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独りデートをはばむもの 5月11日
  9時過ぎに起床。
  僕の寝室は南向き。「なんか雨の音がうるさいなあ」と思っていたら、南風で 窓に雨が吹き付けていたのだ。僕の休日を狙い打つように雨が降る。


  木曜日は基本的に勉強も予習もしない。
  傘を持って独りデートする気分にはなれない。またまた読書。

  『思春期の危機をどう見るか』尾木直樹を読了。
  教育に携わるものにとっての好著。「どう見るか」というよりは、「それに大 人がどう対応していくか(その方法は何があるか)」を論じているというほうが 正しい。岩波新書の名に恥じない重厚な本である。

  著者は法政大学キャリアデザイン学部の教授。
  無茶苦茶な名前の学部だな、なんて書けば生徒様の反感を買うだろうが、自分 の人生をつくっていくという感覚が欠如している今の時代にあっているのだろう か。まあ、これは本書とは関係ないか。

  様々な角度から青少年の危機を論じている。
  その中の一貫したテーマは「自己肯定感」であろう。正確に言えば、自己肯定 感を育てる(育てさせる?)ために何が必要なのかを探すための本だ。教育関係 者は最低でも立ち読みしましょう。


  お昼過ぎに昼食。
  歯を磨きながら新聞を読むと、トヨタ自動車躍進の記事。
  売上高と売上台数が世界2位になったとか。クルマのことはよくわからないか ら、どのようにすごいのかわからないが、新聞の1面に載るのだからスゴイんだ ろう。この辺の記述に、僕の頭の悪さが窺いしれる。

  先日事情があって各自動車会社のホームページを見て回った。
  見たのはたぶん4社ほど。その中でもトヨタのそれは非常に観やすかった。自 分がこうやってサイトを運営しているせいもあるけれど、階層構造やクリックの しやすさなど、微妙な動作環境に関して、「全ての面でちょっとだけ」トヨタが リードしている。細かい部分の手の掛け方が違うはずだ。こういうところからス タートする微妙な差が経営能力の差となってくるのだろう。見習わなければ。


  1時半から5時まで読書。

 『どうせ死んでしまう・・・・・・私は哲学病』を読了。
  この著者のエッセイの話を日記(ヒマな人はここを参照)を書いたところ、知 人が本書を貸してくれた。本の話なんか書いても誰も喜んでくれないけど(少な くとも僕自身にそういう感想は一切来ない)、書いてて良かったと思う。僕は貧 乏で単行本を買えないので、ありがたいことである。この本は返さないようにし よう。

  さて、本書は真剣な雑文集と言えるだろうか。
  その内容の深刻さに関しては後日のエッセイに譲るが、やはりこの著者はかな りの変人であるようだ。アメリカを襲ったテロに関して。

>ハイジャックされた民間旅客機がニューヨークのビルに激突したという事件が 鮮明になったとき、私の頭をふとよぎったことは「これもまた決定されていたの かもしれない」ということであった。「意志とは何なのだろうか」という疑問で あった。(中略)じつに、決定論と自由意志に関する古典的な哲学的難問であっ たのだ。

  本文にはそう考えるだけの深刻な理由があるわけだが、ここだけ読むと無茶苦 茶な話である。
  僕のような下層階級は「いったい、何が破壊されているのだろう」と不思議に 思ったんだけど、まあこれもちょっと頭のオカシイ感想なのであろうな。

>最近ひきこもる青年たちの数が増えて、私は嬉しくてしかたない。この国もそ うとうまともになってきたなあという感慨に耽っている。みんな将来に夢を抱き 、邁進している世の中は不気味である。

  あのさあ。
  著者が厭世観(えんせいかん=こんな世の中はやってられないとするモノの見 方)の強い人であるのは理解できるとしても、こんなことで喜んでしまうという のはどうなのだろうか。

  ただし、これは文句なしの良書である。
  2年くらい前に発行されているから、1年後には文庫で読めるでしょう。死生 観に興味のある人は試してください。中学生でも読めるくらいの文章で、大人も 興味深く読めます。


  5時からプールに50分使う。
  6時からTVに30分使う。
  8時前から夕食を作る前にこの日記を書く。
  そのために過去日記を読み直す。何しろこれだけモリモリ書いているから、読 み直しをすることはほとんどない。自分で書いておいて、「ああこんなことあっ たな」という部分がほとんどだ。ボケが進行している可能性もあるが。

  通常授業のある週の木曜日(つまり今日で7日目)だけまとめて読んでみると 、やはりほとんどが雨で外出したのは1回だけ。
  日曜分もチラ見すると雨が多い。何かにたたられているのかね。


  8時半から夕飯作り(ここから書いているのは10時前)。
  秋田県の比内地鶏のササミを買ったところ、これが値段ほどに旨くない。普通 の鶏肉の3倍くらいしたんだけどね。「肉の味は値段に比例する」が僕の(卑小 な)世界観だったけど、これは訂正する必要があるかもしれない。それでももち ろん、美味しくビールをいただく。頑張った一日のあとのビールは旨いよなあ。


  どうせ死んでしまうのに、なんで日記を書くのだろう?
  どうせ死んでしまうのに、なんて独りデートに行かないのだろう?

  件名の答えは、雨だけではないような気がする。


追記:エッセイ199「テツわる神戸編」をアップしました。
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