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ひとり、おでん 11月8日


  9時前起床。
  今日から3日間で冷蔵庫をカラにしなければいけないので、朝食にご飯を炊く 。炊き上がるまで1時間くらいかかるから、そのあいだに夕食を作る。読んでい るほうは何のこっちゃと思うかもしれない。でも実際の行動なので。カブの残り とメカブが朝食で処理できた。


  きのう今日と仰向けで目覚めた。
  ふつうそうだろうと思うはずだ。いつもの僕は腰が悪いくせに目覚めるときは うつ伏せなのだ。この2日が例外になったのは腰痛のため。たぶん腰が痛くて、 眠っているあいだに寝返りを打っていないのだと思われる。

  腰痛のために行動レベルが低い。
  11時前から、ちょっと横になるかとベッドで本を読んでいたら、もちろん眠っ てしまった。眠っているあいだは痛みを感じなくてすむからだ・・・と言い訳を しないと説明がつかないな。


  1時に目が覚めた。
  ああこうして今日も無為な一日になるのだと外出して、焼き鳥をメインにする らしき居酒屋のランチ。鮭ハラス焼きとしらす丼というヘン(でもないのか?) な組み合わせ。どうってことなし。たぶん1年に1回でいいだろう。

  移動してCD屋さんへ。
  モーツァルトのセレナード(どういう音楽なのか?)とベートーヴェンのピア ノ協奏曲(こっちはわかる)。買うための基準が「演奏者の名前を知っているか 」と「1枚1,500円以下か」だけなので、選択肢の幅が狭い。特に演奏家のほうは 知識が全てで、それを広げる方法も知らないので難しい。

  前者は指揮者がコープマンで、後者はピアニストがグルダ。
  コープマンは同じくモーツァルトで『アイネ・クライネ・ナハトマジーク』を よく聴いている。ヴァイオリンの4重奏曲だったかな。グルダはモーツァルトで ピアノ協奏曲をいくつか聴いている。クラシックを初めて聴いたときがグルダだ ったので、カルガモのように慕っている、というあたりか。実際に良い演奏だと 思う。きっといつかは、たぶん2010年あたりには、もう少しまともなことが日記 に書けるだろう。


  書店へ。
  買いたい本が3冊あり、しかしアマゾンで指名買いするほどでもないので確認 に行く。お金がある時代は、著者やタイトルで「買いたい」と思ったら立ち読み をしないで買っていた。でも今はそうではない。

  生活のレベルを落とすというのは難しい。
  今まで歳を取るたびに裕福になってきたけれど、今年は初めて、受験の英語 でいうと be worse off というのか(=より生活がラクではない: be badly off の 比較級)、つまり貧しい生活を強いられている。去年まで買えていたものが、し かも僕が人生でかなり重要視している本が買えないというのは本当につらい。上 昇局面まで我慢しましょう。

  結局1冊だけ買った。
  1冊は立ち読みしてほぼOK。もう1冊は将棋の谷川浩司の『構想力』だった けれど、今までの本とあまり変わらない感じでパス。半年後に新古書店で見つか ればいいや、くらい。もう1冊は発見できず。他にも30分ほど見て回るが、触手 が伸びるものはナシ。


  帰宅すればもう早い夕方。
  ヒミツの花園を1時間くらい。朝からまずまず晴れている。日曜日から家を空 けるから、干し物に興ずることができるのも今日限りか。取り込んだ布団には太 陽のにおいがする。気分が良い。ただし腰が痛い。すると横になるから本を読み 、感想文の時間になる。


  『別れの後の静かな午後』大崎善生を読了。
  6つの恋愛短編小説集。秋の読書にぴったり来る、ほどよい秀作。

  著者の本は文庫になったときに必ず買っている。
  2年に3冊くらい長篇小説が出て、本書のような短編集は1年に1冊くらいの ペースだろうか。昨年の今ごろにも短編集を読み終えている(ヒマここ)。読み 始めてもう4年目に入ったから、僕にとっては一定の評価ができる作家になった 。

  特別にすごい作家だというよりも、フレーズが身にしみる、とでもいうのか。
  6本目の『悲しまない時計』から。

>おそらく僕は思っていることの七分の一くらいしか彼女には伝えない、あるい は伝えられないタイプの人間だったし、綾子もまた七分の一とまではいかなくて も同じようなところがあった。せいぜい三分の一くらいだろうか。では伝えられ ない僕の七分の六と彼女の三分の二はいったい何なのだろう、それはどこへいっ てしまうのだろう。

  僕もこういうことを個人的にグチグチと日常的に考えている。
  「どこへいってしまう」のか結局はわからないのに、しつこく考えるしかない タイプの人間だ。そうなんだよな、問題はその先なんだよな、それがわからない んだよな、ということを確認するために著者の小説を読んでいるのかも。小説に 不慣れな人にも楽しめる、ちょっとオトナな小説集。


  暗くなってから図書館へ。
  旅行の予習用の本を探す。あまり観光地化されていない地域なので、本が少な い。昼間にガイドブックも立ち読みしてきたのだけど、買うほどワクワクしない というかね。たぶん畑にはピーマンばかりなっていて、酒は芋焼酎しかないんだ ろう。ってことはあのアタリですね。西郷どんの何とか、なんていう楽しそうな 「観光名所」がたくさんあるのでしょう。あんまりトキメかないなあ(-_-)


  風呂で腰を温めてから夕飯。
  朝から作っておいたのはおでん。この秋では初めて。大根、いわしつみれ、牛 スジ、タコボール、うずら卵巻きの5種。味をしみこませるには冷ますことが必 要。だから朝に作って放置しておいたのだ。

  やや塩が多すぎたけれども、きちんとした仕上がり。
  独りおでんの何が悲しいかと言って、全てを食べきること。

「あ、玉子もうないのかよッ」
「うっせー、ハンペンでも食べてろ」
「ハンペンも切れました」
「マジかよッ!」
「ちくわぶでもしゃぶってろ」
「チ、ちくわぁ」
「ちくわぶとチクワは違うって」

  なんて独り芝居をやっていると夜が更けていく。
  やってないっすよ(-_-;)
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