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冬の終わりの煮豆 ２月26日   夕方、陽も暮れる時間に外出。   行き先は千葉県某所。仕事である。予備校の仕事とは関係ないので、内容は書 かない。これでは、読者の「ノゾキ大好き」な心を満たすこともできないだろう か。   煮豆を詰めた。   この作業、機械ではできない。弁当箱に、煮豆を詰める。ひたすら詰める。頭 きんをかぶり、白衣を着て、ゴム製（使い捨て）の手袋をはめて、煮豆を詰める 。コンビニの弁当だろうか。よくわからない。大切なのは、 僕は煮豆を詰める機械だ と自分に言い聞かせること。僕は機械。僕は煮豆。ちがった、僕は機械の煮豆。 あれ？   知らなかったこと。   こういう煮豆って、手作りじゃないのだ。なんと、これはかなりビックリした のだが、缶詰め入りである。普通の缶詰めじゃない。巨大だ。どのくらいかって ？　何キロ入りかなんて知らない（僕は機械）。大きさで言えば 小学校の防水バケツ くらいだろうか。よくわからんが、８キロ入りくらいだろうか。そんなバケツに ギッシリ入った煮豆を、ひたすら弁当箱に詰めていく。僕は機械。   なるほど、これは使い捨てバイトを雇うしかないだろう。   こんなことを常勤のパートさんにやらせたら、発狂する人が多くて商売になら ない。何しろ、８キロ（推定）の煮豆だからね。それがアンタ、 ３粒ずつ矢倉を組むように入れろ とマニュアル化されているのだ。矢倉ってのは、煮豆同士がお互いに肩を重ねあ うようにするってこと。どうせ多くは搬送時に崩れるんだろうけど、やっぱ見栄 えの問題があるらしいね。   いや〜、つらいよコレ(._.)   そりゃ確かに収入は減ってるけどねえ、ここまでしなければいけないとは。も う生計が成り立たなくなって、住宅ローンもあるから、ここまでしないと生きて いけないんだよ俺。   このＨＰをやっているせいで、あいかわらず若い人からメールが来るんだよ。 ＞予備校講師ってどうやればなれますか？ みたいなメールね。   問題なのは、なってからなんだよ、なった後なんだよ、なっ てからどこまで続けられるかなんだよって遠まわしに書いているけど、たいてい 意味が通じないみたい。20代半ばだとそんなもんだろうけどさ。   時給はどのくらいですかって？   そりゃけっこう高いよ。だってワンウェイチケットのバイトだからね。俺、今 日はまだ見習いだけど、それでも１時間1,040円ももらえたよ。もちろん現金即払 いだよ。５回やると1,090円になるんだぞって、食品会社のオッサン（弁当部惣菜 係長という名札をつけてたｗ）に言われたよ。   正直、英語を教える仕事っていいなあと思ったよ。   わけわかんねえバイトに「はい」とか返事されても、時給いいもん。教壇では 一応は先生だから、生徒様だって（形だけはｗ）敬意を払ってくれるもん。３時 間、必死で煮豆つめたよ。帰りは西船橋まで会社のバスで送ってくれたよ。ちゃ んと終電に間に合うように配慮してくれるんだ。 落ちてしまったら、簡単には這い上がれない。 追記：当然だが、こういう仕事をする人間は絶対に必要である。あらゆる意味で、あらゆる職業をおとしめるつもりはない。法に触れない限りは。    これまでのエッセイはコチラ