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平和で真面目な納豆への想い |
3月24日 |
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9時起床。
くもり、早い午後から雨。のちくもり。暖かいような寒いような。最近の日記
は不謹慎なものばかりなので今日は真面目に書こう。
昨晩は冷酒を2合飲んだのであまり良い目覚めではない。
いつものように冷酒しか置いていない店だったのだ。日本酒は熱燗、最低でも
冷や(常温)で呑むものだと思うんだけど、僕の小さな主張は世界に届かないだ
ろう。
朝風呂→食事とすませて講習の準備。
今日はプリント作り。今年も最新年度の問題を盛り込むので非常に手間と時間
がかかる。受講生はご存知のように、僕のプリントにはテキストに直接関係する
内容はまったく載っていない。単語や熟語の意味の一覧表なんか配る趣味はない
のだ。その代わりに、来年の受験に向けた最新情報としての今春の問題を選んで
載せる。それでどうやってテキストを処理していくかが全て。プリントというの
は、僕の場合は授業の補助手段になっていないのである。
ワープロの不調。
プリントは以前のものを改訂しているわけだから、当然「上書き」をしなけれ
ばならない。するとフロッピーが不穏な音を立てて、
「いろいろあって、上書きできません」
というメッセージが出る。
もうこのネタを書くのも5回目くらいだと思う。でも「ワープロ壊れたら過去
ログどうしよう?」と不安におびえている人も日本全国津々浦々、まだ300万人
くらいは生息しているはずだ。あと3年くらいで絶滅危惧種に指定されるだろう
。該当する人は心の準備をしておくように。
ワープロのフロッピーの場合、バックアップを取る方法が1つしかない。
つまり別のフロッピーに保存するわけだ。でもその新しいフロッピーも必ず壊
れる運命にあるから延命処置に過ぎない(過ぎなくても、やるしかない)。モノ
は何でも壊れるだろ、という話題ではない。直してくれる社会のシステムがなく
なりかけているわけ。
やむを得ず新しいフロッピーに保存してみると、無事にできた。
こうして今日も僕の古いログは延命処理をほどこされ、いつかはあの瞬間を迎
えてもだえ苦しむことになるのだろう。しかしさ、もし古いフロッピーに保存さ
れているものが呼び出せなくなったらどうしますか? 困るなあ。
準備は2時間ちょっと。
アナログの作業は休憩を取りやすいけど、デジタルの作業は没頭してしまうこ
とが多い。デジタルは便利なだけにやり過ぎることになりがちなのだ。手紙とメ
ールの関係と同じ、とまで言うと極論になる。
2年生の分をのぞいて自作プリントは終了。あとは、これとは別の過去問プリ
ントを選び出すだけだから、プリントの残りは10枚くらい、全体の60%はクリア
できた。
スーパーに買出し。
安い予算でなかなかの買い物ができた。焼き鳥弁当480円も悪からず。続いて
読書。
『人間は考えるFになる』土屋賢二・森博嗣を読了。
哲学教授ツチヤ先生と工学助教授モリヒロシの対談集。僕個人としては非常に
興味深く面白く読んだが、一般的にはどうだろう? 詳しくは後日のエッセイに
譲るとして、理由を簡単に述べる。
僕はツチヤ先生もモリヒロシも好きだからだ。
対照的な2人である。文系と理系、ユーモアリストとリアリスト。もっとも、
ツチヤ先生の真面目な哲学本は読んだことがないし、モリヒロシのミステリィ(
←森の本来のジャンル)も読んだことがない。つまりツチヤ先生とモリヒロシが
それぞれに持つ一面を好んでいるわけだが、この2人に対談が成り立つのかどう
か、そこに興味を持った。
おかしなものではあるけれど、見事に対談が成り立っていた。
「成り立っていた」というのは、僕が一面的であるとはいえツチヤ先生とモリ
ヒロシのことを間接的にその著書の上で知っているからであって、2人のことを
何も知らない人が読んだら「なにこれ? 対談になってなくない?」という意見
もありそうだ、ということ。
場合によっては、文系と理系の対談なのに文理論争がないと怒る人もいるかも
しれない。
本のコシマキ(表紙の外側のオビのこと)にも「理系VS文系」というような
キャッチコピーがついていることもある。しかしツチヤ先生とモリヒロシの文章
をある程度読んだ経験があれば、そういう感想を持つことに意味がないのも明白
である。ツチヤ先生は自分が文系であることを特に意識しないだろうし、モリヒ
ロシが自分を理系と考えることもないように思える。つまり、僕は彼ら2人のこ
とを(僕なりにではあるにせよ)知っているから本書を「興味深く面白く」感じ
ることができたのだろう。
薦めるかどうか決めかねる。
2人のことを両方、あるいは片方でも「知っている」人は読めばだいたいは面
白く感じるだろう。しかしまた一方で、どちらのことも知らないという人が読ん
でも楽しめるのではとも感じる。だから、後者に属するつまりお2人のことを知ら
ない人もちょっと立ち読みで試してみてほしいかなと思う。やはり僕がツチヤ先
生とモリヒロシのことを気に入っているからだろう。
夕飯の仕込みをしてから校舎へ。
Lクラス限定で復習の小テストがある。市進予備校が講師に実施するように指導しているものだけど、講師に選択権がある
。去年の僕はやらなかった。今年はやってみる。回収して、カンフェリーから返
却してもらう。今日は前2回の「文型」を復習するもの。解答欄は「何文型か答
えなさい」となっているが、生徒様はきちんと書き込みしてから答を書く。その
1例を紹介。
問題文
Let me know it.
解答用紙
Let me know it.
V S O C
なるほど。
3年前の僕だったらスパークするところだけど、僕も学習した。この解答用紙
に見える講師の学びはたくさんある。1つを紹介すると、
「そうか、let が動詞だという感覚は身についたんだな」
というもの。皮肉ではない。
前2回は品詞について詳しく(というほどでもないけど)説明したからだ。英
文に主語と動詞があるという感覚もわかったことになり、これはこれで前進だろ
う。次は命令文とか格について説明しなくては。
授業後に生徒様♀の相談。
単語をどうやって覚えますか?とのこと。聞けばV検定11級(全12級の下から
2つ目)ですでに壁に当たっているとのこと。詳しくはこのページなぞご覧くだ
さい。
1日に30分まとめてやっているというので、「10分に3回にしなさい」。
書いて覚えているというので、「それより音読しなさい」。
11級くらいの初期段階、に限ることではないが、書くより発音するほうが覚え
やすい。
なぜなら、発音のほうが量を多くこなせるからだ。量をこなせるということは
、自動的に未知の単語・熟語に触れる経験を増やすということ。しかも、正確に
スペルをつづる必要のある単語は特に初期段階では少ないし、1つでも多く「ポ
ッシブル、可能な」と発音して経験値を上げるほうがトクなのだ。受験は、あく
まで残り時間での投資効率を考えてやるものである。たとえば、中学2年生が高
校受験に向けてこの相談をしてくるなら、書くということも同時に指導すること
になる(覚えるべき数が少ないということもある)。
帰宅。
雨はやんでいるけど風が強い。
夕食のメインはカワハギとヤリイカの刺身。
どちらもすこぶる(スコブル=とっても、すごく)旨い。カワハギの肝を和え
たショウユでイカを食べるのもいい。たくさんの野菜も食べる。
そして何より、3日ぶりの納豆。
これがいい。この2日は外食で納豆チャンスはなかった。その前日はよく覚え
ていないけど食べなかった。納豆で呑む熱燗がたまらない。ベランダの向こうで
は暴風雨。僕は日記を書きながら音楽を聴いてワインを呑んでいる。とても平和
で、満ち足りた土曜日。
追記:エッセイ246「焼うどん店あらわるー」をアップしました。
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