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城南ラストバトル! |
1月29日 |
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涙で終わる一日になるのだろうか?
それとも意外にアッサリと終わる一日なのだろうか?
9時前に起床して朝食。
まずは昨晩読み終えた本の感想を書く。以下のとおり。
『捲り眩られ降り振られ』白川道を読了。
タイトルがいい。中身の想像がつかないところがいい。いや、僕と同じように
「捲り」の時点で競輪に関するエッセイだと気がつく人もいるだろう。競輪に対
するアツイ思いを語りつつ、24回の連載で22人のゲストを招待している。ほとん
どが競輪の初心者であるにしても、ゲストの感想文は2ページ程度で物足りない
。
バクチの話は面白い。
旅打ち(旅先でバクチをすること)に出て、旅館に泊まりながら勝ちとった現
金をフロントに預ける話など最高である。人格破綻者であるのはカクジツ。1レ
ースの最高払い戻し金額は976万円、1日の最高負け金は・・・ネタバレはやめ
ておこう。
ただしちょっと困るのは競輪の基礎知識がないと難しいところか。
僕は今まで5レースくらいは車券を買ったことがあるはずだが、少し踏み込ん
だ内容になると理解できないところが多かった。どうせなら競輪シロウトにもわ
かるように書く方法があったようにも思える。少しわかる人は立ち読みなどどう
ぞ。
ずいぶん長いようだが、これくらいだと書くのに10分はかからない。
本の感想文で難しいのは引用することで、このようにアッサリ印象をまとめる
のは楽なのだ。まあ、あんまり引用したくなる部分もなかったが。
午前中はHPリニューアルの作業。
すでにお伝えしたように新しいコンテンツはない。それでも手間がかかる。
それでいてリニューアルされると「たいして変わってないじゃん」などと軽めの
ジャブ的な(しかし強烈なボディーブロー)感想メールが送られてくるのでへこ
むのだが。
いつもと同じ時間に横浜へ。
解雇が決まったときに予告した城南予備校に関するエッセイは、昨日の時点で
完成しなかった。書きたいことが多すぎてまとめきれなかったということもある
。どこまで書いていいのか悩んだのも事実。自分が書きたいことと読者の期待、
そして今も城南に属する関係者の不安。いろいろ考えあわせるとなかなか難しい
。全ての人を満足させる文章はないと知っている。しかしまた一方で、何を書け
ば僕と読者様にとって学びになるか、それを考え抜くことが今日の時点ではでき
ていない。
僕が思いのたけを書くことは簡単だ。
それは読者様が求めることではないかもしれない。あるかもしれない。単純に
暴露するのは簡単なことで、それはアホのやることだ。匿名と実名は関係ない。
僕はバカだし愚か者だがアホではない。読者様を笑わせ、満足させ、学んでいた
だくコンテンツって何だろうと真剣に考え、結論は出なかった。あくまで、今の
時点では。
中規模予備校はどうなるのだろう?
僕のような松竹梅の「竹〜梅クラス」のような講師はどうなるのだろう。こう
して(たとえば)僕が解雇されたことは、何を示唆するのだろう。当然のことな
ながら、わかりやすい未来予想図を持っている。今それをここに書くことで、そ
れが言霊になることが恐い。正直に言って恐いのだ。僕一人の生計なんてことは
どうでもいい。中間がない社会が僕の生息地にも及んでくるのかということ。
1コマ目は「最難関長文RA」。
1000語オーバーの内容一致を扱うという宣伝だそうな。もちろん生徒数は少な
いがさすがにメンツが揃っている感じ。非常にうまく解説できたと思う。まあ最
後ということで書いておくと、実は鼻歌を歌いながら解説していた。好きなピア
ニストのグレングールドが歌いながら演奏していることを最近知って、ちょっと
真似をしてみたのだ。歌っていたのはモーツァルトのピアノソナタ12番第3楽章
。歌え歌えと自分に言い聞かし、実際に歌うようなノリ重視の授業だったと思う
。一度もペースが乱れることなく、解説終了と同時に終業チャイム。
2コマ目。
教室の外にある「教室割」を見てみると、今日の現役3回転(=現役だけで1
日3コマをやること)の講師は僕だけだった。クビになるわりにコマは貰えたと
いうことか、コマは貰えるわりにクビということなのか。このあたりを突き詰め
てエッセイにしたいけど、上記のように自分の中でまとまっていないのだ。
この授業は「難関英作文GF」。
MARCHあたりが目標の整序問題中心という触れ込み。いわゆるボリューム
ゾーンで受講生が非常に多い。大教室満席の申し込みである。まあ実際には欠席
者がいるからそうでもないし、信原なんて初めてだよという生徒様が6割くらい
とあとで聞いた。つまり講座の名前そのものに人気があっただけ。オレ、だめじ
ゃん。
非常に演習のデキが悪い。
申し込み自由(志望レベルで生徒様が判断)ということだが、however の後ろ
に形容詞が来ていないなど、とんでもないレベル。「ホームページを見てくださ
い」と言いそうになったがそれは禁じ手。ちなみに「ここ」です。
やや時間が押したが何とかまとめたというところ。
今年度の日記に何度も書いたように、やはり中堅レベルの文法・短文系は非常
にアヤフヤなままに来ていると見る。EXの中間からIMあたりは、やはり授業
で短文系の項目を扱うべきではないか。城南のシステムなら冬期講習あたりでオ
プション系の講座の1つでも用意すれば中堅上位の合格率が上がると思うんだが
ね。
ところでこれも最後だから書いておく。
本当かどうかは知らないと断っておく。この情報の入手先は秘密。ジャーナリストにはニュースソースを守秘する権利があります。今の表現は盗作だけど、それに僕はジャーナリストじゃないけど(^^ゞ
05年度、つまり去年のIMクラスBook―A(文法系講座)のMARCH合格率
というものを事後に(つまり入試の結果が出てから)まとめたそうである。
とうぜんのように自慢話だから書くのだが、その全城南合格率トップのクラスを
担当した講師は僕である。実は僕のBook―Aの授業が「挑戦、MARCH!」の
レベルと言えるIMクラスには最も適合しているのだ。もちろんMARCHと言
っても様々だし、実は僕のBook―Aの裏(つまり長文系のBook―B)の講師が旨
かったんじゃないかという説も否定できないのだが、結果としては長文が中心と
されがちなMARCHに短文問題の考え方は大いに役立つということだ。
この話題の教訓は何か?
そうですね、MARCHあたりは、特にチャレンジという位置づけの生徒様に
とっては短文系の授業が大事なんですよ。見た目の長文が多いからテキストを長
文だけにしたってしょうがないってこと。・・・なんて毒を吐いてみたりね、最
後だから許してねん(^_^;)
2年前の卒業生♀がやってくる。
そうかもう3年生になるのか、じゃあ飲みにいってやってもいいか、なんてい
うアホ話。我が思い出のラストバトルの日に来るなよなあ、などと悪態をつく。
2人で飲みに行こうなどというので、「お前な、俺みたいなオッサンと2人で飲
んでどうするんだよ。やらしーじゃねえか、ただじゃ帰さないぞっ」と答える。
「じゃあ私のダーリンとで3人ならどうですか?」
「お前の恋人と飲んで俺が嬉しいかっつーの(-_-;)」
どうやら日記のネタを提供するためにやってきたらしい。
暇な奴だよなあ。しかしこういうのも城南らしいし、横浜らしい。明るく、熱
い。これも今日で最後なのだ。本当に、次が最後。
本当のラストは「最難関長文RC」。
空欄補充を中心に扱うという触れ込み。ところが1コマ目と同じ「最難関」な
のに、生徒層がずいぶんと違うように見える。ここも大教室満席とまではいかな
いが、同じような人数。どうなってんだ?
あとで某チューターに聞いてみると(善後策が大切)、問題形式別から類推
して「この大学を受けるならこの講座」という受講指導だったとか。
その方法自体は間違っていないと思うが、レベルがあってなければどうにもな
りませんがな。しかし今ここでそんなことを言ってもしょうがないし、そもそも
出席している生徒様を満足させるのも仕事なのでレベルを落として進める。
それが裏目に出た。
8分の延長。我が城南史の8年間で最大の延長時間だったと思う。最後の最後
で失敗するんだねえ。人生はアンチクライマックスが基本よ。上記のように「同
じ最難関だよな」と思って授業準備をしていったので、即座の対応が甘かったと
いうことになる。また同時に、1コマ目の感触の良さが脳に残っているので、そ
のノリに持ち込めなくてイライラしてしまったのかもしれない。難しい問題こそ
さらっと説明し、さっとわかったような気にさせる、という悪の手管(てくだ。
ヤリ方のこと)を用いるべきだった。
まだまだ終わらない。
日記が、ではなくラストバトルが。今度は質問だの相談だの「サインして下さ
い」だのと行列。しかし、最後のサインがほとんどだったというのが情けないな
。ばりばりとサインする。芸能人じゃないんだから。
2つのグループに共通する質問があった。
それは「『クッキーは人生の箱』とは何か?」というものである(今ここで「
へ?」と思った読者様はこの日記の最後にあるエッセイを読めばわかります)。
ちょうどHPにアップする準備を昼間にやっておいたので「HPを観てる?」と
訊いたところ、「最近見てない」及び「直接先生の言葉で聞きたい」とのこと。
このあたりも、事務的に「HPを観てください」で済ませられる時代が来ればい
いのだが。済ませられるというのは、それだけネット利用が社会的に「当然すぎ
ること」になるまで熟成するということ。
行列をさばくのに9時40分から11時前までかかった。
感傷に溺れるヒマなんか少しもなかった。やれやれと思っていると新顔のチュ
ーター氏がやってきた。なんと僕が初年度(99年)に浪人部で教えた生徒様だっ
たという。もう大学を出て4年目くらいになる。当時のノートまで見せてくれる
。当時の授業は情報量が今よりはるかに多く、黒板に書いた僕のほうがビックリ
する。
そうか、8年間で君はまた城南に戻ってきて、僕は同時に追い出されてい
くんだね。老兵は死なない。ただ消え去るのみ。
11時10分。
ついに終わった。いつもは通用口つまり裏口から校舎を出るが、今日は校舎の
中から普通に廊下を抜けて退出する。もう会うことのないチューター(まだ残業
している、大変だ)に「お先に失礼します」とアイサツ。最後だからと言って、
「特別な挨拶」はしない。必要もないし、湿っぽくなるのは嫌いだ。クビにする側
だって、クビにされる側(つまり僕)に言いたいこともないだろう。もちろんチ
ュターが講師のクビを決めるのではないと生徒様には念押ししておく。
横浜駅まで歩きながら、感慨を求めて考える。
何かグッとこみ上げてくるものがないかと自分に期待する。少しくらいいいじ
ゃないか。涙ぐんでみてもいいじゃないかと記憶を探る。再開発でなくなってし
まったローソンの前を通り過ぎて、橋の上から海の方を見る。なあ、何か泣ける
感情よ、出てきてくれないか?
やはり、感慨はなかった。
ただ1つ悲しいのは、しばらく横浜という場所に来れなくなること。行けなく
なること。僕が8年間にわたって「横浜のみ出講可」としてきたのは通勤の便と
いうことが第一の要因だったけれど、もう1つ大切なことがあった。横浜という
街の空気が好きなこと。千葉とは全く異なる空気があること。それを愛していた
こと。しかし涙はやはり出ない。
まだまだ終わらない。
ラストバトルが、ではなく日記が(笑)。帰宅が遅くなって、耐え難いほどの
空腹感もなくなってしまった。この日記を書くのに1時間ほどかかった。今まさ
に読み直してみる。そんなに悪くないんじゃないか。書くことで僕は自分を整理
し、読者様は考える。
ただ文章の中にあるのが感情だけであるなら、それは人に公開されない、たと
えばラブレターのようなものになる。
そして僕が毎日書く日記はラブレターではない。読者様も他人のラブレ
ターは読みたくないだろう。ただし今日の日記に限っては、横浜へのあるいは城
南予備校へのラブレターなのかもしれない。判断はお任せする。
今は午前2時20分。
これからアップ作業をして、シャワーを浴びてビール。今日のためにお気に入
りのウイスキー「山崎」を買っておいた。僕を捨てた恋人の将来のしあわせを願
って、乾杯しよう。
さよなら。
追記:エッセイ238「クッキーは人生の箱。」をアップしました。
追記2:センター英語(筆記)解説速報アップ中です。 |
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