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腐ったが文学部出身者 9月26日
  夢から逃れるために毎朝僕は目覚めるのです。

・幼い魔女を捕まえることが僕の使命だ。砂漠に自転車を投げ捨てて、彼女が隠れたエレベータのボタンを押す。ドアを開けば、そこには少年の姿が。チッ、逃げられたか。いや待てよ、こいつ魔女だよな? 化けてるんじゃないの? 左手を捕まえると幼い魔女は元の姿に戻り「あ〜ばれちゃったぁ」だとさ。

 なんなんだよ、これ。魔女とか会ったことないぞ。目が覚めなかったらたいへんなこと(例:入院)になってしまう。なお、書きだしは村上春樹の新作『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』のパクリ。インタビュー集らしい。


 午前中は翻訳に没頭。
 気でも狂ったのか、と自分でも思ってしまった。英語の短い小説を読んで、どうしても日本語に訳したくなったという動機。特にこういう趣味はなく、衝動的な行動。アブナイ感じはするにせよ、

隠れた趣味は翻訳

という人はけっこういるはずだ。冗談ではなくて、1万人に1人くらい生息していると思う。


 外国語(ここでは英語)をそのまま読む、というのももちろん良い。
 日本語に戻すと冗長になるとか、適切な日本語がないとか、関係代名詞節を日本語に直訳するとヘンだと感じるとか、いろいろなケースが考えられる。また同時に、適切な日本語はないのかと探すのが楽しいこともある。先日の授業で、こういう英文の一部があった。

> a nice-enough looking chap

 「充分に良い見かけ」ではおかしいだろう。
 日常語で良ければ「そこそこイケメン」だろうし、書き言葉なら「それなりに男前」という表現もある。特に正解はない。自由にしてよい。ただ、翻訳という作業になると、

いかに原文に近い雰囲気の日本語を選ぶか

という苦しみと楽しみが生まれる。僕の語学力では(英語も日本語も)翻訳家になることはできないけれど、趣味として翻訳をたまにやってみるのはアリかな、と考える。そんなこんなで2時間ほど翻訳を楽しんだ。


 お昼過ぎに外出。
 自転車で10分ほどの酒店。帰りしなに中華料理屋で昼食を取る。コロコロと店舗が入れ替わる物件で、この3年で覚えているだけでも3代目である。風水だの占いだのはとくに信じないにしても、

商売に向かない土地(不動産)は必ず存在する

と思ってしまう。今日の店のマーボー豆腐は悪くなかったけれど、これくらいだと1年たらずで閉店するのだろうなという気配を感じた。

 いったん帰宅してまた外出。
 スーパーとドラッグストア。石けんとか、食器洗浄機専用の洗剤とか。朝からよく晴れて、午後から雲がどんどん増えていった。最高気温は23℃くらいで、空気は乾いて快適。布団も洗濯物もよく干せた。じっくりと読書。


 『向田邦子の恋文』向田和子を読了。
 高名な放送作家・小説家である向田邦子の手紙を収録したもの。
 不倫関係にあったN氏への恋文である。秀逸。

 どうも、向田邦子には手が出せない。
 その名前は中学生のころから知っているけれど、著作を手に取る気になれない。「手に取れない」のは比喩ではなくて、実際に立ち読みしたこともない。作家としてというよりも、人間として、陳腐な表現で良ければ

ひとかどの人物

であるように思えるのだ。知りもしないのに、敬意を超えた畏怖を感じている。

 勇気を出して、本書を読んだ。
 書き手は邦子の妹。邦子の手紙は6通ほどで、あとはN氏の日記。なまなましい恋愛関係の様子が滲み出てくる。30歳を過ぎてほどない邦子と、50歳に近い妻子あるN氏のやり取りだ。読んでいて止まらなくなった。

 本書の途中で、N氏がとつぜん自殺すると判明する。
 彼の日記は死の前日まで続く。僕は永井荷風のことを思い出す(ヒマここエッセイ)。邦子の手紙とN氏の日記は終わり、本書後半からは著者の解説が始まる。読み終える。

やはり、なんだか恐ろしい人だ。

僕が覚えた感想はこの一言につきる。すごい本だ。僕はいつか、向田邦子の本を読むようになるのだろうか?


 夕方に相撲観戦。
 TV放映再開は良かったけれど、全体にツマラナイ場所だった。とにかく、誰かが

いったんでも白鵬を止めなければ

どうにもならない。双葉山の連勝記録なんてのは、「昭和の大昔にはそういう時代もあったのだな」と思うくらいでちょうどいいはずだ。相撲に限らず何事においても、技術の向上アイテムや手段が均一化されて、

誰が何を競っても常に微差

というのが、現代らしいと考えている。


 そんなことを考えていたらケータイが鳴った。
 しかもメールではなく、電話のほう。仕事や実家関係以外では、また笑われるかもしれないが、2か月ぶりのコール音である。

「そんなに友達がいないのかよ!」

と質問されれば、返事は「そうですけど、何か?」である。さらに、「基本的に俺に電話をするな」と言って回っている。人格破たん者なのでしょうがない。

 高校時代の友人I君だった。
 これから呑もうというのである。あのねえ、いま日曜日の夜(リアルタイムは5時18分)でしょうが。みんな自宅で休日を締める晩餐に臨む前でしょうが。小学生じゃないんだから、こんな寸前でアポを取るか?

だいたい、あんた家族持ちでしょうが。

家庭崩壊でもしてるのかお主。僕の家から40分ほどのところに彼はいると言う。食材が乏しいが(当然だ、1人前しか用意していない)、彼が何かを買ってくるということで、いわゆる「家呑み」に。


 とりあえず掃除。
 基本的な部分は常にキレイだから問題ない。洗面所は丁寧に(♂はこんなとこチェックしないけどね)。同時に風呂を焚く。ざっと夕飯の支度をしてニューヨーク。電話の1時間後にI君は来訪。

 満腹&泥酔で10時前に解散。
 僕には自宅滞在のメリットがあり、彼には帰宅の手間がある。彼には後片付けの必要がなく、僕にはその義務がある。明日からフル装備の1週間。早く寝なくちゃと思いつつ日記を書く。人生台無しでもいいじゃないか、という件名。夜には雨が降り出した、I君には傘を貸した。 


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