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波打ち際の愚か者 |
10月16日 |
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7時半起床。
・みんなの憧れのアノ娘は、実は定期的に先輩にカツアゲされていた。ようし助
けなくっちゃ。僕は錦糸町駅で快速に乗りおくれ、17分待ち。じゃあ各駅停車で
行くぞとホームを駆け下りて・・・
という夢だった。
アノ娘って表現はいったいなんだよ。ライトノベルみたいなストーリー展開だ
なと思ったら後半はテツねたなのかよ。まだ6時間足らずの睡眠だが、体調は良
くなったみたい。
朝のうちは雑用。
少し迷ったがプールに行く決心をする。ハンパとはいえ病み上がりで、どうし
よっかなと迷うところだった。乾いた秋の空が気分を後押し。泳いでみれば予想
通りに息の出し入れが苦しかった。マンガ『キン肉マン』風に表現すると、
>コーホー
という感じの息つぎ。まだ鼻づまりその他の後遺症(おおげさ)があるんだろう
。
ところでこのキャラって「ウォーズマン」だったかな、忘れた。
え、『キン肉マン』すら知らない? ネタが古すぎる? いつものことですい
ませんえん。これも古すぎるし、だいたい意味がわからないな。何とか550メー
トル。
スーパーで買ったおこわ弁当が昼食。
メインのおかずは旬のカキフライだったが、これがダメダメ。おこわの美味し
さとあわせ技で引き分けくらい。食後に15分くらい昼寝。珍しく自宅の電話が鳴
る。家族から。
旅行のうちあわせ。
また行くのかと思うだろうし、僕もそう思う。親孝行ではあるけれど、お金が
かかってしょうがないな。去年は2回しか行っていないから、その反動かな(今
年はすでに3回だと思う)。行き先は南国(国内だが)で、11月の予定。日程と
いうより旅程の組み合わせが多く、電話のあともゴソゴソ検討する。
ヒミツの花園。
さわやかな青い空を見つめながら。朝から見事な秋晴れ。一切文句はなく、い
っさい雲はない。最高気温も22℃くらいで、最低湿度も35%くらいで、これ以上
の秋晴れはまず望めない、というくらい。夏掛けの布団2枚も完全に干しあがり
、大きなゴミ袋に入れて密封する。来年の夏までさよなら。
これだけ気候が良いと読書も欠かせない。
窓を細く開けて、ソファに横になって、自分の想いを昇華するために小説を読
む。何よりもこの時間が好きだ。この趣味が好きだ。酒も煙草も銀玉も嫁もいら
ない。読書を自由にできるこの時間だけは失いたくない。
『波打ち際の蛍』島本理生を読了。
DV被害者の女性を主人公とする、暗いタッチの恋愛小説。
いかにもこの著者の得意なジャンルで、しっとりとして良い。
島本理生の小説をハードカバーで買うのは8冊目。
デビュー本にあたる『シルエット』以外は全て初版で買っていることになる。
それだけ注目しているし、好きな作家だ。新古書店に落ちてくるのを待つなんて
考えもしない。2005年出版の『一千一秒の日々』からは徐々に作風に幅が出てき
たし、そういう幅の広さを目指しているのだろうなあ、でもまだイマイチだなあ
ということは前作『クローバー』の感想文でも書いた(ヒマここ)。
あとがきから引用。
>ここ数年の執筆は、とにかくいろんなものを書いてみよう、という一心で舵を
取り、どこへたどり着くのか分からない船旅に出ているようでした。
その時間の中で、もう一度初心に返りたい、という気持ちがじょじょに強くな
り、今、この小説を書き終えて、ようやく「ただいま」と言えた気がします。
なるほどそういうことだったか。読者を一気に感動させて泣かせるというタイ
プではなくて、積み重ねる記述の中にある重苦しい感情を味わうタイプの小説で
ある。好みはわかれても、僕は後者の小説が好きだ。
しかし欠点もある。
なんとなく書き急いだように思わされる箇所が多い。本当はもっと細密に、つ
まり詳しく書いたところを、あとでバッサリと削ったと思われる部分が目立つ。
ストーリーは何とかつながっているのだけど、心理描写がどうつながっているの
か読みにくいところがいくつかあった。
どれだけ省くか、どれだけ書き込むかは小説を書く上で非常に重要な問題であ
り、著者もそうとうに深く考えていることだろう。
それでもね、なんかね、もっと踏み込んでほしいんだよな。あまり書き込むと
説明的になりすぎてしつこい、となる嫌いはある。そういうのが小説として幼稚
だというのも、洗練されていないとされるのもわかる。されど、まだキャリアの
短い作家なんだから、
書きすぎてちょっと余分という荒っぽさ
があってもいいかもしれない。
それでも島本理生は良い小説家の1人だと思う。
きっともっと良くなる。1作に1年半くらいの時間をかけて、もっとどっぷり
した小説を書いて欲しい。まあ、そんな本は売れないから出版しにくい、という
事情はあるんだろうけど。そこそこのオススメ度。彼女の本が初めてという人は
、『ナラタージュ』を文庫で、というのがいいかな。
これで一日が終わっては仕方がないので外出。
日本酒を買って、ふたたび自転車店を下見する。やっぱりけっこう高いなあ。
1万円ではゼッタイに足りない。落ち目のわが身、収入は少ない。自転車代を稼
いでこないと。いったん帰宅して銀玉店へ発進! たけし、イキます!
発想があまりにも愚かだと思う人はいるだろう。
読者様は、
>ついさっき「銀玉なんかどうでもいい」と書いたじゃないか
とも思うだろう。僕もそう思う。行けば行くほどマイナスが増えるに決まってい
るのだ。しかしたまには勝つこともある。人生が予想通りにいってたまるか。3
時間の激闘で19,000円勝ち。ミッション・コンプリート!
夕飯のメインはマグロ山掛け。
マグロのすき身にとろろをかけたもの。非常に旨い。マグロってあんまり好き
じゃないし、そもそも高いけど、すき身っていいよね。下手な中トロより圧倒的
に旨い。
他にはナスの油炒め、キムチとキュウリの和え物。
昨日の残り物の豚バラ大根煮。煮物は2日目が旨いね。きのう書いてい
ないところでは、カブの葉のニンニク炒めとか、キャベツと大葉の浅漬けとか。
ワインを呑みながら日記を書く。
音楽はグレングールドが演奏するバッハのピアノ曲。静かだ。波打ち際って何
の比喩だったんだろうと考えながら。秋の夜は、愚か者にも思考を強いる。
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