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底の見えない黒い沼 |
10月30日 |
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8時間たっぷり眠って気分爽快な朝の9時。
昨夜の読書ネタから。
『孤独か、それに等しいもの』大崎善生を読了。
5本の短編小説集。そのうち3本が女性の語り手を主人公としている。表題作
の『孤独か・・・』が一番良いように見える。双子の妹を喪失した主人公の物語
。彼女にとって、双子の妹はもう一人の自分であった。書き出しは以下の通り。
>孤独を感じたことはない、という孤独をどれくらいの人が理解してくれるのだ
ろうか。それこそが底の見えない黒い沼のように深く恐ろしい深みであるという
ことを。
この文章に共感を覚えた。
孤独を感じないことがどれほどきついことなのか、孤独でない人々は知らない
。孤独だ、なんて公言している人に嫉妬を覚えることすらある。その微妙な心持
ちがうまく描かれている。
しかし敢えて苦言を呈すれば、大崎は作品数が多すぎる。
もっとテーマを絞り込んで、時間をかけて大きな作品を仕上げてくれればと思
うことが多い。何度もエッセイ(たとえばここ)や日記(あるいはここ)で取りあげ
たように、少なくとも僕にとって期待の作家であるだけに、そこが惜しい。いや
、だからと言ってこの短編集が良くないと言っているのではなく、絶賛している
のである。僕のサイトを愛読している人なら楽しめるであろう本だと断言できる
。多少の喜びと小さな失望を感じる小さな良書だ。
年度代わりの書類書き。
年末調整とか扶養控除がどうとか、そういうよくわからない奴。この書類苦手
な性格は直らないのだろうか。そもそも書かれている文字の意味がよくわからな
い。特定扶養控除と老人扶養控除はどう違うのか? まあ、1時間くらい読んで
いると理解できるのだが、来年の今頃はまた「何これ?」とやるのであろうな。
国民年金の支払い証明書というのが必要だとわかる。
「このへん、大事な書類ですから」の束を探してみるが見つからず。昨年のそ
の書類の破片(というのか?)が出てきて、「10月20日発行」とある。さすがに
この10日以内だったら受け取っていれば記憶があるはずだし、なくすはずもない
。
その役所(国民年金何とかカントカ)に電話する。
しかし午前11時くらいから3時間ほどかけるがつながらず。ナメとるのか公務員。ど
うせ似たような電話が殺到して、面倒だから回線を増やすこともなく、担当者も
無気力で喫煙所に逃げ込んで、
「あー、ちょー電話多い。マジうぜぇ」
などとグチりつつ、耳垢でも掃除しているのであろう。勝手な推測だが(^^ゞ
昼食は味噌ラーメンをタンメン風に。
横浜の通勤電車内では買い食いのオニギリ3ケ。それでも足りずに横浜そごう
のパン屋さんで「アップルココ」をおやつに買う。ココってのは何だろう。しか
しよく食べるね、我ながら。
今日はIM→AL/CP→EXと全て早稲田の長文。
IMは少々内容レベルが高くて苦労した。設問はたいしたことがないのだが、
英語というより内容の説明に時間がかかって苦戦。アバウトに要約しよう。
>アメリカの歴史教育はイイカゲンだ。専門知識のない教員が多いから、教科書
をこなすだけの授業で、そこから発展した議論(を練習する)の勉強にまで達し
ていない。教科書もナショナリズムを煽るような内容ばかりで、生徒の歴史に対
する探究心を駆り立てようとする妨げになっている。
困るのがナショナリズム。
タイトルの小見出しが「自由の国」とか「アメリカたる国の勃興」などとなっ
ているが、化学の教科書のそれが「分子の勃興」なんてものになるはずないじゃ
ん、という文が出てくる。後半の化学の部分がジョークだとわかる生徒様なら良
いのだが。残念ながら、完全に理解していただいたという自信はちょっとないな
。こういうリテラシーを1回コッキリの授業で与えるのはムリに近いこともであ
る( almost impossible )。
AL/CPの生徒様♀の相談。
同じ日程で早稲田・法と慶応・文がかぶっているということ。僕は英語の講師
なので、問題形式と受かりやすさという判断を仰ぎたいということだ。
慶応の文は長文1題きりで、非常に難解な問題。
しかも要約があり、とうぜん内容的にも難しいものが多い。つまり合格に必要
な点数は少ない。
一方、早稲田の法は長文2題と短文数題で、やや軽い問題。
ちょうど今日扱った長文(本文は1000語程度で、設問がやたらと細かく一致箇
所の確認を取るのに手間取るという面倒な問題)が2題なので時間は厳しいが、
難問ではないので合格に必要な点数は多い。
つまりタイプが全く異なるのだ。
それにしてもしかし、早稲田・法と慶応・文の選択となると、人生がだいぶ違
うんじゃないのとアドバイスしておく。
大学も学部もカラーがだいぶ違う。正反対と言ってもいいだろう。たとえて言
えば、シリコンバレーでグーグルのシステムエンジニアとして生きるか、ニュー
オールリンズでジャズトランペッターとして生きるか、くらいの違いがある。ど
っちがどっちという話ではないけど。リテラシーの高い読者は
「わざと順番を逆にしてるんじゃないか?!」 と勘ぐるポイントでもあるな(-_-;)
最後のEXは「アメリカに階級はあるか」というネタ。
さあ来ました信原先生大得意の格差社会論! さあ出ますか、問題発言! 偽
悪の差別者の本領が発揮されるか、期待してますよう! と自分を励ますが、そ
んな余談しているヒマがなかったよ。
ところで授業後に質問が来たのだが、本文37行目は文末に than when they
grow up の省略があります。
ちょっと時間がなかったし、まあEX生ならわかるだろうと思って説明を省い
たのですが、そこが問1の7に対応していますのでご確認をよろしく。
本文と日記をはずれて余談をしておけば、アメリカには格差はないことになっ
ている。
何しろ自由と平等の国ですからねえ、そんなもんあっちゃいけないし、あるは
ずないし、あったとしてもないことにしなきゃいけないし、つまり階級ってのは
確実に存在しているんですよね。
もちろん人種差別の思想がその裏づけになっているも明記しておかなければな
るまい。
そして、人種混交が進みかつ移民の増加で純粋な白人の数が減っており、その
ような人種差別意識を維持することすらできなくなりつつあり、その白人の過剰
な自意識を維持するために階級格差という見えない壁を作ろうとする動きも、公
には絶対にできないながらも存在している。
この「事実」はアメリカという矛盾に満ちた国を考えるうえで基本となるので
、ただ単純に「差別は良くない!」などという森田健作的な青臭い正義感なぞ持
って英文を読まないように。森田さん、すいません。
夕食。
練習のためにキャベツの甘酢漬けに再挑戦(マスター)。
昨夜のヒラメ刺の残り(やはり2日目が旨い)。
鮭の西京漬け。これも練習(漬かり方が足りなかったがマズマズ)。
昨夜のジャガイモ炒めの残り(ツナを使うとどうしても水っぽい)。
モヤシ炒め(モヤシの日持ちをよくする方法はないのか?)。
特に締まりもなく長めの月曜の日記は終わる。
こういうのを書けるのも残り5回ですな(^_^)/
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