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高価な時計の意味 11月21日
  6時半起床。
 2時消灯でどうしてこうなるのか。夜更かしになったのは

ワインと読書

という危険で魅惑的な夜間活動のため。どうせ今夜は早寝するのだし、外も晴れているしで起きることにした。午後からは雲が出たが、わりに暖かった。

 早朝のうちに仕事。
 市進の定例試験に関するプリントを作った。昨日の日記では「もう時間ないから今回は作らない」と書いた。でも、そういうのも気持ち悪いかなと思って。この種のプリントを作るのは、年度で

今回が最後

だから、かえってやっておきたかった。最後の仕事で手を抜くってカッコ悪いじゃないですか。


 予定変更で都内に行くことになった。
 愛読者はご存じのように、お出かけなんざしているヒマがないのだけど、やむにやまれずこうなった。愛用している腕時計が壊れたのだ。受験の英文法に、こういう例文がある。

I have to have my watch repaired.
(時計を修理してもらう必要がある)

外国語学習の例文は不自然なものばかりという定説があり、今日は現実になったわけ。「そんなもん地元で出せよ」というご意見もあろう。いえ、失礼ですが、あなたの時計とは違うんです。


 どうも変だと思ってはいたのだ。
 この夏あたりから、1日で20秒くらい遅れる( My watch loses twenty minutes a day. )。この1カ月は1日に1分くらいに遅れが拡大し、この3日ほどは

ネジを巻いても夜を越えると止まっている

ありさまだった。中の小人がサボっているとしか思えない。時計は正確であれば良いというものではないが、いくらなんでも困る。自分の職業にとって最も大切なのは時間という概念だ、と思ってこの時計を買ったからだ。

 過去日記を調べてみる。
 オーバーホールに出したのは2006年2月2日。基本的に数年に1回出すものだから、忘れていたようだ(やはり若年性痴呆なのだろうか)。この前回の例だと、戻ってくるまでに2か月はかかるので、今年度最後の授業には間に合わないだろう。

道具だから壊れるのも仕方がないさ、

と考えておきたい。


 午前中から銀座の店舗に赴く。
 客は誰もいない。「壊れたんで修理とオーバーホールを」と言うと、故障の申告などは不要だと言う。

>オーバーホールは新品の状態に戻すということですので。

そうか、そういうものか。基本料金は4万いくらかということ。円高なのに、4年前より値上がりしている。相場がわからないし、高いから修理はやめときますというわけにもいかない。承諾。

 戻ってくるのは今回も2カ月以上先になる。
 本国に送り返すからだ。預かり書に記載するために、店員は製造番号から購入日を調べる。1999年11月12日。けっこう時間が過ぎたなと思う。ここで読者様は

「それ、どんな時計なんだ?」

と思うかもしれない。当時の話になるが、1年に世界で200本くらいしか売れないものだとか。お値段は、まあどうでもいいでしょう。


 銀ブラ。
 とりあえず昼食を食べよう。10分ほど銀座をブラブラして、天ぷら店『阿部』に入る。カウンター席が10人ぶんくらい、先客は5人。テーブル席は2つだけ。銀座らしい高級店だろうか。数量限定のかき揚げ丼は900円とサービス価格。ためらわず注文。

旨いと思うだろう?


 銀ブラ続ける。
 修理に出したものと代わる時計に電池を入れなければ(あ、かき揚げ丼はサギでしたw)。三越の時計売り場に行くと、ここではできないと言われる。スウォッチだから、専門店じゃないとダメなわけだ。隣の松屋デパートに移動。735円。

 洋服を見て回る。
 が、買いたいものはないし、お金もない。予備校の仕事が減っているから、衣装を充実させる必要もない。安物を売る量販店に移動して(馬鹿げて広い店舗)、安い日常着を買う。すごく混雑していた。わざわざ都心まで出て買うものかとは思ったけれど、僕も同じだ。千葉に戻ってスーパーへ寄ってから帰宅。

 ずいぶんお金を使ってしまった。
 だから銀玉店へ。オーバーホール代の20%くらい頂いてこようぜ。どうしてこういう思考をする大人になってしまったんだろう。結果は、銀玉3重苦。

1:初当たりが重い
2:連荘しない
3:持ち帰りの出玉ゼロ

2時間でマイナス18K。こんなもんでしょうな(-_-;)


 夕飯のメインはアジの刺身。
 脂がのってワイセツにプリプリしていた。昨日の鍋の残りにモヤシを入れて簡単ちゃんこ鍋。キッチンで作り、食べるたびに食卓から取りに行った。落ち着かないけれど、

そこは独り暮らしの強み

というもので、自由に振る舞えるから楽しい。他には、カブとキュウリの浅漬け、納豆、キムチ豆腐など。どちらかと言えばシノギ飯だが、これで充分。

 もう新しい1週間の前夜かと思う。
 どうしようもない多忙が続く中では、うまく休めた気がする。そろそろ、色々な未来が決まっていくのだろうと、預けた時計のことを考えた。何よりも価値のあることが、あの時計に仮託されている。良い休日だったことに紛れはない。


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