予備校講師でわるかったな!





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感情から理性へ 9月18日
  7時起床。
  朝食に珍しくサンドイッチを作る。
  サンドイッチを作るのはたぶん数年に1回。この日記に書いたことが1回だけ あるから(但しホットサンドイッチ)、そんなところだろう。1人分だけ作るの が難しい料理なのだ。サンドイッチ用のパンは値段が高いし、何より手間が非常 にかかる。奥さんがいれば食べさせてあげるのだが、不幸なことに、まあいいや 。

  キュウリと玉ねぎとチーズとハムと卵。
  8枚切で4組、半分に切ると8セット(単位不明)になる。朝食の細い僕には 多すぎるんだよね、やっぱ。

  しかしとても美味しい。
  マーガリンを買わない主義なのでバターを使った。マヨネーズも買わないので 、わざわざ昨日買っておいた。キュウリと玉ねぎは氷水でキリっとさせる。キッ チンペーパーで包んでから濡れフキンで包んで、10分以上おくのがポイント。
  市販のそれはどこで買っても美味しくないというのは世間の常識(サブウェイ は悪くないが、あれは正当な日本食としてのサンドイッチとは言えない)。本当 に旨いサンドイッチがどういうものなのか、これは「一話一膳」でいつか語る予 定である。たぶん、2年後くらいだと思うが。


  8時半から予習。
  蒸し暑いのでエアコンを除湿モードにして、じっくり進める。10時過ぎから読 書。やはり6時間睡眠では足りないらしく眠くなる。正午まで1時間ほど昼寝。 さて昼飯だ。


  ところで、今日の毎日新聞に食生活に関する記事があった。
  「習慣能力の低下」と題して、貧しい食生活を批判するものである(詳しくは ここ)。例としてあげられた3歳児の1日の食事。

朝食:乳酸飲料、冷凍プチホットケーキ
昼食:アメリカンドッグ、ミルクコーヒー、ミートソーススパゲティーとチャー ハンを少し(いずれもコンビニエンスストアで購入)
夕食:おかめうどんともりそばを少し(店屋物)

  こんな食事をさせているからバカになるのである。
  想像するに、これを食べさせている親も似たような貧しい食事をしているから 、思考というものが全くできずに小学校英語に賛成してしまう。論理のすごい飛 躍に見えるかもしれないが、たぶんホントだよ。


  この記事を朝に読んだせいもあって、旨いものを作ろうと冷蔵庫を確認する。
  焼ウドン、か。あれ、野菜がない。正確には、キュウリ・ナス・インゲン・ダ イコン・ネギしかない。ネギはいいとして、ナスは焼きウドンには合わないだろ う。モヤシもキャベツもないのか?

  今日は買い物をしないつもりだった。
  うーんどうしようかと冷蔵庫探索を続けたら、残り物のバターライス2口分が 出てきた。ようし。アメリカ人はコメをライス( rice )などと呼んで野菜として 考えるそうじゃないか。今から30分だけアメリカ人になろう。おー、アイムあな めりかーん!

  食品棚から乾燥キクラゲを取り出すと、これもまた残り物の桜えびの乾物が出 てきた。
  焼ソバとご飯を炒めて「ソバメシ」というそうではないか。ウドンとご飯を炒 めて、そこにネギとキクラゲと桜えび・・・、ネーミングはどうするか。とにかく勝負!


  う、うまい(本当)。

  バターライスが良かったのだと思う(レシピはここの日記)。
  いわゆる「しょう油バター」の味に結果的になったのだろう。もう1回作って おいしいという保証はしない(*^_^*)


  城南横浜校にはいつもより早めに入る。
  1学期のアンケートに関して説教されるのである。結果は例年同様に良くない 。毎年イロイロと手を打っているつもりなのだが、空振りしているということか 。

  教壇での手ごたえが決して悪くないのに、数値が出てこない。
  数値というのは相対的なもの、つまり全ての講師の数値の平均と比較してのこ とである。したがって僕の授業は他の講師より劣っているということになる(= 他の講師が僕より優れている)。授業の生徒様の様子を見る限りは、そんなにハ ズしてはいないと思うのだが。まあ、結果は結果だ。


  スタッフと話してみると、なかなか興味深いことがわかった。
  「ここで話したことはHPに書かないように」とクギを刺されたので本当は書 くべきではないのだが、そこをチョロっと書いてしまうのが悪の道。と言っても 真剣にヤバイことは書かないようにしているのも事実ではあるが。

  生徒様の物事の考え方は、年を追うごとにどんどん理性を離れて感情に力点が うつっていること(この程度なので城南のスタッフは安心することw)。

  わかりやすい例を挙げれば、「あ、この(信原とかいう)先生とにかくダメ」 のような発言や挙動のことである。授業の内容ではなく、印象や感情でしか物事 を判断できないという幼稚園児がたくさん通うのが当世予備校事情ということだ 。
  もちろんこんな幼児化は陳腐なる言葉で想定の範囲内なのだが、そしてその退 化の加速度が大人の予想を裏切るほど早いことも以下文末同文なのであるが、面 談という公式の場所で言われてみるとナルホドなあと思う。

  この日記の上の方に書いた食事に代表される生活習慣の影響であることはほぼ 間違いない。
  それを語りだすとキリがないから、また今度。


  IMクラスは順調。
  目的格の of を前回扱ったかどうか忘れたので生徒様に「やったことを覚えてい る人、手を上げて」と訊いてみたら、ゾロッと手が上がった。それだけ前回の授 業について復習しているということだし、それだけ印象に残っているということ で、これは講師冥利(みょうり)につきることだ。

  AL・CPクラスではこういう感想があった。
  長文を2問扱ったのだが、1番(96年慶応・経済)のほうが難しかったとの こと。内容を要約する。

「以前はやればやるほど生産されるという性質を持っていた労働が変化し、頭脳 労働に代表されるように仕事量そのものが生産量に比例することはなくなった。 ある一定の休暇があってこそ労働の効率が良くなる時代に入った。ところが、仕 事に追われる人が増える一方で休みが多すぎる人も出てくる。後者は休みが多す ぎるどころか失業という事態にまで至り、ワークシェアリングの発想が必要にな ってくる」

  気付いた読者もいるかもしれないが、市進Qクラスの2学期第1回(90年慶応 ・理工)とほとんど同じ話題である。
  この内容が高校生にとってわかりにくいのは、労働観が形成されていないから である。ある程度以上の大学の入試問題は、「ちょっとだけ知的な背伸びを日常 的にしている」高校生が何とか理解できるくらいの話題を用意している。

  ただ、そういう知的背伸びをしない・する気もない受験生が多いのも事実であ り、そういう負け組(という言葉の選択は悪い意味ではない)は「単語がわから ないから」とか「訳しても意味がわからないから」などと言い、もっとひどくな ると「和訳を読んでも意味がわからない」などと言う。
  このあたりの知的背伸びを教える、少々偉そうなことを言えば世界観を与えて いく(広げる手伝いをする)のが僕の仕事になる。授業だけでそれを展開するの がきついから、こういうHPなどという遊び道具を使っているのも事実なのだが 、それは先週も書いたからここまで。


  EXは楽しむ。
  長文のある部分の意味訳を載せる。

「平安時代には、人間とその周囲の世界との間に本質的な対立があるということ は、原罪や経済決定論と同様に、ちょーキモーイと思われただろう」

  この日記を読んでいるだけの、つまり授業に参加していない読者にもわかるこ とが1つ。

>日本人の自然観は、調和するべき対象ってことね。

  わからないことも1つ。

>その、原罪や経済決定論ってナニ?!


  そしてそれを説明するのが僕の役割・・・ではなくて、この部分をどういう根 拠で無視するかが僕の仕事。
  原罪などという西洋的価値観から比較文化をやりだすのは大学の仕事であって 、予備校というのは「その一歩手前」まで持っていく知性を与える場所である。 つまり、「わかんねー」という感情ではなく、「つまりこういうことか」という 理性による判断力を磨かせるということ。例によって月曜なので長くなった。
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