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旅とは疲れて楽しいもの 11月16日


  横浜市の関内駅近くのホテルで起床したのは7時半過ぎ。
  ずいぶんとこじんまりしたホテルで、部屋は全部で6畳あるかないか。全部で 、というのは部屋の居住空間だけではなく、玄関に相当する入れ込み部分と、風 呂・トイレをあわせてである。風呂とトイレが別になっていることをのぞけば、 大学生の一人暮らしのアパートのようなものだ。

  しかし良いホテルと言えた。
  何よりもキレイで、余計なものがない。聖書とか、靴の汚れ落としとか、「あ れば役に立つけどなくてもいいもの」が見事になかった。朝食もなし。欠点は治 安の悪いところであることと(横浜市民はわかりますね、関内駅から徒歩5分く らいのあの地域ですよw)、ラブホテル的な役割も兼ねているらしいところくら い。部屋に入ったらスリッパが2つ並んでいるんですもの(@_@。

  ダブルベッドのシングルユースは有難かったけど、32インチのTVとか、DV D再生機とか、フロントでスキ×を売っているとか、そういうのが気になると言 えば気になる。
  しかし清潔そのもので、人の気配もなく、短い夜を過ごすだけなら、これで充 分だ。関内のようなそれなりの都会で、5,900円というのは安い。


  駅前のマックで朝食。
  根岸線で新杉田に出て、シーサイドライン(『ゆりかもめ』のような無人電車 )に乗りかえ。八景島で下車。ここに来れば、そう、あれです、アレ。

  八景島シーパラダイス独りデート決行!


  歩いて1周するのに小1時間、そこから南に1時間ほど歩いて金沢八景駅に着 く。
  金沢文庫と言えば、某予備校がリストラで手放した校舎に某予備校が乗り込ん で開校、という業界的にホットな場所だが(そうか?)、金沢八景駅は金沢文庫 の隣の駅。そして、ここに来れば、そう、あれです、アレ。

  横浜市立大学潜入!


  ここから電車旅。
  以下は全て京急線なので、次の段落は路線図を持って読むこと。

まずは新逗子駅まで往復。金沢八景に戻り、堀の内駅まで南下し、今度は浦賀駅 まで往復。堀の内駅にとって返し、さらに南下して三浦半島で最南端にある三崎 駅に到着。テツ旅、最高。ああ、世界は、テツのために。


  こらぁ、読み飛ばすな!
  普通はそうか(^_^;) 気持ちを立て直して三崎駅から城ヶ島まで京急バスで25 分。城ヶ島でとても楽しく過ごし、三崎駅に引き返し、そこから快速特急で44 分後には横浜駅に着く。もう真っ暗だ。乗りかえて、横浜市港北区(だと思う) の某駅に着いたのは5時半過ぎ。駅前のドトールで時間を潰す。

  6時20分に、その某駅で待ち合わせ。
  しめじ会会長のT君(ヒマここ)と呑むのだ。彼の推薦による豆腐料理店『T 』へ。徒歩5分くらいで、住宅地にあるその店に着いた。

  灯りがついているのにノレンが出ていない。
  どうするべと一瞬悩んだが、えいっとドアを開けてみる。客はカウンターの1 人いる。なんだなんだ? カウンターには7人くらい、小上がり席には10人ちょ っと上がれるくらいの中規模な店。すると、いかにもカタブツらしき店主

「バイトの子が来るのが遅くなって、開けられないんだ。9時くらいなんだけど 。2人? じゃあいいや、どうぞ」

とのこと。全てはカウンター越しに手渡し。まあそれはいいけれど、なんか不安 だなあ。


  しかし。
  これが良い店だった。料理もさることながら、日本酒の品揃えが抜群。メニュ ーにある20種類ほどのお酒の銘柄は、僕レベル(初心者とは言えないくらいの知 識)でも知らないものが19種類くらい。いちおうは僕だって、それなりに種類を 知ってきたつもり。この1年で40種類くらいの銘柄を試してきたのだ。これこそ「 井の中の蛙、大海を知らず」ということなんだろう。それにしてもねえ・・・。

  いろいろと教わりながら呑んでみる。
  この手の店にありがちな「旨い酒は冷して呑むんだ」などというバカなことは 言わず(ヒマここ)、熱燗にあう酒もいろいろと勧めてくれる。どの酒が絶対( に旨いん)だなどとも言わず、特徴をサラリと説明してくれる。どこかの『自然 酒 燗造』というのが旨かったが、銘柄を忘れてしまった。しかし注文するたび に瓶(ラベルですね)を見せてくれるから、もう1度出会えば思い出せるだろう 。

  値段も安かった。
  2人それぞれに料理4品、酒は2人あわせてビール中ビン2本、熱燗4合、100 MLを2杯。これで1人4,400円。特に酒は珍しい品揃えであったにもかかわらず 、相当安い。ほとんどが500円から600円。普通は『浦霞 純米』のようなメジャ ーで美味しい酒でも700円くらいは取るから、おおまかに世間の半値くらいと言っ てもいいだろう。


  様子を見ていると、主人の酒好きが嵩じて経営しているようだ。
  我々に呑ませるたびに自分が味見してばっかりいる(それはそれでちょっと問 題があるとは思う)し、酒の味を女性に喩えるのがなかなか面白い。主人曰く。

「女房は1人しかいられないだろう。酒なら並べておける。自分の気分に、ある いは体調にあわせて、その日の酒を選べるっていいじゃないか」

  ・・・(どうかと思うよ)。
  これはこれでセクハラまがいの発言ではあるにせよ、まあ面白いオッサンであ る。隠れたところに名店があるものだ。


  ほろ酔いで帰宅。
  神奈川から千葉は本当に遠い。折悪しくも金曜日で、東京から千葉方面の電車 は大混雑。疲れきってやっと自宅に戻った。足がクタクタ。長くて楽しい一日だ った。
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