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アイロニングというスポーツがある。
ご存知だろうか。アウトドアにアイロン道具を持ち出し、屋外でアイロンをかけるというスポーツである。たとえば、筑波山に登ってその山頂で
やおらアイロンをかける
というスポーツである。真面目なものらしい。寡聞にして(カブンニシテ=見聞が狭いさまを示す)よく知らないのだが、アイロンをかけるときに発生する
水蒸気だか何だかが体に良く、爽快感がある
ということらしい。
本当かよ、と思うでしょう?
本当なんですよ、これが。リアルに、「アイロニスト」を名乗り、アイロニングを普及させようとしているプロがいるのだ。先の筑波山の話はどこかで読んだ。
筋肉むくつけき若い男が山頂でアイロンがけをする
写真を撮らせているのだ。アイロニスト本人も恐ろしいが、その姿を写真に収めようと同行する人もおそろしい。
プロ、というのも恐怖だ。
どうやって生計を立てているのだろう。一般に山岳家に代表される冒険家たちは、少なくとも現代においては、スポンサーについてもらう。登山などに必要な経費などを出してもらうのだ。自分にはできないが誰かにやってもらいたい、そのためには金銭的な協力は惜しまない、というお金持ちはいつの時代にもいるものだ。相撲の世界では「タニマチ」と言って、力士の後援会を作ったり力士にお小遣いをあげている人たちがいる。
しかし、様々な疑問は残る。
そもそも山頂でアイロンかけてどうするんだ、という気はする。タニマチの人々は、
「おうそうか、××君、今度は八ヶ岳に挑むのか、がんばってこいよ」
などと応援するのだろうか。いったい、どのような支援動機なのだろうか。アイロニスト本人の動機付けにいたっては想像もつかない。
アイロンの熱源はどうするんだ、という疑問もある。
でもたしか、もともとアイロンってその中に炭火か何かを入れて熱源にするはずで、その手の準備をリュックサックの中に仕込んでいくんだろう。今は充電式のアイロンもふつうに市販されているし。そこまでして
アイロンをスポーツとして昇華させよう
という意気込みがあるのはすごいと思う。並みの発想ではない。登山をしたことがある人は世の中にたくさんいると思うが、屋外でアイロンをかけた経験のある人はあまりに少ないと思う。
僕も何かをスポーツに仕立てあげてみたいものだ。
新しいスポーツの創造は、新しい文化の創造でもある。僕にもできることはないだろうか? そうだ。
フトンホシイング
なんかどうだろうか。
我が人生の最大関心事、布団干し。これをもてスポーツにせむ。ディテールを決めなければ。
やはり、山頂だ。
海べりは海風で湿度が高いから向かない。手始めに、千葉県の鋸山あたりで。あそこはロープウェイもあるし、標高も300メートルくらいで組しやすいだろう。布団干しには何が必要か?
・布団
・布団干し竿
・布団止めバサミ4つ
かなり重装備な気がする。
布団止めバサミは楽勝だ。しかし、布団はどうする。いくらなんでも、フトンホシイストたる者がタオルケットではダメだ。ちゃんとした厚手の、できれば綿100%の、重い布団。羽毛布団なんか軽いからダメだ(そっちは『フトンホシイング・レディース』として独立競技とする)。
まして、干し竿。
最低でも干す部分に1本、支える足は2本必要だ。それじゃ自立しないから、足がなえみたいなものも2つ。リュックに入らないよ。竿は伸縮可能なものでOKとしたほうが、メーカーも喜んでくれるだろう。飽和状態の布団業界に新機軸が生まれるからだ。布団屋さんの店頭にポップが立つ。
>伸縮可能3本セット(フトンホシイング対応)
これが情宣活動になる。きっとタニマチが増える。
そうだ、情宣をしなければいけない。
僕はテレビが嫌いだが、自分を売るなら出演してもいい。世界初のフトンホシイストとして出るのだ。そうさな、『王様のブランチ』あたりでいいか。優香とか、いつ見てもキャミソール着てんじゃねーかといった、あのへんの女性にチヤホヤしてもらうのだ。
「こちらがいま流行のフトンホシイングの創始者、信原先生です。先生、フトンホシイングって、何が魅力なんでしょう?」
「ふむ、世界を知る、ってことですかね」
「世界、ですか?」
「うむ、布団を干すことで僕たちの世界は明るくなる。健康にもなる。人生が開ける。やはり、布団は干さなければッ!」
「・・・ここでVTRです。先生のフトンホシイングの実践をお届けしたいと思います」
画面:筑波山山頂で布団を干す私の図。
いいではないか、フトンホシイング。
まあ、発音しにくいという問題は残るが、あの爽快感は何にも劣らない。今に見ていろアイロニスト、世界を席巻するのはフトンホシイストだ!
しかし最大の問題は、
いつ実践するか、
だ。真面目に取り組もうとする人は、僕に連絡を取ること!
追記:アイロニングの記述に正確さは保証しない。でも、だいたいこんな感じだったと思う。
追記2:このエッセイを書いてからネットで検索すると、いろいろ出てきました。『エクストリームアイロニングジャパン』なんていうページも。なんかすごいよね、これ。
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