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その理由を質問するな。  































不審な行動が目立つ、それがテツ。  










































































































































凍死するかと思いましたよ、真剣に。  







  

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essay エッセイ
テツわる青森・秋田編その2 3月19日
  8時14分碇ヶ関発。
  大館に8時36分に着くから、通勤客で混雑しているかと思ったもののそうでも ない。雪がどんどん激しくなっていく。寒さに守られた鉄道の中から見る雪景色はたのしい。移動していくのも良い。移動していくから良い。

  大館駅で1時間半の待ち合わせ。
  ローカル線に乗りかえるのではなく、ただ秋田方面に行くだけなのにダイヤがこれほど薄いのだ。ならば宿を出るのを遅らせればいいと思うだろうが、そうすると

碇ヶ関10時45分発

鷹ノ巣11時17分着

となり、鷹ノ巣から先が困る。「本線」とあってもローカル線に近い。ここは青森県か秋田県か、よく知らない。


  大館の街でコーヒーでも、と思っていた。
  が、予想したように危惧したように、街は駅から遠く離れているようだ。一般に地方の古い駅は、よほどのターミナル駅はともかく、街の栄えた場所から数キロほど離れたところにある。古い街にとって、鉄道は邪魔物でしかない時代があったのだ。

  外は大雪だ。
  駅構内の地図を見ると、街の中心までは歩けば15分ほどかと思われるが、そんな元気のでる天気ではない。駅の待合室で時間をつぶすことにする。何とも時間効率が悪いなと思うが、これがテツ旅というもの。ドリップ式の自動販売機のコ ーヒーの味も寂しくて良い。


  大館発10時00分、鷹ノ巣着10時19分。
  たいした雪景色だった。鉄道は車にくらべて雪に強いけれど、限度もある。僕がこれから乗ろうとしているのは「秋田内陸縦貫鉄道」である。豪雪地帯としか思えないし、こんな山間の路線で立ち往生なんかしたら死の危険があるかもしれない。が、ここまで来たら乗るしかない。

  切り込みホームから出る1両編成はワンマン形式だ。
  専門用語がわからないか。「切り込みホーム」というのは、この手のローカル線の始発駅にありがちなもの。長いホーム(たいていはメインとなる1番線)の端っこに、短い編成の列車が止まれるように作り足したホームのこと。鉄道駅では、

駅長室にいちばん近いホームが1番線になる

から、たいていは「0番線」という扱いになる。「ワンマン形式」はバスと同じで、停車するたびに運転士が運転席の右後ろで「車内改札」をするわけだ。


  秋田内陸縦貫鉄道は未乗区間である。
  昔はたしか「阿仁合線」といっていたはず。国鉄がJRに移行する前後に第3セクター化された。鷹ノ巣から南下して阿仁合に至った。いっぽう、角館から北上する角館線が旧阿仁合線と合流を目指し、20年ほど前に全線が開通したはず。 このあたりの正確な史実に責任は持たない。

  10時41分、鷹巣発。
  駅名が「鷹巣」になったのは、JRと呼称をわけているためで、実質は同じ駅 である。乗客は10人前後で、けっこう混んでいる。日本の寒村を絵に描いたような乗客構成で、全員が70歳を越えていると思われる老人である。誰もが買い物袋を手にしているのは、鷹巣の街に買出しに来たためだろう。

  豪雪で外はほとんど見えない(@_@;)
  駅間距離はさほどでもないらしく、10分以上走り続けることはほとんどない。 これといった街があるわけでもないのに、乗客は増えるでも減るでもない。左の写真は、鷹巣から乗っていた60歳くらいのおっさん。ハッキリしないが、

テツと思しき行動

が見られた。これは運転席の後ろから景色を観ているところ。テツ以外はこういうことをしないはず。


  11時38分、阿仁合着。
  時刻表にはないが、ここで乗り換え。乗客の雰囲気から察するに、日によって乗り換えがあったりなかったりするようだ。ここから新線区間に入ったようで、 線路はわりに直線的に進む。新線という言葉を使うのは、僕の世代でということだが、

この30年以内に建設された路線

である。カーブが少なく、橋が多くてトンネルも多い。それだけ工法が発達した時代の路線ということだ。言い換えれば、それだけ野趣のようなものは失われてしまったわけだけど。

  13時11分、角館着。
  2月末のわりに雪はそれほど積もっていない。今夜の宿は田沢湖近辺なので、 ここで観光をしないと時間がつぶせない。ちょうどお昼どきでお腹も空いたことだし。駅前の観光案内所で聞けば、角館の武家屋敷は歩いても15分ほどで行けるとのこと。

  それにしても道が悪い。
  みぞれというよりは雨に近いものが降っているのはまだいいとして、今日が温かいせいなのか、雪解けがひどくて道路がどろどろだ。歩き出してから先の観光案内所で長靴を借りるべきだったと思う。いちおうは雨や雪に強い靴を履いているけれど、雪解け水がくるぶしの辺りまで来る箇所が多い。

  武家屋敷近くにある蕎麦屋さんに入る。
  高級そうな店だがそれほど高くはない。850円のおろしソバは美味しかった。店のおばさんと少し話す。やはりこの暖かさは異常ということ。いつもだったらまだこんなんですよ、と雪景色のポスターを指差す。店を出ようとしたら雨が少し強くなってきたので、傘を貸しましょうかと言ってくれる。よいおばさんである 。が、返しにこれないし、幸いなことに上半身はスキーウェアだから問題ない。


  武家屋敷はつまらなかった。
  というより、足元が気になってゆっくり鑑賞できなかった。僕は古い建築物が病的に好きだから、またの機会を見つけようと思う。もっとキッチリと雪が積もっているときか、名物の桜が咲くときか。いつでもいいけれど、今日のような雨と道路事情の日はダメだ。角館駅に戻る。

  さて、初めての秋田新幹線だ。
  こまち20号は14時59分発。秋田・大館フリーきっぷで乗車できるのは、田沢湖駅まで。それにあわせて今夜の宿は田沢湖近辺に取った。泊まりたいところでは なく、

持っている切符の種類で泊まれる場所に泊まる、

これこそテツ道。変わらないな、僕も。


  あまり知られていないことだが、新幹線「こまち」は全席指定だ。
  かつての「のぞみ」がそうであったように、指定席を取っていない人は乗車できないわけである。ただ、「こまち」は田沢湖線というローカル線を経由する( いわゆるミニ新幹線である)ので、立席特急券という特別扱いがある。

座席に座ってはいかんが、立つなら乗ってもいいよ

というのが立席という概念である。もちろん実際には、席が空いていれば座ってしまうし、車掌によるお咎めも特にない。

  いま僕が持っている秋田・大館フリーきっぷも同じ扱い。
  田沢湖までの乗車権利と立席権利が与えられている。車内は8割ほどの乗車率で、思ったよりも混んでいる。秋田から東京に行く人がこんなに多いかね、と思うくらいだ。通路側の席に座り、外を見る。

  雪はどんどん深くなっていく。
  田沢湖付近はもともと豪雪地帯で、こんなところにミニ規格とはいえ新幹線を通すとは大したものだと思う。ローカル線としての田沢湖線には乗ったことがあるけれど、もう15年以上前だったはずで車窓に記憶はない。そのときは雪景色ではなかったし、そもそも田沢湖まではたったの15分、3時4分着。


  この駅で降りたことはあったかなと思う。
  新幹線が開通したことで駅舎は立派になっている。今夜の宿は駒ヶ岳温泉という1軒宿で、バスで30分ほど。駅から宿に電話を入れて、バス停からの送迎をお願いする。待ち時間があるのでみどりの窓口へ。明日は千葉に帰るから、帰りの新幹線を予約しようと思う。

「お昼過ぎまで満席ですね」

  どうしよう?
  盛岡まで立ち席でいって(30分強だからそれほどしんどくはない)、盛岡で乗り換えて帰ろうか。盛岡からなら、八戸発の「はやて」はあるが、これも全席指定。しかし盛岡始発の「やまびこ」があるから、最悪でも自由席に並べば良い。

いま決まらないなら、あとで決めれば良い

というのも、テツ旅の原則である。バスは3時30分に発車して、雪に包まれた田沢湖を通過していく。雪はどんどん激しくなっていく。大館の暖かさがウソのよ うだ。

  良い宿だった。
  だが問題は出発時の送迎だった。着たときと同じようにバス停まで送っていってもらうが、そこは雪の中。バスの時刻にあわせて連れてきてもらったものの、 肝心のバスがなかなか来ない。僕はバス停にある小屋の中で震えている。 吹雪。そこから道路の向こう側を見たのが左の写真だ。


  バスは10分程度の遅れでちゃんと(当然だが、当然でないと困るが)やってきて、8時50分に田沢湖駅に着いた。
  新幹線は雪で遅れているという。昨日に続いてみどりの窓口に行くと、ラッキ ーなことにキャンセルが出てちょうど1つ空席があるという。9時ジャスト発の 「こまち」8号。しかもタイミングの良いことに

その「こまち」は遅れていて、間もなく到着する

という。9時8分田沢湖発。雪で遅れた新幹線に乗り込める、これもまたテツ道の楽しさなんだなあ。

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