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異端児は焦燥を覚えず |
10月2日 |
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深夜の競馬の話を少々。
凱旋門賞に挑戦した日本馬ディープインパクトは負けた。1馬身足らずの3着
。いいレースだった。
悔やめばキリがない。
追い込み馬のディープとしては、先行するレースが不慣れだったのかもしれな
い。騎手の武豊(たけ・ゆたか=日本人最高の騎手)は15年くらい前に、メジロ
マックイーンという馬に乗って大活躍した。マックイーンは先行の得意な馬だっ
た。彼ほどの騎手が、昔のイメージを大事にしすぎるはずもない。
でも僕は、ゴール前100メートルで負けようとしているディープインパクトを
見ながら、そんな遠い昔を思い出した。いや、本当にいいレースだったと思う。
負けたという結果が残っただけ。観ている僕が死ぬほど悔しくても、結果は結果
である。負けたディープと豊だけは違う印象を持っているかもしれない。それで
いい。
レースの前後にサポーターからメール。
今年も無事に秋のアドバイス「焦燥の秋」をアップすることができた。例年の
ように、4シーズンに分かれたアドバイスは、等比数列のようにシーズンごとに
ページ数が減っていく。
春8→夏4→秋2
つまり、冬のアドバイスは1枚の予定だ。
受験生の勉強量が増していくから、アドバイスも減る。スタート時点のダッシ
ュで僅かな受験生が第1志望を早めに「確保」し、残り少ない空席を遅れた受験
生が必死で奪いあう。
しっかりと寝坊を楽しんでから城南へ。
1限IMクラスと3限EXクラスはブックA、長文の内容はジャンル別、とい
うのは前にも書いたかな。今日つまり第4講のお題は「思想・哲学・宗教・芸術
など」である。「など」って何だよという感じはするが、言い換えれば「わけわ
かんねー」の項目である。
>さて、我々はその活動において教育者を導き、成長していく精神を訓練するた
めの明確な目的を教育者の前に据えるような、精神的な要素について議論せねば
ならぬ。
何を言っとるんだ、おっさん?
というのは冗談で、これは意図的に直訳したものである。たとえば、「成長し
ていく精神を訓練する」の原文は以下の通り。
> training of growing minds
もちろん of が目的格で(ヒマここ) growing は「成長する」だから「大人にな
っていく」ことであり、minds は精神→人間→教育者が訓練する人→子ども、と
いうことである。
したがって、意味のわからない和訳を書くよりは、内容を考えるほうが実力に
なるのだ。予備校の英語の授業なんて無味乾燥と思う人が多いけれど、実際には
この手の初歩的な思考訓練をしているわけである。
>医者は自問する―完璧な健康というものはいったいあるのだろうか、もしない
とすれば、治療という言葉で我々は何を言わんとしているのか?
これはEXのテキストの一部。
ここだけ読んで「ああ、医者ってのは何かの例なんだな」と思った人は読解力
があるといえる。「我々は何を言わんとしているのか」は以下の通り。
> what do we mean
これは動詞 mean を「〜を意味する」としか覚えていない生徒様が「読めない」
文である。では問題。次の英文を和訳してください。
英文; I mean it.
やはり知らない人は「私はそれを意味する」という、それこそ意味不明な解答
を用意する。
もちろんこれは「本気で言ってるんだ」の意味。名詞 it がわからないときは疑
問詞 what で質問するというわけで(ヒマここ)、「何を言わんとしているのか」
という意味になるわけだ。つまり、こういうのが卑しき民である予備校講師の仕
事なんですね。
AL・CPクラス。
割り切りが大切と判断してトーク中心の授業。質問などで生徒様に様子を探っ
てみると、「ごちゃごちゃ(黒板に)書かれるより、口頭でどんどん説明してく
れ」という声が多いからだ。そうか、それはありがたいと喋りまくり。
もともと、僕は城南の講師としては異常に板書が少ないほうである。
正確には、城南は板書中心主義のところがあるから僕は異端系ということだ。城南の
方針に反する言動も目立つし(赤本は年内にやれとかサンダルで登校するとか)
、意図的にやっていることも多い。異端であるのは望むところ。好き放題にやっ
て解雇されないのだから、城南イズムとしても「まあ、一人くらいはヘンな奴が
いても・・・」というところなのだろう。
授業後にAL・CPクラス生徒様の質問。
「ここで先生は『この単語きらーい』って仰ってた(発言ママ)んですけど、そ
れってどういう意味ですか?」
そんなこと言ったかなあ(-_-;)
全く覚えていない。そもそも、何故にそういう発言をしたのか記録できたこと
に興味があるので質問してみると、
「授業受けてて、わからないとこはメモるんです。わかるところは、書きません
。復習しても意味不明だったから・・・」
いや、おじさん、質問されても自分の発言が意味不明なんですけどね。
授業前にトークを用意することはない。板書計画もしない。その場で「これは
必要だ!」と思えば喋るし、書く。だから授業後(この質問は先々週のテキスト
に関して)に「これって?」と言われても困る。発言に責任を持たないというこ
とではなく、単純に忘れるからだ。グレン・グールドと違って(ヒマここ)一瞬
を大切にするともいえる。
しかし、よくそこまでメモ取れるよね。ビックリする。
やはり上位クラスでは板書を減らすのが正解みたいだ。この質問の答は何とか
思い出せた(もちろん長文の内容解説の1部だった)。
帰宅して夕飯。
昨晩のサンマの刺身が残っていたのでオリーブオイルで素焼き(=味をつけな
いで焼くこと)。異端を狙ってポン酢とワケギで食べたら無茶苦茶に旨い。サン
マの実力であろうが、油でソテーした魚料理をあなどっていたのは間違いだった
。あまりにも単純な料理なので「一膳」シリーズにはなりそうにない。だって、
本当に焼いただけなんだもの。
今日で市進も城南も僕の担当クラスは4週目が終わった。
2学期は12回なので33%終了ということになる。焦燥の秋、いい言葉だ。それ
に追われる受験生はつらい季節を迎えるわけだ。
追記:本文中のように、受講生へのアドバイス「焦燥の秋編」をアップしました
。
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