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essay エッセイ
取り違える 6月11日

  他人の困惑は、ときには理解しがたい。


> 謎に包まれたウナギの生態の解明に挑む研究者たちに密着する。
日本人の好物、ウナギ。盛んに行われている養殖のウナギは、ほとんどが雄に成 長するという。なぜ、雌にはならないのか。性別はいつ決まるのか、産卵場はど こかなど、正確には分かっていない。
諸説を検証しながら、ウナギの神秘に迫る。
(毎日新聞2006年06月16日)


  どういうことなのだろうか。


>謎に包まれたウナギの生態の解明

  謎に包まれていたのか。
  僕たちが小さいときに、よく見かけたじゃないか。どこにでもいるというわけ ではないけれど、見たことがない(たとえば)小学生なんかいなかったはずだ。 時代が流れて、かえって謎に包まれてしまったのか。ザリガニや赤とんぼのよう に。僕は覚えている。「いや、俺、特に自己主張とかないんだけど」という目を して、彼らは遠くを見ていた。


>日本人の好物、ウナギ。

  日本人がよく食べるのだろうか。
  しかも、体言止め。僕は食べたことがない。高級食材なのだろうか。たとえば 、京都の老舗料亭『吉兆』で予約するとか。しかし、「好物」と評されるからに は、ある程度の一般的な人気、英語で言えば popularity があるのだろう。そうい うことはよくある。カレーライスにソースをかけて食べるとか、麦茶に砂糖を加 えるとか。あれはカルチャーショックだった。そういうことかもしれない。


>盛んに行われている養殖のウナギ

  養殖が、しかも「さかんに」?
  あれは養殖、と言えるのだろうか。養殖と言えばハマチとかホタテとか、魚介 類のような気がする。ニンジンやセロリを育てたところで、「養殖」とされるこ とはないだろう。「野に咲く可憐なモヤシ」という表現はないから、モヤシは養 殖かもしれないが。それにしても、「さかんに」とは。盛んなのに初耳というこ とは、僕が無知なのだろうか。


>ほとんどが雄に成長するという。

  ほとんどがオスにせいちょうする。
  雌雄同体と言えばカタツムリだ。地方によってはマイマイと呼ぶこともある、 あのナメクジが貝をかぶったようなヘンな昆虫のことだ。生殖するにあたって、 場当たり的に性別が決まると聞いている。小学生のころに、理科の授業で習った 。


>なぜ、雌にはならないのか?

  なぜ、メスにはならないのか?
  お前、今さっき「ほとんどが雄に成長する」と書いたじゃないか。オスになら なきゃメスだろ。オスになればメスにはならんだろ。オカマとかオナベとかに成 長するはずがないだろ。変な同形反復を使うな。これは新聞記事であって、メフ ィスト賞(SFが対象)応募作でもなければ、ポスト構造主義の論文でもないだ ろ。読者をなめるのもたいていにしろ。こら。


>産卵場はどこか

  た、タマゴを産むのか。
  タマゴを産む、日本人の好物。だったら、ニワトリだろ。養殖、というのはイ ワユル地鶏ではなくブロイラーということなのだろう。まあそれはわかる。しか し、今ここで話題になっているのは「謎に包まれたウナギ」だろうが。いったい この記事は何を伝えたいのか。何だというのだ。


>ウナギの神秘に迫る。

  神秘。
  そりゃ神秘だろう。キーワードを拾え。「謎に包まれた」、「日本人の好物」 、「養殖」、「ほとんどが雄に成長」、「産卵場はどこか」。これが神秘でない としたら何が神秘なのだ。神を冒涜するつもりか。読者を裏切るつもりか。将棋 の名人戦はどうなったんだ。ってか、早く神秘に迫れ。


  いったいしかし、どういう記事なのだ。
  もう1度よく読み直すが、どうしても意味がわからない。なぜ意味がわからな いのか検証するために、ここまで文章を僕は書いた。わからない、どうしてなん だろう。そして1年の歳月が過ぎた。








  ウナギを「ウサギ」と読み違えていた。
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