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初めて手話の単語テストを経験した。
DVDを観ながら、そこに示された手話を読み取るものである。鬼講師T先生によれば、初級というより入門レベルとなる、ペーパーテストである。
なんといっても、設問形式がラクだ。
表現の直訳が印刷されていて、4択問題である。こんな感じ。
1:朝何時に家を出ますか?
2:朝何時に起きますか?
3:朝何を食べますか?
4:朝7時に起きます。
そうですね、これって選択肢を先に見ておけば、「どこを読み取れればいいか」が明確になる。このあたりはリスニングテストと同じだ。
1:家という手話はあるか?
2:時間を質問したか?
3:食べるという手話はあるか?
4:疑問文かどうか?
これらのポイントを抑えながら画面を見れば良い。
「朝」はわかってもしょうがないし、「何(時)」は「時」があるかどうかを見る。1なら「出る」、3なら「食べる」という手話がある。4は「7」という数字が出てこなければいけない。
はは〜、そうかあ。
これ、手話を見なくてもほぼ正解を特定できるな。選択肢間の共通点がいちばん多いのは、2だ。朝は全てと、何が1・2と、何時が1と、起きるが4と、疑問文が1と2だ。手話動作のどれが1つに自信がなければ、1か3か4を選んで間違えることになる・・・。
「それって、まさか?」
何?
「『例の方法』?」
はは、懐かしいなあ(^_^;)
そう思った人は、1961〜1971年生まれくらいじゃないかな。『例の方法』とは大学受験の裏技の1つで、1980年代に流行した。選択肢の作り方で正解がバレてしまう問題が多く出題されたために編み出された。もともとは(たしか)現代文で本文を読まずに正解を出す手段だったが、
英語長文の内容一致問題でも使える
という評判になった。なにしろ、本文を読まなくてもいいから、時間短縮効果が著しいという裏技だった。
もっとも、一時的な流行、にもならなかった程度のものだ。
僕が受験した80年代末期では、すでに
「ありゃあインチキなんじゃないか」
と思われていたが、実際に試してみると正解できる問題もたまにはあった。ハマル問題にはたしかにハマル。とくに某大学でこの攻略法が悪用されて、入学後に大学の先生たちがいぶかしんだとか。
「おかしいな、受験くぐり抜けてきたのに、ウチの生徒たち、最近バカが増えてないか?」
となったらしい。どこまで都市伝説なのかはハッキリしないが、そういうイカガワシサが昔の受験業界にはあったのだ。
手話のエッセイだった(-_-;)
これじゃあ『予備校業界の実情』みたいじゃないか。こういうのって、僕より少し年上の人だと、もっとたくさんのネタがあるはず。それは措いといて、手話に戻ります。
このくらいのレベルだと、ほとんど問題はない。
選択肢があるのもそうだが、単語のレベルが低い。先に挙げた選択肢なら、どれでも僕は完全に自分で表現できる。選択肢を先に見ておけば(とうぜん見たw)、自分で動作のイメージをして観れば良いから、なんてこともない。
ただ、問題は残る。
このテストは同じ動作を2回繰り返してくれるけれど、実際の手話はもちろん1回きりだ。その1回で読み取れなければ、頭まっ白である。音と同じで、動作はその場に残らない(残存する意志伝達媒体は書き言葉くらいだ)。手話が読み取れないことは鬼講師T先生でもよくあるという。
「そういうときはその場でストップかけて、その動作を真似して質問するの。そうしないと、ろう者はどんどん先に手話すすめていって、どんどんわからなくなるから」
まずはストップをかける勇気。
これがね、なかなか難しいんだ。ふつうに話していて、相手の話が見えないときも、だいたいはその後ろの話を追いかけて後から理解する習慣になっている。母語の能力というのは、それくらい高いレベルにある。だから、
「えっ、それどういう意味?」
と話をさえぎることはできるだけ避けたい。その習慣が、手話の場合でも自分をジャマするわけだ。
次に、真似すること。
見てわからないという場合は2つだろうか。1つは、その手話単語を知らないこと。しかしね、知らない動作を1回見ただけで繰り返すってかなり難しいよ。頭の中にサッと焼き付けておくものなんだそうだが、
先に不明単語だって知ってたわけじゃないしぃ、
と言いたくなる。もう1つは、見逃したとき、または見ても意味が想起できなかったとき。同じ動作をやろうとしても、実際と違う動作を「真似」してみると、ろう者は
「そんな動作してないよ」
と答えるらしい(注:ほぼ同じような動作だと、誤解の内容を理解してくれるとか)。
つまり、このレベルのテストで良い点数を取れても、まだまだ初心者ということだ。
一応はレベルも上がってきたけれど、僕が自信を持って「初歩的な手話ができますよ」と言えるのはいつのことだろうか?
「手話はまだまだ苦手です」
という手話はすでにできるんだけどね(^^ゞ
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