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おっさんボーダーライン 2月17日
  こういうことを書くと確実にヒンシュクを買うよな、友だちが減るよな、世間が狭くなるよな、嫁が来にくくなるよな、と思うことがある。
  そう思うほどにモリモリ書きたくなるのが人情というものである(笑)。


  ウェブサイトを運営していると、若い人とメールをやり取りすることが多くなる。
  卒業生つまり大学生や若手の社会人とのやり取りは多い。現実社会でお目にかかることはないので、無意味というか無邪気なメール交換で遊んでいるわけだ。メールを書くのは得意ではないが好きなことでもある。

  もちろん普通の友人・知人ともメールを交わす。
  ほとんどが僕と同世代、30代中盤である。現実社会でお目にかかることが多いので、わりに淡白なメール交換である。「よびわる」で書くときとは違って、特に文章を凝らす必要もない(笑)ので気軽に書いている。


  さてここで本題に入る。
  つまり件名である。おっさんボーダーラインはどこにあるのかを、メールから検討してみる。自分がふだん書いているメールを思い出していただきたい。


1、おっさん以外の特徴

  かならずどこかに顔文字が入る。
  「かおもじ」とは、たとえば

「いい天気ですね(*^_^*)」

というアレである。かなりのおっさんになると、顔文字と絵文字の区別がついていない人も多い。絵文字はケータイ各社によって異なる(最近は共通するものもあるらしいが、僕はおっさんなので知らない)システムのことです。また、女子の場合は「☆」を使うことも多い。

2、おっさんボーダーラインの特徴

  顔文字を一応は使うが、ぎこちない。
  僕が「よびわる」で書いているのはこれに該当する。たとえば

「今日もいい天気だ、布団が干せるだよ(^^)」

など。一応は中心読者層に高校生を想定しているので(現実は異なるようだが)、無理なく顔文字を紛れ込ませようと配慮しているわけだ。それ自体に無理があるのだが・・・。

3、おっさんの特徴

  ああ、これを書くのイヤだなあ、笑。
  これ、的を射た真実で、しかもどうしようもないことなんだよ。辞めろって言ってるわけじゃないんですよ、僕も無意識にやってることだし。以下に具体例を書くことになるんだけど、明らかに「グサッ」とおっさんのハートをブレイクしちゃう(笑)ことを書くしかないんだよ。

  ごめんね、みんな仲良くしてください。
  このエッセイはあくまで全読者を対象にしたエンターテイメントだからさあ。わかってくださいね。これだけ前フリしとけば許されるだろ。では行きますよぉ。大丈夫ですか。ココロの準備体操はできましたかぁ? 悪で悪かったですね。笑。


  文末に、「笑」をつけるのがおっさん。


  バリエーションはいくつかある。

・何とかなりそうだよ笑。
・まだわかんないけどね、笑。
・嫁がくるといいね。笑
・今度はピンサロにしましょう(笑)。

  お気づきのように、このエッセイでは意図的にこれらの表現を前フリとして使っておいた。
  読んでいる途中で、おっさんもギャルも「何かヘンだな?」と思ったことだろう。失礼ながら、何も思わなかったのは「おっさんボーダーライン超越」もいいところです。笑。


  ところで、おっさん世代は「かっこわらい」と読まれる「(笑)」に嫌悪感を持っている。
  これは現在30代半ばにしか見られない世代的記憶である。なぜなら、モノゴコロついた10代後半の日々に、昭和軽薄体という文章形式がはやったからだ。「とワタクシは思うのでアール」みたいなやつね。その仲間に「(笑)」がある。カッコワライ、という軽薄な発音に嫌悪感があるのだ。

  そこで生まれたのが上記の4つの例のうち、上の3つ。
  あくまで個人的な経験に過ぎないが、断言できる。「文末に『笑』」をメールで用いるのは30代以上にのみ見られる事象で、それ以下の世代には皆無の表記である。

  あるいは、メールを受け取る僕が30代だから、それに合わせて「笑」と書いているという可能性もある。
  それは検証しようがない。しかし残念ながら、そして自戒を含めて言うのだが、老化が見え始めた30代の人はほぼ例外なく「笑」を使っている。わりに若くあろうと努めている人は30代でも「笑」は使っていない。じっさい僕も、その気もないのに何となくの流れで、メールでも「よびわる」でも「笑」を使ってしまうことが多い。


  しかしだからと言って、若者はおっさんを責めるべきでもない。
  僕を含めたおっさん達はウェブ文章における「やわらげ方」を体得していないことも認めてあげてほしい。20代以下の人たちとは違って、世間知を身につけた ときに、まだウェブという媒体を持っていなかったのだ。書き言葉と話し言葉の あいだに横たわる大きな峡谷に、橋をかける手段を持っていなかったのだ。

  たとえば、おっさん達の中には「よびわる」の顔文字を不気味に感じている人は多いだろう。
  そしておそらく、若者は顔文字について良くも悪くも思わないのが普通であろう。つまり、

おっさん達は、もともと顔文字という文化を持たない種族

なのだから、わかってあげてほしい。てか、わかってください(-_-;)


  それぞれの世代にはそれぞれの共通言語がある。
  それらを使うのは当たり前のことで、何も悪いことはない。しかし、その共通言語が使用者の年齢を不必要に感じさせるものであるとすれば、何とかしてそれを避けようとするのも大事なのではないか、という真面目な提案である。

  気を悪くした読者様には申し訳ない。
  でもきっと、メールを書くときに

「チョイこれはまずいか、おっさんくさいかな?」

と振り返ってみるのは良いことだと思う。ちなみに僕はこの手のことを全く気にしないほうである。だから自戒を込めてこのエッセイを書いている。事情をわかって使うようになれば素晴しいことだけど、人と水は低いところに流れるもんなんだよねぇ、笑。


追記:文章のニュアンスを示すためにカッコや顔文字などの記号を使うべきではないとする人も多い。英米のウェブでは顔文字はほとんど使われないとか、文章が練れていないからそういう記号が必要になるのだ、という議論である。しかしこれは無視するべきだ。もはやこの時代に、我ら現代人に、ニュアンスを示すためだけに文章を練る時間はない。友人間のメールのやり取りやチャットなどで「w」のような記号的表現を削除する必要はない。ここであげつらった「(笑)」も同じである。公的な文章で使ったら白い目で見られるが。誤解なきように。


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