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いつも独り 10月24日


  9時半起床。
  体温を測るまでもなく、風邪は治ったようだ。今日いちにち気をつけていれば 、明日から完全復活だろう。朝食にピザトースト、ナシなど。

  10時半からヒミツの花園。
  今日もまずまずの秋晴れ。雲は少し出たり消えたりするけれど、乾燥している から布団がよく干せる。来る予定のない来客用の布団もOK。できる当てのない 恋人のために洋服の手入れをする、という唄を歌ったのは中島みゆきだったかな 、なんて考えながら。


  正午過ぎに外出。
  コンビニでケータイの料金を払う。2,000円ちょっとくらい。例の「ひとりでも 割」が1ヶ月フルに採用された結果。たしか1,600円の割引。通話料にもよるけれ ど、感覚的には半額以下になったみたい。不満だよね。

  じゃあ今までは何であんなに高かったのか、ということ。
  長期契約を引換えにするという歌い文句で顧客(こきゃく= customer )を囲い 込むという作戦ですか。サービスが変わらない(レベルが落ちない)のに、料金 が下がるってヘンだよね。競争がなければ、必要以上に課金していたことになる。

  来月あたり、また料金が下がるらしい。
  販売助成金による「0円」ケータイを駆逐するため、ということ。それ自体は 資源保護(希少金属の問題ですね)になるからいいとして、どこまで値下げ競争 をするんだろうね。本八幡の北口なんて、目に付くだけで4軒くらいのケータイ 屋(呼び捨て)がある。

  過当競争がきわまって、そろそろ共倒れが始まるのかの。
  あるいは、サービスやモノとお金を引換えにする「代価」という言葉が死語に なっていくのかも。それはそれでいいのかという気もする。


  スーパーへ。
  目ぼしい魚が見当たらず、今夜は鍋という方針に片寄っていく。高めのスーパ ーに行って「洋食屋さんのランチプレート」という弁当を買って帰る。8種類く らいのおかずが入っていて旨かったけど、ちょっと量が足りないな。ま、今日ま でで3日連続プールをさぼっているから、カロリー的にはいいのかも。

  夕飯の仕込み少々、その他家事少々のち読書。

  『そして私は一人になった』山本文緒を読了。
  日記形式のエッセイ。なごやかな気分になれる良書。

  この著者を初めて読んだのは今年の6月のことだった。
  そのエッセイは様々な文章の寄せ集めでどうかなと不満に思いながら(ヒマこ こ感想文日記)、文章が面白くていいなと思った。するとたまたま新古書店で本 書にぶつかった。自分が好みのエッセイを書く人を見つけるのは難しいから、た めらわず買った。

  次の段落は推定で書くので、多少の誤りがあったらごめんなさい。
  本書は直木賞を取るはるかに前、1996年の日記である。その前年に著者は離婚 して、人生初の一人暮らしを始める。少女文学というジャンルから脱出して本格 的な作家となってまだ数年。のちに取ることになる吉川英治新人文学賞も取って いないけれど、それほど生活には困らない程度の作家である。

>一人で仕事をして一人で本を読んで、一人で食事をして一人でテレビを見て笑 って、一人で眠る。それがもし耐えられないほど淋しいと感じる人ならば、きっ と誰か同居人を探すのだろう。でも私は耐えられないほど淋しいわけじゃない。 耐えられないのはどちらかというと、一人になりたい時に一人になれないことの 方だ。

  日記なので日常の具体的なことが細かく書かれている。
  コンビニに行く話、引越しのあれこれ、行きつけのそば屋、ときおりの旅行。 またそのかたわらで、上に引いたような独白がすっと入る。しつこくない。あく まで具体的な日常のそばにある心情を軽いタッチで書き留めていく。

  あとがき代わりに4年後、つまり2000年の日記が1か月分だけ記されている。
  本書の文庫本化を踏まえた日記である。作家としてのレベルがはるかに上がっ たようで、忙しい生活に変わっている。それでも彼女はまだ一人で暮らしている 。

>また四年後の私はどうなっているのだろう。先のことを考えると、やはり不安 ばかりが先に立つ。

  僕が書きたい日記を、プロが書くとこうなるのかなと痛感した。
  比べるのも失礼だが、力量が違う。ああうまいな、やられたなと素直に思う。 あるいはひょっとして、この「よびわる」を毎日のように愛読する読者様がいる とすれば(400人くらいはいるだろう)、オススメしてみたい良書。


  ガーデニングの話の続き。
  正確には昨日のことになるが、15日に蒔いた種から芽が出てきた。種は直径1 ミリにも満たない小さなもので、芽は糸くずくらい。20個くらい出ているかな( 芽には数える単位があるのだろうか? X葉とか?)。本当にこんなものが食べ られるようになるのかなあ。発芽してから3週間くらいでOKと書いてあったけ ど、ちょっと不安だ。

  遅い午後は特にやるべきこともない。
  あてもない蔵書の並べ替えとか(永遠に終わらない)、キリがな い室内着の処分とか(8年前のスエットパンツを捨てた)、運動不足を補うため の腕立て伏せとか(7回w)、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をアシュケナ ージとリヒテルで聴き比べるとか(リヒテルの勝ち)、そういったこと。

  淋しいと感じないどころか、楽しいと思う。
  よく晴れた秋の夕暮れを見ながら、独りでしか楽しめないことをする。誰も僕 のジャマをしない。人は人を簡単に裏切るけれど、モノや音楽はなかなか人を裏 切らない。リヒテルのピアノはいつも僕だけのために唄ってくれる。こういう考 え方を愛するようになっていくと、どんどん孤独になっていく。若い人は見習わ ないように。念を押す必要はないかな。


  タヌキうどんを食べて、今日もスーツを着て校舎へ。
  授業はわりに無難に流れる。1コマ目でひどい板書のミスをしたけれど、休み 時間に生徒様2名が指摘してくれて訂正できた。ありがとう。ミスはいつもする ものだから、いつもフォローできるのが良いことだ。

  生徒様♀が授業後にやってくる。

♀「なんでスーツなんですか?」
僕「(またその質問かよ:ヒマここ)今日から2Bタームだろう、出席者はみん な一般受験じゃないか」
♀「はあ」
僕「最後のタームだ、頑張ろう、ということだよ」
♀「それで?」
僕「君たちへのリスペクトの気持ちだよ」
♀「りすぺくと?」
僕「〜を尊敬する。敬意を示すってこと」
♀「それがどうかしたんですか?」
僕「もういいッ! さっさと帰れ(-_-)」


  気持ちを伝えるのは難しいと思いつつ帰宅。
  夕飯はタラチリ鍋。本来はマダラを使うはずだが、僕は銀ダラが好きなのでそ ちらで代用。いずれにしても、タラからダシに沁みだした脂で野菜や豆腐を食べ る鍋である。銀ダラは特に脂分が多いので(マダラはやや淡白)、魚よりも野菜 がガンガン食べられる。意外にダイエット食かも。ノンカロリーのキノコも食べ られるし。この秋はじめて白菜を食べた。

  風邪は完全に抜けたようだ。
  3日ぶりにワインを呑む。風邪のときの食後酒はウイスキーのお湯割りにして いるため。ゆっくりと秋の夜は更けていく。Yシャツの洗濯を洗濯機に任せ、食 器は食洗機にまかせ、僕はまたリヒテルを聴きながら日記を書く。独りは淋しい けれど、決して悪くない。本当に。
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