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情景に仮託すること |
7月5日 |
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9時半から活動。
今日もどっしり曇り。雲のない空を最近見たのはいつだったか。雨も多いし、
今年の梅雨は本格的だ。ヤル気があるというか、記念碑的というか。午前中は脳
が稼動しないからモタモタするのはいつもと同じ。
7月2日の日記で、どうやったら聞き手に情報が届くかという話を書いた。
茶化してオフザケで書いているように読んだ人もいると思う(それでいいけど
)。どういうわけか、この『よびわる』の読者様の中には、若いと思われる塾講
師の方が多い。異なる人から
2ヶ月に3通くらいメールを頂く
ので、「多い」と書いて大丈夫だと思う。だから、教える方法の1つの提案とし
て書いた。さすがにアドバイスなんていうオコガマシイ気持ちはない。
内容を伝えるときに、ただ同じことを繰り返す方法はたしかにある。
学習の初期段階にあれば、その方法が有効なことは多い。ただ、それだけでゴ
リ押ししても、その日記で書いたように聞き手のからだに入っていかないことが
ある。教えるという経験を持っていれば、講師業をしていなくても
「あー、もう何回言ってもわかってもらえねぇ」
と思ったことはあるだろう。
同じ内容を、別の表現で伝えること。
言い換えることだ。先の日記を例に取れば、オプション講座への誘導は、冗
談めかした僕のトークになる。
「速読ゼミは絶対取りなさい、大学別ゼミVはMARCH志望でなくても非常に
有効な講座だから、もれなく取りなさい」
こういう言い方ももちろんある。ただ、このトークはパンフレットが配布された
直後の授業ですでにしているから、同じセリフを繰り返しても意味がないと考え
たわけだ。
そこで、
>「取ってない講座を取るように脅迫してこい」なんて言われちゃって
という表現に変えた。
もちろんこのトークで結果が伴う(つまり追加申し込みが殺到する)という保
証はないし、望みはそれほどないだろう。サラリーマンの人などはご存知のよう
に、営業ってそんなに甘いものではない。でも、前とは違った言い方をすること
で、
「なんか知らんが信原のタコが講座取れって言ってたな」
という記憶が生徒様の脳に残る。タコじゃねぇんだよ。結局は同じ内容なの
だけど、表現が変わるという目新しさがあるから、ついつい話を聞いてしまうわ
けだ。
これが言い換えることの効果だ。
校内放送が無意味だというのは、マニュアルの文章を読み上げるだけでは効果
アップが望めず、ただの選挙的連呼で終わってしまうよ、という主旨を別の表現
で書いたことになる。ああ面倒くさいこと書いた、失礼。
ひたすら授業準備。
ダメだ、もう秋田県。と言って逃げ出すわけにも行かず、だいたいギャグが古
いというかオヤジ入ってるというべきか、やるしかない。今日は問題を解くので
はなくプリント作り。14講座95コマぶん(もちろん全部作るわけではない)に及
ぶから、作業はカオスの中へ。
・PCの前
・ワープロの前
・ソファの上
全てがシッチャカメッチャカである。
いまの自分が、どのテキストのどの授業ぶんのプリントに取り掛かっていて、
どの去年のプリントを参考にしていて、あるいは使いまわしていて、新作してい
て、どのテキストを見ていて、どの資料を読んでいるのか、何もかもがゴチャゴ
チャになる。とりあえず
散らかせるだけ散らかして、
収束させるタイミングを待つ。たぶん明日には骨子が見えてくるはず。疲れたの
で読書に逃避します。
『蜂蜜色の瞳』村山由佳を読了。
「おいコー」として知られる名作恋愛小説のシリーズ11冊目。
第2部突入ということで期待しただけに、ちょっと残念なデキかも。
最初の10冊は「ファーストシーズン」と呼ばれ、本書から「セカンドシーズン
」と呼ばれることになった、という事情は2008年7月1日の日記の通り。
ぶっちゃけったことを書きますと、
ファースト=初エッチするまで
セカンド =初エッチしてから
ということですね。先生、ぶっちゃけ過ぎです。21歳のショーリ君が5歳年上の
かれんさんと、えーと、です。なんだ。です。照れてどうする。
本書は長距離恋愛が基本テーマになる。
んで、そのアノなんですかね、2回目にやっちまうまでの話ですわな(だから
ロコツに書きすぎだよ)。セカンドシーズン突入で、今までのイキサツを復習す
る部分が最初の2割くらいになる。これで本全体のスピード感が欠落してしまっ
ている。恋愛ってのはイキサツが全てと言えなくもないわけで、シリーズを再び
開幕させるからには仕方がないのかもしれない。
もう1ついただけないのは、心理描写の仮託がミエミエすぎること。
タイトルの蜂蜜色の瞳を持つのはかれんさんで、それはいいとして、なぜ蜂蜜
が選ばれているのかが単純すぎる。「おいしいコーヒーのいれ方」から離れてい
くことを示すために、コーヒー以外の飲料を登場させたのもよくわかるが、その
飲み物が出てくるシーンを読んだ瞬間に、
「なんだ、この程度のたとえだったのか」
と残念に思った。今までは『雪の降る音』や『遠い背中』のように秀逸なタイト
ルが多かっただけに、落差は激しかった。このシリーズでは最もデキが悪いタイ
トルかもしれない。
が、やはりこのシリーズは全体に良い作品だとも言える。
同じ登場人物で時間の流れ方が異常に遅く、どこまで話を引っ張るつもりなん
だというのはマンガの『ドカベン』(古いなあ)などと同じ手法なれど、逆に
同じアイテム(登場人物などの設定)で同じテーマ(青少年の清き恋愛)
をどこまで語り続けられるのか注目である。初めての人には第1作『キスまでの
距離』から入ることをオススメします。
夕飯のメインはボタンエビの刺身。
もっとも、ロシア産。国産は高いんだよなあ。皮を剥くのが面倒だろうなと思
いつつ買ったら、皮を剥くのが面倒だった。お味はそこそこなれど、国産で大ぶ
りなものをフンパツして買うべきだったかも。
サブは豚肉しょうが焼き。
今日はシシトウを絡めて焼いた。旨かった。脂と油がマッチして、シシトウの
辛味が見事なアクセントになった。夏のシシトウは苦くて辛くて良い。苦さや辛
さがお酒のツマミになるのは、
人として少しは成熟した証
であるかもしれない。 |
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