予備校講師でわるかったな!





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部分に全体が見える 9月17日
  メリハリのある日々だとは思う。
  きのう水曜日の朝は「さあ今日はバタバタするぞ」と思ったけれど、きょう木 曜日の朝は「今日をしのげば休日だ」と思う。同じ1日3コマでも気分は違う。 つい3週間ほど前までの講習期間は

壁にペンキでも塗っているように

日々が過ぎていったけれど、平常期の今は様々なタスクをパタパタとこなしてい くリズムがある。

  同じ仕事をする=授業をすることに変わりはない。
  でも、日によって授業の内容は異なるし、生徒様も変わる。職場も異なる。柏 休日市川休日休日西船橋市川。気分はさまざまで、コラージュを作って、あるい はコラージュの中で踊らされているように感じる。実は楽しいことなのかもしれ ない。9時17分起床。


  新聞に村上春樹のインタビューが出ていた。
  メディアを選んで、タイミングも選んで、おそらく内容も自分で選んで、春樹 のインタビューは1年に1度くらい掲載される。どの記事を読んでも「どこでイ ンタビューされたか」という事実が伏せられているのは、春樹が意図的にやって いることだと思う。

  『1Q84』の続編を書いている、という内容だった。
  毎日新聞のサイトから引用

>バッハの『平均律クラヴィーア曲集』をフォーマットにしたのは、もともと2 巻で完結と考え、そうしたわけです。でもしばらくして、やっぱり3を書いてみ たいという気持ちになってきた。

上記の引用サイトにはなくて、リアル新聞のほうにあった記述はこうなっている 。要約する。

>12音階すべての長調・短調を用いた24曲ずつ2巻というバッハの『平均律クラ ヴィーア曲集』がフォーマットで、青豆と天吾の章がメジャー、マイナーの順で 交互に出てきて24章というかたちで完結。作中にも、予備校講師(数学)の天吾 が「バッハの平均律」への思いを語る場面が出てくるが、いかに考え抜かれた構 成かがわかる。

物語全体の構成を示唆する箇所が作中に必ずあるのは春樹の小説では基本となっ ているから、「いかに考え抜かれた構成かが」と言われると「そうかな(春樹だ ったらデフォルトでは?)」と思ってしまう。ハルキストはマニアでいけない。

  それにしてもしかし、

2巻で完結のつもりだったのか

という感想が残った。
  作為だと思ったんだがなあ(ヒマここ日記)。おそらく、Book3は既に完成稿 に近いものになっているんだろう。初夏に出版したいという「発言」だったから 、そうでなければ間に合わないはず。まして、春樹がそのあたりを考えずに「イ ンタビュー」を受けるはずがない。時間意識を重視する作風だからだ。


  お昼にかけてT作戦。
  在宅のお仕事。やっぱり時給は400円くらいだろうか。作業の効率化をもう少し 計りたいけれど、僕の脳みそと事務処理能力ではこんなものかな。プールと昼食 の話題はパスして、読書感想文。


  『人生は勉強より「世渡り力」だ!』岡野雅行を読了。
  町工場の経営者による生き方指南本。
  威勢が良くてカッコイイ内容だが、市井の人々には無関係と言える内容。

  町工場の職人と言えば、黙して語らず、ただひたすらに職人芸を極めんとする 求道者といったイメージがある。
  著者はそういう従来の職人らしさを否定し、自分の技術を売っていくことがで きている人のようだ。べらんめえ口調で世渡りしていくことの重要性を述べる。 たとえば。

>みんな自分を認めてもらいたい、評価されたいと思ってるだろ。だったら、ド ーンとアピールしなきゃダメだよ。
日本じゃ、口数が少ないほうが人間として深みを感じさせるとか、やたら目立 とうとするのは品がないなんていうだろ。冗談じゃねぇってんだよ!

ゴシック本文ママ。う〜んなるほどと思う意見である。多少は暴論だが、認めら れるというか、認めたい面がある。全編がこの調子だから読んでいて疲れるとい う面もある。

  ただ残念なのは、わしら一般の読者は著者のような高い能力を持っていないこ とだ。
  著者は「痛くない注射針」を作るなど、金型の仕事で相当な社会的評価を得て いる成功者である(アレ作ったのってこの人だったのか、と感心した)。これだ けのスキルがある人ならこれだけのことは言えるよなあと、残念なことに、

自分にはそのスキルがそもそもない

ことを思い知らされる結果になった。作家の村上龍が本書を絶賛していると表紙 に売り文句が入っているが、「そりゃあ龍だったら絶賛できるだろ」と思ってし まう。

  成功者の物語から何かを学ぶのは、読書の大切な効能の1つである。
  きょくたんなことを言えば、読むに値する文章を提供している時点で、書き手 は一種の成功者だからだ。われわれ読み手は、書き手の書くものの中に自分との 共通点をなんとか見つけ、いや見つからなくても学びになりうる部分を探すこと で本から喜びを得る。ただ、僕としてはということだが、この本を読んでも

「これなら自分の手に届くな」

と思う箇所はあまり見つからなかった。僕も卑小とはいえ一種の才能を活かす職 業を持っているにせよ、レベルが違いすぎる。地道に、地味に、堅実に、年収400 万円台でガンバル30代のサラリーマンが本書を読んでも、だいたい同じような感 想になるのではないか。でも、シットを覚えるといった種類の感想にはならないだ ろう。嫉妬よりも、もう少し哀しい思いを持つかもしれないね。


  柏校。
  Qクラス対応の速読ゼミも順調だ。少しだけ時間が足りなくて、少しだけ精読 の緻密さに不安が残る。強調構文が内容一致の正解となる選択肢に使われていて 、そこで取りこぼすといったようなこと。たぶん受講生もそれを自覚している。 そういう

ほんのちょっとツライ瞬間

にこそ、力が蓄えられる。少しツライから諦める、それをオトナも許してあげる 、そういうオトナが子どもに評価される、というのが昨今の風潮だろう。それで もまあ、生きていける程度の豊かな社会になったとも言える。

  格差社会という概念がある。
  あんなもの、ちょっと努力をサボった人間を甘やかしたから出てきた結果だろ う。不況といった社会情勢に起因するものは除外するにしても、基本的には甘や かしの社会が必然的に作ったものである。スポイルした方に何かのデメリットが 生じるわけではないから、

スポイルされた方がそのイタさに気づかない

というだけのことである。自戒をこめつつ、抽象的に書いてみた。Qクラスも順 調に推移。


  帰宅の道は寒かった。
  昼間は27℃くらいで半袖で快適。夜は22℃くらいで半袖だとお寒い。今日の僕 はポロシャツだったので、この時期の寒暖の差に当てられた、というところ。な るほどインフルエンザも流行するはずである。今日の柏校でも、

「学校閉鎖なんで授業を休みます」

という生徒様の連絡が入ったとか。そのようにして頂きたい。罹患していなくて も、その可能性がある時点で自宅謹慎するように。基本的に、学校なんて同じ菌 が蔓延するシステムである。バスケットボールとか、剣道のお面とか。

ウガイと手洗いで何か変わるか

と皆が思っているけれど、公言するとカドが立つみたいだ。


  夕飯のメインはヒラメ刺。
  サブはナスとピーマンとシシトウの中華炒め。ニンニクを利かして、豆板醤と 紹興酒で味付け。野菜は火を通したほうが大量に食べられると今さら実感。他に は茹でトウモロコシ、キムチ納豆、味噌漬け葉ショウガ、モロキュウなど。日本 酒のヌル燗がすごく美味しい季節になった。

  部分は全体だ。
  全体は部分に浸みだしていく。本当に言いたいことがあれば、自然にそうなる 。全てがそうだとは言わない。でも、きちんと考えて書けば、

著者の意図は言霊(ことだま)となって

細部に出てくる。もちろん、読者が何もかもを汲み取ろうとする必要はないし、 その意味もないのだけど。この日記、書くのに20分以上もかかった。


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