を申し述べると品切れとのこと。なら他は大丈夫かと確認してから、ショ ーウインドウに戻り、今度は唐揚げカレーを注文。390円。

  トレーにのっけて席につく。
  味はまずまずだったが、写真のようにスプーンがなかった。箸やドレッシング がある場所を丁寧に捜索したのだが発見できなかったのだ。ここで潜入家が

「スプーンがないぞ、店主を出せ!」

などとやるのはマズイだろう。あくまで「潜入させていただく」のが潜入家とし ての流儀だ。しかし、レンゲで食べるカレーって味気ないよな。


  学食を出て散歩。
  ローソンがあった。その4階にも何かの店舗がある建物。よし、潜入するか。 こういう、人の集まる場所に入っていく瞬間の、背徳感が、いい。たまらない。 イケナイことをしている感じ。

  外階段から上がっていく。
  店舗が開店しているのかどうかハッキリしない。はっ。掃除のオババが3階に 。

「何でもございません、ただの老け顔の学生です」

というオーラを発しながら通り過ぎる。しかしオババは明らかに不審の目を向け てくるので、

「他意はございません、ただの大学潜入家です」

というオーラも残していく。4階につくと、店舗は閉まっている。ドアを2つ抜 けた先に店舗が展開するようで、何の店かわからなかった。戻らねば。はっ。

同じ外階段を使わねばならぬ・・・
もう1度オババの前を通らねばならぬ・・・


  まずいな。
  走るか。いや、それではますます怪しい。マフラーで顔を隠すか。それもまず いな。よし、さっきと同じくオーラ作戦だ。俺、今から透明人間ッ!

  息を殺してオババのそば2メートルを通過。
  駆け出したいという衝動と自分の気配というクビを入念に締め上げながら小走 りに去る。僕の背中にオババの視線が突き刺さっている。

「あんた、不審者でしょう」

と思っている気配が強く伝わってくる。お前はイタコかヌエかシャーマンか霊媒 師か化け物か。おそろしや、京産大名物掃除オババよ。


  中庭のようなところに出る。
  人工芝がひかれて、ちゃんと噴水もある。テーブルや椅子も用意されていて、 お昼どきには女子学生がお弁当でも楽しく食べるのだろう(イメージ)。カップ ルもいちゃいちゃやるのであろう。

「とものりくーん、あ〜んして?
「よせよぅ、エリカ」

とか(イメージ)。けっ。
  もちろん今は誰もいない。潜入してから40分ほど、ずっと細かい雪が降ってい る。人のいない大学はさみしい。

  キャンパス中央の野外エスカレーターで正門へ。
  このあたりに来ると、どこからともなく人が集まってくる。さきほどの願書受 付(?)のためなのか保護者らしき姿もあるし、もちろん学生もいるし、職員や 教員らしい中高年も増えてくる。もう僕は不審者ではない。雪が激しくなってき た。

  バス停があって、ここから市内へバスで出るのが基本的な通学ルートらしい。
  バスは行き先別に3系統くらいあるようだ。少し待ってみたがバスが来る気配 もなく、バス停の行き先表示も「聞いたことはあるけど・・・」というものばか りなので、僕は二軒茶屋駅まで歩いて戻る。潜入を開始した裏門を通過して、徒 歩20分ほど。

  それにしても、あの掃除オババは恐かったな。
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