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独りで何が悪いんだろう 9月21日
  今日は「敬老の日」。
  何年か前までは9月15日だったという話は、9月15日の日記に書いた。同じこ とを書いてもしょうがないので、唐突だがここでクイズ。


設問:以下の4つを、時代の順番に並べかえなさい。
A:「海の日」が制定された
B:5月4日が休日になった
C:「成人の日」は1月15日ではなくなった
D:「敬老の日」と「秋分の日」のあいだの9月22日が休日となった


  むずかしい。
  少し設問文がアイマイかも。事実だけで考えると、Dが最後だというのは体感 的にわかる。「秋分の日」が9月13とか17日ってのは考えにくいから、「敬老の 日」が第3月曜日に移動してからだ。BとDは、根拠となるルールが決まったの は同日かもしれない。そうであれば、そのルールの施行日によって正解が決まる 。

  Cは「敬老の日」の移動と同時のはずだが、本当に7年くらい前なのだろうか 。
  Aは制定されたときに、

子ども(学童)にとって何の意味もないじゃないか

と批判されたのはよく覚えているし、わりに最近そう思った記憶もある。ただ、 それが

「できるだけ第3月曜日に」という法律

(あっそうだ「ハッピーマンデー法」だ)の制定 or 施行より前だったかと質問さ れると混乱する。

  以上、何も調べないで書いた。
  ゆえに、設問矛盾の指摘などをしてこないように。正解を僕に教えたくてたま らない人はメールをするように。こういうことはネットで検索しない主義なので す。以上、本日の頭の体操コーナーでした。

「そんなコーナーなかっただろ!」


  9時20分起床。
  まだ少し眠く、少し二日酔い。昨晩は生ビール1杯・ホッピー2杯・日本酒3 合ほどということで、少し呑みすぎたかな。昨日の麻雀を回顧。

  前半8回は、松任谷初段の独壇場。
  どこでどういう練習をしてきたのか、バカヅキというか何というか、手がつけ られなかった。

リーチ・抜きドラ2・表ドラ3・裏ドラ3で倍マン

とか。8回でトップ5回。ふざけろ。

松「訓練の成果が出ました」
A「松っちゃん、どこで練習したんだよ?」
僕「特訓したのか? 特訓すると麻雀ってバカヅキするのか?」

  後半8回は、僕が7連勝。
  押し引きがよく読めて、リーチ1発ツモを繰り返した。しかし、往年と異なり ドラがのらず、もっと早く大きく勝てるものに時間をかけてしまった、というと ころ。ドラがのらないというのは、

つまるところ人間力の弱さ

であるだけに残念だ。だからといって、どうすることもできないけれど。


  午前11時に友人から電話。
  昨晩もケータイに着信があったが、麻雀または呑みの最中なので気がつかなか った。人と会っているときに、ケータイは触らない主義だ。同じ時間を共有し、 同じ空気を吸っている同席者にわるいから。

  さて、電話の内容。
  失業して、恋人にふられた。なかなか強烈な体験だとは思う。失業ってのは人 生で何回もないだろうが、失恋というのは何度でもあるような、ってところ。友 人は電話の向こうで泣き出す。人生で何がつらいって、

電話口で話し相手に泣かれる

ことであろう。困るよねえ。そういう経験、ありませんか? ありますよね。え っ、ない? 若造はもっと人生経験を積みなさい(^_^;)


  友人は3日くらい何も食べていないと言う。
  しかも不眠の日々だと言う。僕のような無味乾燥・傲岸不遜・合理主義・容姿 端麗・言語道断な人間だと、

人生の辛きことと日常生活は別

となる。つらくたってハラは減るし、人生は進んでいく。だから食事に代表され る日常生活を放棄することは絶対にないし、なかった。そういう思考・性向シス テムを構築してきたのだ。

  しかしまあ、あまねき世間の人はそうではない。
  人生の何かが辛くて食欲や生活欲といったものが(1時的とはいえ)損なわれ てしまうのだ。請願されて、友人の家に食事を作りにいくことになった。

俺っていいヤツだな

と心から思うけれど、心の下のほうでは「ああ面倒くせぇ」と思っていたりする 。買い物を済ませて到着時間が見えたらメールするから、正午くらいまでには、 と言って電話を切る。


  いそぎ外出準備。
  たぶん食材が全くないんだよな。胃の負担を考えると、重いものは食べられま い。温かいソーメンにするか。ソーメン4束、市販のメンツユをペットボトルに 詰め替えてスーパーへ。実際に買ったもの。

・ゴボウ、牛肉、豆腐、牛乳、ヨーグルト、高野豆腐、カマボコ、玉ねぎ、長ネ ギ、大根、はす、キュウリ、水菜、トウモロコシ、キャベツ、ゴーヤ、ぶなしめ じ、ニンニク、モヤシ、しょうが、卵

おおむね、とりあえずあれば助かるといった食材たちである。

  友人のマンションに到着。
  とりあえず「冷蔵庫の中にある、食べられないものを全部捨てろ」と命令。メ ンツユにカマボコ・ブナシメジを入れ、長ネギの白い部分を入れる。卵とじにす る。ソーメンを堅めに茹でて、最後に汁の入った鍋に加える。ネギの緑の部分は 小口切りにして食べる直前に。他人の台所は勝手が悪くて使いにくい。


  食事を終えて、ふたたび台所に立つ。
  友人は居間で昼寝に入ったようだ。作りおきが利き、何ということのないお惣 菜を作ろう。精神が病んでいるときは、平凡な食事のほうが美味しく感じられる 。僕は「おふくろの味」という表現を嫌うが、世間的に言えばそういう料理だ。 人生がそうであるように、平凡な料理が日常の食を支える。

  完成したもの。

・ゴボウと牛肉の甘辛煮
・モヤシとニンニクのナムル
・ゴーヤの塩もみ
・キュウリとキャベツとショウガの浅漬け
・レンコンの酒煮
・キャベツの中華風甘酢漬け

  そう、僕がふだん食べているものばかり。レシピなんか見る必要はないし、調 味料さえあればどうにでも作れるメニューだ。「ゴーヤの塩もみ」が奇妙に思え るだろうが、このままオカカ・ポン酢で食べても良いし、卵や牛肉と一緒に炒め ても食べられる。ワタをくり貫いて輪切りにして塩もみしておくという、

基本的な下ごしらえをしただけ

の1品だ。こういうものがタッパーに入れられて冷蔵庫に整然と並んでいると、 生きる希望も湧いてくるというものである。


  友人の失業と失恋の話は、とくに訊かなかった。
  別に改善点を示せるわけでもないし、本人が自分で時間をかけて見つけるべき ものである。世間話をして、作った料理の日持ちの日数などを説明して、帰る。 それ以上のことはしない。安っぽい小説なんかだと、(略)なんて流れになるけ れど、僕にそういう悪趣味はない。ヘンに紳士だとも言えるし、妙に律儀な人間 だとも言える。

  このあたり、僕がいかに

村上春樹の小説に真剣にコミットしてきたか

がよくリカイできる話である。
  こういう流れで、独り暮しの友人の家に行って料理だけして帰ってくる男って 、なかなかいないと思う(ここで、多くの男子は「デザートはキミだぁ!」とな るのだが、この話はまぁいいや)。僕が示すことのできる好意は、

日常回帰への具体的な橋渡し

だけである。これも、僕のシステムであり生き方だ。


  あ〜あ、半日が潰れてしまった。
  帰宅すればもう夕方で、ハラがふたたび減ったためカップ焼きそばを食べる。 夕食にするには早いし、連休だから銀玉を打ちにいくわけにもいかないし。この 日記を書きながら相撲観戦。稀勢の里は白いほうの横綱に勝てるチャンスを逃し た。もう一息、何かが足りてないんだよな。

  風呂掃除を済ませてから夕食。
  メインはサンマ刺。ハンペンと水菜とレタスのサラダ。モヤシとネギの青い部 分で中華炒め(味付けは順に、塩・コショウ・鶏がら粉末ダシ・豆板醤・紹興酒 ・ゴマ油・しょう油)。ラッキョウの残り汁に漬けた大根。生キャベツとキムチ 。しょう油漬けのゆで卵。


  独りはとても楽しい。
  全てが自分のペースで決まり、責任を負うのも自分だけだ。誰とも喋らずに、 本を読みながら食事を取り酒を呑む。人生のあらゆることを、

自分だけで引き受けているのだ

と何度も実感する。なかなか難しくて、しんどいことではあるにしても、自分の 人生は自分で動かすしかないというレールに乗っていると感じる。それが、いい 。頂きものの酒盗(しゅとう=鰹の内臓の塩辛)をツマミにして、冷した辛口の 日本酒を呑みながら日記を書き終えた。
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