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クラス会の記録 5月9日
前記:以下の文章は2010年5月8日に行われた、中学時代のクラス会の記録であ る。本当は翌日付けの日記に掲載するつもりだったが、エッセイ化することに。 長くなったこともあるし、普遍的と言えることも書いてあるから、こういう運び になった。


  男子7人、女子3人、先生という出席者だった。
  僕から見て、卒業以来の再会が1人、15年ぶりくらいのそれが1人だったかな 。先生は引退してすでに10年で悠々自適。あまりお酒はお召しになっていなかっ たが、元気そうだった。話の流れで、

僕の親が呼び出されてどうのこうの

という恥ずかしい話をみんなの前で公表させられた。もう時効だろうと思うにし ても、僕は僕で心の傷なんだけどねぇ。

  恩師と呼びたい人には、数学の先生が多い。
  数学を苦手にしていた(今もそうだ)のに、数学の先生に恵まれたと思う。中 身は理解できなかったけれど、僕を教えようとしてくれたことに感謝している。 この先生も数学担当で、中1のときにこう言われた。

「信原は算数的な発想で攻めすぎるのが良くないから、もっと数学的に考えるこ とを重視しなきゃいけないよ」

結果的にはそうならなかったけれど、

伝わらなくても伝えようとするのが教えるってこと

だ。優しいけれど時には猛烈に怖い先生で、ある意味では今の僕を作った人かも しれない。感謝してもしすぎることはない。


  既婚率も上がっていた。
  未婚者は女子1人・男子3人で、未婚率40%は世間並みなのか。もう中学生に なろうとする子どもを持つ人もいれば、すでに2回目の結婚という人もいたし、 去年結婚して子どもが生まれたばかりという人もいた。僕としては

現在に至るまでの人生の軌跡

を取材して回りたかったが、そんな時間も余裕もなかった。笑ったのは以下の発 言。

「信原は普通のサラリーマンを馬鹿にしてるだろ!」

いやあ馬鹿にはしてないけど、どういう世界なのか理解はできないよと答えてお いた。ちっ、見抜かれてるし(-_-;)


  思い出話が中心になるのは普通なんだろうか。
  当時のあの出来事はこういう背景があった、実情はこうだった、と今になって 判明することがたくさんあった。自分が見ていた世界は

世界の1つのありかた

であって、他人が見ていたもう1つ(以上の)世界があったのだと確認する作業 だ。僕が日記でよく書いている、「真実」と「事実」の違いのことだ。

  他には定番ネタ。
  非常にありがちな「実はダレダレが好きだった」という話とか、「初エッチは いつだったか」という話とか。後者の最速は15歳(中3時)というもので、時代 背景からみんなドンビキ。僕の世代だと、中学生で体験しちゃうのは

不良と言うより背徳に近い行為(・・・ふけつ)

と思われているわけです。オイ今の若者、読んでるか? そっかー、あいつとお 前が実はやってたんかー、なんて話をしていれば二日酔いにもなりますよね。


  遅い帰宅になった。
  運の悪いことに終電は遅れていて、20分くらい待つという。同じ方向の電車に 乗るのは僕と元クラスメートの人妻1名だけで、ホームに上がったのは僕たちだ けだった。さあどうする。タクシーに乗るか、そのまま終電を待つか、あるいは 。

「電車を待ってもそんなに変わらないかな?」
「オレもどっちでもいいな」
「私もどっちでもいい」
「ダンナとか待ってんじゃないの?」
「もう寝てるわよ」
「へぇ、門限ないんだ」
「結婚したばっかのころは待ってたけど、最近はね」
「もう子どもも大きいんだよね」
「そ、一人で寝られるし」

  さあどうしよう?
  僕も明日(日曜)は休みだし、帰宅がさらに遅くなっても問題はない。いや、 今の会話は、どういう意味だったのだろうか。もしや。思い当たることがある。 25年前のあの日のことだ。

「いいじゃないか、もう」
「もうって、どういうこと?」
かまわない


  僕は彼女の手を引いて駅を出る。
  そういう場所まで、歩けば5分だ。そういうことだ。もう、25年が過ぎている のだ、わだかまりはないじゃないか。あのときに、戻って・・・。

「まさか・・・」
「もう、構わないんだ」
「だって、私には、うちにダンナが」
「それがどうした? いま、ここで、時間を共有しているのは僕たちじゃないか 」

  僕たちはそういう場所の前に来ている。
  かまわない。本当に彼女が拒んでいるならば、ここまで連れてこられないはず だ。もうすぐ僕たちは40歳になる。

そういうことがあってもいい。

そういう年齢 じゃないか。そのくらいの分別はある。これは一夜のことだ。それだけのことじ ゃないか、たった一晩の過ちは、過ちなんかじゃない。25年前にできなかったことを、できたかもしれないことを、いま。

「そんな」
「いいだろう、いいじゃないか」
「・・・何を今さら」
「今さら、じゃない、今だからだ」
ずるい、ずるいよ!
「ずるくない、僕は君を求めているし、君だってそうだ。ただ、世間を言い訳に して逃れたいというフリをしているだけさ」


僕たちにはもう、
僕たちを止めることはできない。




















  以上、妄想祭りね(^^ゞ
  なんにもねーよ、ないのかよ俺! 以上のような事実はなく、ちゃんと終電で 帰宅した。ここで

「1回ソンしたな」

くらいのことを書ければ僕も本当の悪なのだが、まだまだ修行が足りない。終電 泥酔帰宅で日記がアップされていたのはさすが、と自分で感動するくらい酔って いた。でも、

こういう情況で一夜を楽しんでいる人たちって、

絶対いるよね。大人は、そういうことを隠しているんだ(僕は隠してないですよ w)。


  そんなこんなで楽しい夜だった。
  クラスメートの1人がすでに物故者となっていたのは本当に驚きで、結果的に とはいえ、昨日の日記で(注:2010年5月8日付け)

「げ、本当に生きてやがったオレ」

と書いたのは正解だった。まだ生きているというのは、やっぱり幸せなことなの だ。

みんな、生きていこうよ。

そういう事実を確認するのがクラス会なのかもし れない。
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