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おばさんにモテル。
おじさんにもモテル。昔からそうだ。それほど人相がいいとも思わないけど、
とにかく僕はおばさん・おじさんに話かけられることが多い。
鳥取駅前温泉で朝風呂を楽しんでいると、50代半ばのおとっつあんが関西弁で
話しかけてきた。
この旅行では新しい人との出会いが多いこともあるし、「こういうのも出会い
の1つであろうな」と適当に相槌を打っていた。大阪に住んでいて、バスで鳥取
にやってきたと言う。なぜかというと電車では遅いし高いし、バスだと早いし安
いし、ということらしい。
関西人あるいは大阪人の特徴と言えば失礼かもしれないが、彼らの中には初対
面であろうが何だろうがいきなりお金の話を始める人が多い。
しかも具体的な金額に話は及び、単純に安いだけでなく「どれだけ安くてどれ
だけトクしたか」という詳細なる事実に踏み込んでくるのだ。このおとっつあん
もご多分にもれずしつこい。どこから来たかと問われて「京都から電車で」と答
えると
「そらあかん。遅いし(確かに)、高いやないか(だってテツだもん)。大阪か
らバスがええわ・・・(以下具体的にどうしてええのかを説明)」
と止まらない。
タイミングをみてズラかろうと思ったが、話に切れ目がなくて困る。こういう
ときに限って湯船に入ってくるほかの客もいない。参っちゃうよね。
朝食会場のテーブルには部屋番号を示す札が掲示されている。
1人客は僕ともう1人の誰からしい。僕は302号で誰かは301号。しかし301号
のテーブルだけ食事の内容が違う。値段の高い客なのかなあとモグモグ食べてい
ると、さっきの関西おとっつあんがやって来た。あ。
おとっつあんが301号だった。
僕の隣のテーブル。同じ向きに椅子が用意されているから、普通は目を合わさ
ずに食事ができるのだが、おとっつあんは僕に気がついて後ろを向いて話しかけ
てくる。おとっつあんはビールを頼む。女中さんにキリンかアサヒか問われて
「いやー、そらやっぱスーパードライがええわ。朝風呂のあとはビールだわ」
とのこと。
おとっつあんは
「鳥取観光はせんのか(これからするよ)」
「駅前の観光案内所はタダでええで(また金の話か)」
「これからどこ行くんだ(松江だよ)」
「松江は市内循環バスがあるで(詳しいな)」
「わいの部屋は洋室なんや(へーそうなんだ)」
「やっぱベッドが便利や(あんたはそうだろうけど俺は違う)」
「昨晩はカニをやめて××にしてもろた(連泊なのか)」
「カニなんてたいがい飽きるわ(俺は飽きない)」
と非常にうるさい。むこう向いて食えよ。ちったあ黙れよ関西人(-_-メ)
それにしてもこのおとっつあん、土曜から月曜にかけて島根連泊、話の様子か
らすると島根事情にも詳しいし、かと言って仕事で来ているようでもない。何の
職業なんだろうねえ。ま、僕も同じようなもんだけど・・・。
鳥取砂丘へ。
僕が持っている周遊券はバスも利用できる。鳥取駅前から20分ほど。砂丘それ
自体は僕の予想より小さかった。不毛の砂漠みたいになっているのかと思ったけ
ど。
鳥取駅に戻りテツ旅再開。
まずは米子まで移動して境港線を往復。これはたいしたことがなかった。テツ
は西に移動。夕方3時過ぎに出雲市駅に到着。ここから「一畑電車」という地方
ローカル線に乗るつもりだが、40分待ち。むーん。予定を変更して出雲大社へバ
スで向かうことにする。
25分で到着。
巨大なねじりハチマキに興味はないが観光ということでざっと観る。本堂(本
殿?)のようなところに上がってもいいようだ。ちゃんと下駄箱が用意されてい
るし、入場料を払うような場所もない。では本堂潜入。
寺の場合は何かの仏像なぞがあるのが普通。
しかしここは神社なのでそういうものはない。仏像の造作を見て「ほうほう」
とわかったフリをすることができない。でもやっぱり賽銭箱みたいなのがあるか
ら5円を投げ込んでお祈りをする。
嫁が来ますように・・・。
できればあおいさんでありますように・・・。
ふざけているのではない。出雲大社は縁結びの神様が祀られているそうだ(行
くまで知らなかったけど)。
お祈りもすんだし見どころはないしと本堂を出ようとすると、「お神酒を頂い
てください」という掲示がある。
近寄っていくと机の上にマンジュウのようなも
のが100個くらい並んでいる。なんだろう。手に取るとお神酒のための盃(さか
ずき)だった。「頂いてください」とあるのに、肝心のお酒が入っている酒器がテーブルの奥
のほうにある。なんだこれ、神社の誰かが注いでくれるんじゃないのか? そこ
で酒器に手を伸ばそうとすると
「すいません!」
と野太い声。
どこからか坊主(神官?)が出てきた。あんた何をやっているんだと訊かれた
から「頂けって書いてあるじゃん」と答えたら、
「それは団体のためのものです。すみやかにお引取りくださいッ!」
と僕を怒鳴りつけて去っていった。なんだなんだ。
おおむね、神社仏閣関係者というのはこういう態度を取る。
一般の参拝客を見下している。神様または仏様がバックにいるから、無闇にエ
バるのだ。もちろんこっち(参拝客)もそれがわかっているから、その坊主をぶ
ん殴りたいと思っても、神様または仏様に逆らってはマズイかなという遠慮が働
く。それをいいことに奴らは調子に乗っているのだ。クソ坊主め。けっ。
団体しか本堂に上がっちゃいけないなら、そう書いておけこのボケ坊主! と
叫びたかったが、すでに坊主は立ち去っている。
しかし「速やかにお引取り」と
いう表現は話し言葉で使うことがあるんだね。書き言葉だと思ってたよ。
「一畑電車」の出雲大社前駅へ徒歩10分。
ここから東に向けて走る路線がある。やはり時刻表を持っていないから、駅に
行かないとダイヤがわからない。しかしここはタイミング良く10分待ちで電車が
あった。1時間に1本くらいのダイヤなのでラッキーだ。
川跡駅で乗り換えて、松江しんじ湖温泉駅まで1時間弱。
地方ローカル線らしく、時間が止まっているようなのんびりした電車だった。
JRのローカル線にありがちな「学校がある駅で高校生大量乗車→大混雑」とい
うこともなかった。非JRを好むテツたち同志はどう思うのだろう。暗くなる前
に終点に着いた。松江しんじ湖温泉のしょぼい宿に泊まる。
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