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牛とはちょっと違うと思うが・・・。  



















この景色を観るだけでも、函館に行った価値がある。  





僕の独り旅好きはここから始まったのかも。  












































最後にテツ系画像かいっ!  






























































































  

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essay エッセイ
テツわる青森・函館編その3 10月11日
  宿から一番近い停留所は「湯の川温泉」。
  その隣が「湯の川」で、市電の終点だ。チェックアウトするときに宿で 市内の観光マップを貰っておいた。市電とバスの路線図が出ていて、有名な観光 地のだいたいの場所が記されている。これで充分。半日の市内観光だから。

  まずは終点「湯の川」まで歩く。
  貰った観光マップには1日乗車券があると出ている。停留所にキップ 売り場はないので、運転手から買うのだろう。始発なので時間に余 裕があり、少し悩んでバスと市電に使える1,000円の1日乗車券を買う。おおまか な、そして勝手な僕の予想では、

1乗降平均200円前後
つまり
5回乗り降りすればチャラ

となる。何も計画していないし、半日だから元が取れるかどうか際どい。でも、 煩雑さと「ここでお金を払うのもったいないな」という気分で行動が制約される のが好きじゃない。損してもいいじゃないか。


  市電は街中を抜けていく。
  29分で函館駅前、そこから6分ほどで十字街(という繁華街)、さらに6分で 谷地頭温泉駅が終着。下車。何もかもが懐かしい。電車とは違う種類の感動が市 電にはある。終着停留所は終着駅ほどの風情がないのも良い。

  函館の街を歩くのは、4回目だろうか。
  最初は高校2年生で、次は大学3年生で、次は忘れた。いずれにしろ街のアバ ウトな位置関係は頭に入っている。だからこうして、宿の観光マップ程度で行動 できる。今日とは異なり、ふだんの旅では丁寧な下調べをしてから街を訪問する 。時刻表とは違った意味で、調べたことと現実を照らしあわせながら移動するか ら、街のおおまかな鳥瞰図は記憶に残っているのだ。


  谷地頭温泉駅から徒歩2分の谷地頭温泉へ。
  ここは公営浴場。先に触れた旅のどれかで入浴している。海が近いせいか、強 食塩泉だったはずだ。そのときは立待岬まで歩いて(徒歩30分)、途中にある石 川啄木の墓を見物した。今日はその時間もないので、函館山のふもとを散策する つもり。

  谷地頭温泉の建物はリニューアルされていた。
  清潔な公民館のようだ(公営だけど)。それを確かめてから歩く。函館公園と いうのが徒歩5分くらいのところにある。そこは未踏。着いてみれば小さな動物 園があった。人の気配は一切ない。左の画像は何かの動物。ロバとか馬とかユニ コーンとか、そういうものでしょうかね。


  そのまま函館山のふもとに沿って歩く。
  山を左側に見ながら歩けばいい。ときどき観光マップで位置を確認する。ほと んどの道は除雪されていて車の通りも少なく、歩きやすい。函館西高生らしき女 子高生の後ろをつけていく(たまたま、ですよw)。函館山ロープウェイの乗り 場を過ぎて、函館公園から10分くらい歩いたか。もうすぐ教会があったはず。

  ハリストス正教会。
  ああここは来たことがあったなと思う。敷地内には入れても建物の中は見学で きない。昔と同じ。その近くには八幡坂という観光スポットがある。函館山のふ もとで、港まで一気に見通せる坂なのだ。このあたりでやっと観光客に出会う。 独りで歩いているのは僕だけだ。この孤独感がいい。ひたすら歩く。

  函館は坂の町だ。
  前述のように山と海が近接しているので、こうして山のふもとを歩くと海が見 える箇所が多い。さきの八幡坂に限らず、山から下っていく坂道はたくさんある 。左の画像は八幡坂ではなかったと思う。オニギリが転がり落ちたらそのまま海 に入ってしまいそう。それくらいの急坂ばかりなのだ。


  5分ほどで、元町公園。
  旧函館区公会堂というモダーンな建物がある。神戸や小樽や横浜といった古い 港町がそうであるように、明治時代あたりの建物がたくさん残っているのが函館 なのだ。特に美しいというわけでもない。ただ、ああ珍しいな、古いんだなと観 て感動するだけだ。詳しい歴史やイキサツが知りたいというよりも、

そこに多くの時間が流れていた

という空気を感じるのが好きだ。

  たぶん2回ほど座ったことのある公園のベンチ(あずまやのように屋根がある )に腰かけて、きょう初めての煙草を吸う。
  公園のそこかしこに雪は積もっていて、少しずつ溶け出している。旧函館区公 会堂を横から撮ったのが左の画像。この角度で観るのがたぶん3回目、というこ とだ。


  ひたすら歩く。
  そのまま行けば外人墓地につくけれど、そこまでは行かない。大通りに出る。 坂を下って函館ドックに行こうかと迷っていたらバスが通りかかった。行き先を知らないままに乗ってみる。これも1日乗車券があるから。

  地図を取り出して確認するが、よくわからない。
  江差駅近辺と同様に、市民の足として使われるバスなんだろう。十字街に近い と思われるバス停「銀座通」で降りる。全ては行き当たりバッタリ。いいじゃな いか、どうせ僕の人生だって同じようなものだと海に向かって歩く。予想に違わ ず、十字街近辺を抜けたらすぐに海に出た。

  観光地化されている。
  神奈川県で言えば、金沢八景駅前よりモダーンで、桜木町よりアンソフィステ ィケイテッド(=洗練されていない)。赤レンガ倉庫をショッピングモール化し たものもある。このあたりは桜木町レベルだろうか。観光客も女子高生もいる。 ただひたすら歩く。


  函館ドック、つまり造船所のある近くには浮島がある。
  「緑の島」とか。こんなん昔あったかな。埋め立て地だろう。本土側には外国 人慰留地の跡地があるけれど、跡形はなにもない。長崎の出島のようなものだっ たが、すでに島の形跡はない。柵で囲われた跡地には雑草が生えている。つまら ない。

  緑の島は1周2キロ足らずと見て上陸。
  もちろん橋で本土とつながっている。八景島とそっくり。観光施設がないだけ 。これから作るのか、ずっと作られないのか不明。それでもオフシーズンなのか 島内のトイレはほとんど使えなかった。つまりシーズンにはそれなりの観光客が 来るのかも。

  ふたたび本土に戻り、市電の大町駅へ。
  函館駅に戻ろう。バス停じゃなくて電停で時刻表を見る。この時間なら、今か らでも千葉に戻ることができる。函館、さよなら。また来るからね。さあ、これ からはまたテツわるだよ。


  12時53分発「スーパー白鳥24号」。
  函館駅には12時半になる前に着いたから、みどりの窓口に行った。八戸駅から の新幹線の指定席を取るためだ。なんだよ指定なんか取るのかぁ、弱いなぁ、と 思ったそこのあなた。

新幹線「はやて」は原則全席指定

なんですよ。僕がこの旅で使っている「青森・函館フリーきっぷ」にも

>行きと帰りの新幹線は座席指定を受けられます

とあるのはこういう事情です。


  しかし、この「全席指定」というのはどうなんだろう?
  東海道・山陽新幹線の「のぞみ」も以前はそうだったが、今は一部に自由席が ある。新幹線は飛行機以上に「急用で飛び乗り」の客が多いはず。座れなくても いいから少しでも早く目的地に着きたいのだ、という需要も多少はあるのではな いか。たしかに、今は自販機で座席指定券が買える時代にはなったけれど(これ は鉄道史に残るべき快挙だろう)、もう少し融通が利くシステム、つまり

多少は自由席もある

状態のほうが好ましいかと思われる。


  ところで函館駅のみどりの窓口に話は戻る。
  函館からの「スーパー白鳥24号」も指定を取れるけどどうする? と訊かれた のだ。フリー区間から直接帰る(または直接行く)場合には、フリーエリア内で も特急の指定席を使えるというのだ。タダならいいかと指定を受ける。

  さて再び旅行記を離れる。
  もうテツ以外は読んでいないだろうが気にしない。盆・正月といった旅客多忙 期でなければ、地方の特急は、始発なら自由席でOKである。座れなかったとい う経験は一度もない。途中駅からだと、2人がけの席に1人で座る客に

「すいませんね」と声をかけてイヤな顔をされる

という経験が必要になるが、始発の場合はまず大丈夫だ(但し新幹線からの乗り 換え駅は例外)。指定席の料金は310円か510円が普通でたいした金額ではないけ れど、

「地方の旅行は指定を取らなければ」

という思い込みをしている非テツが多いようなので、余計なお世話ながら注記し ておく。あ、テツしか読んでないんだっけ・・・(^^ゞ


  海峡を越えて、14時45分青森着。
  ここで進行方向が変わる。方角的に同じじゃないかと思われるが、地方の大き なジャンクション駅をまたぐ列車は、このように進行方向が変わる場合が多い。 他の例としては、福島県の会津若松駅(磐越西線→磐越東線)などが挙げられる 。テツは細かいんだよッ!

  停車時間は6分。
  運転手も移動しなければならないからだ。いや、交代かもしれない。函館・青 森間は海峡線でJR北海道の管轄(正確には蟹田以南はJR東日本だが車両運用 から実質はそうなるはず)で、青森・八戸間はJR東日本の管轄だし。細かいと ころにムダに拘るのがテツ道だ。さて、喫煙者はホームに降りて一服。全線禁煙 は基本的に良いことだけど、長距離だとちょっときついな、というのも本音。


  八戸15時50分着で新幹線に乗り換え。
  旅の最後の弁当とビールを買って、ホームの喫煙所で煙草を吸って、指定席に 座る。たしかに、車内禁煙は喫煙者にとっても良い環境だ。東北新幹線の退屈さ については、あまり語ることもない。八戸発16:05分。

  東京着19時08分。
  正午過ぎまで函館にいたのに、6時間ちょっとで東京に戻れた。さすが鉄道。 飛行機よりもはるかに大きな旅情を残して、旅は終わりを迎えた。

やはり、旅はテツ道でなければ。


  この感想に異議のある人はいないだろう。
  もし読者がテツであれば。


                          (完)
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