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寒波襲来 |
11月2日 |
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7時起床。
アイマイな曇り。ときどき雨。予報通りにずいぶんと寒くなった。とりあえず
HPの作業。気がつけば世間は飛び石連休ということで、エッセイをアップする
ことに。毎年書いているように、
秋はウェブ読者が増える時期
なので配慮である。「それで読まされるのが激走エッセイかよ!」という不満は
あるだろうが、バカバカしいと思いながら読んでしまうのが読者というものでも
ある。愛読に感謝。
午前中は授業準備。
無事に2学期ぶんはコンプリート。10月28日に「文化の日を目標とする」とい
ったことを書き、無事に達成できて嬉しい。正確には、授業直前にしか用意でき
ないプリントなどが残っているし、授業前の最終確認も必要だけど、
準備のために特別に時間を用意する
必要はなくなったということだ。これで時間ができて、余裕のある生活を送れる
。良かった。
Fクラスのテキストの話をけっこう書いてきた。
早慶上智英語というカンムリをかぶっているだけあって、長文が長いよという
話だった。でも、多少は英作文も掲載されている。自由英作文系は授業では扱わ
ず(出題されない生徒様が多いから)、希望者のみ添削ということにしている。
そのかわり、ふつうの和文英訳は
英語の勉強も兼ねて
扱うようにしている。この本末転倒ぶりがギャグになっているし、これがギャグ
だとわからないような生徒様はFクラスにいない。
さて、その和文英訳だ。
たいへんなんだよねコレ。一部だけ取り出す。
>知らないことはご愛嬌だが、間違って知っていることはどうにも救いようがな
い。
どう書きますかこれ?
説明的に書くことは、大変そうだができるだろう。ここは日記なのでその辺は
書かないけれど。予備校の解答をカンニングすると、
> We can laugh our own ignorance away....
なんてなっている。なるほどぉと思うけれど、こういう表現って、偏差値70程度
の受験生じゃスラスラ書けないよね。こういう英文を読むと「ああ、ご愛嬌って
ことか」とわかるはずだけど、日本語を英語に戻すときに思いつくのは難しい。
もし可能なら、と考える。
生徒様にも書けそうな単語で、完全ではないけれどほとんど同じ意味になる表
現はないだろうか。この日本語自体が一種のクリーシェ(フランス語;ありがち
でダサ目の決まり文句)みたいになっているから、スッキリとした英語にしたい
。
A is B, but C is D
というかたちで書ければステキだ。こうするとBとDに形容詞を思いつく必要が
ある、何かないか、シンプルですっと読める(かつ書ける)英語は・・・と考え
るなどするわけですね。
午後は手話教室へ。
ひさかたぶりに鬼講師T先生がろう者を連れて登場。ろう者のRさんには、
2007年11月5日にも会っている。ちょうど体験受講の生徒さんが2人いて、T
先生はそちらを個人指導すると言う。
T 「ということで、皆さんはRさんと手話で話しててください」
僕「マジっすか」
T 「大丈夫、だいじょぶ。前よりはずっと話できるから」
T先生は本当に我々のほうに背を向けてイスにかける。
Rさんと僕たちだけ(5人ほど)で真剣勝負である。前記の日記のように、R
さんは少しだけだ耳が聞こえる。問題は、彼女の手話がわかるか、こっちの手話
が通じるかである。
意外なほどに、会話は成立した。
1時間と少しにわたって、ろう者と手話だけで会話できたのである。たとえば
、こんな内容。「生」は僕を含めた生徒たちである。
R 「会うのは初めてでしたっけ?」
生「いえ、ずいぶん前に」
R 「そうだっけ? 忘れちゃった。いつごろ?」
生「1年以上前かな」
R 「おっかしいなあ、ぜんぜん覚えていない」
本当は2年前であるが、そこまでは覚えていない。
家族構成を質問され、それに答える。
僕「1人です」
R 「あれあれ。ご飯とかどうしてるの?」
僕「作ります。料理好きなんで」
R 「どういうの作るの?」
僕「主に和食です」
R 「私も1人なんだけど、IHだから料理が面倒で」
僕「どうして面倒なんですか?」
R 「魚が焼けないのよ」
僕「うち、ガスだから焼きやすいですよ」
R 「ウラヤマ」
ずいぶん詳しい会話である。
生「飼ってた犬は元気ですか?」
R 「あれ、よく覚えてるね?」
生「ええ。犬種は?」
R 「2匹いて、チワワ」
生「へぇ。意思疎通はできるの?」
R 「あの子たちは、耳が聞こえるし、手話も通じるわよ」
いわゆる聴導犬なんだそうな。
断片的に理解できたところのはこんなところ。
・盲導犬ではなくろう者のための聴導犬
・お湯が沸いた音を聞き取って知らせてくれる
・訓練はアメリカが進んでいて、日本は遅れている
・訓練は受刑者がやることも
・なぜなら、こころの鍛錬のためになるからだ
もちろん何度も我々が質問して、何度もRさんが答えるからここまで理解できる
。こうやって2年前の日記と比較してみると、たしかに確実な進歩が見られるよ
うだ。これが1人で、つまり自分とろう者だけで成り立った会話なら、
「もうド初心者じゃないぞ」
と言えるのだけど、そこまではいかないよね。でも、ここまで進歩したのは、学
習者としてすなおに嬉しい。
いろいろ省略して、夕方に実家へ。
帰るのは月イチが基本。手ぶらも基本だが、今日はたまたま家に食べるものが
あったので持参した。きのう作ったキャベツの甘酢漬け。ちょうど毎年梅雨の時
期にいただく
ラッキョウを入れる容器
を返却する予定もあったことだし。空瓶を返すのは2度手間ってこと。それと自
家製大葉を6枚ほど。成長ペースが異様に遅くなってきたが、まだときどき収穫
できる。これ、暖房つけておけば冬でも栽培できるのかな? そこまでやると異
常者?
「そこまでやらなくても先生は異常です!」
冷たい雨の中を帰宅。
冷たいだけではなく、北風が少し本気モード。これは死ぬかもしれない、最低
でもインフルエンザ罹患だと思いながら歩いた。そして我が家に到着。ポストを
のぞけば、ワセヨビからの薄い封書。
そうか、そういうことか、リリン。
思えば、この時期になっても来年度の伺いは来ていなかった。
予備校から送られてくる、「来年度はどの曜日をあけてくれますか?」という
文書である。それが来ないということは、ま、(略)ということである。この3週
間ほど気にしていたが、敢えて日記には書かなかった。弱いから強がる、それは
『よびわる』のテーマでもあった。
封書を透かして見る。
ペラ1枚らしい。返信用封筒は入っていないということだ。つまり、上記の来
年度の伺いではないということ。内容は、ふつうに考えて1つしかない。わが人
生で1回だけ受け取ったことのある、あの通知だ。
さよなら。
家に入った僕は封を切る。
カフカ君がそうしたように、ナイフだけを手にしている。実家で頂いた魚の切
り身や銀杏を投げ捨てる。僕は森の中に入っていく。カフカ君と違うのは、開封
前にお湯割りのカティーサークを淹れたこと。ついに、ここまで。がんばって来
た、かんばって来たけれど。
以下、明日の日記で真相が!
「終わったな」
「引っ張り過ぎじゃないの?」
「さよならなんて言うなよ」
「よびわる、さいきん東スポ化してね?」
「本宮ひろ志の真似じゃないの」
追記:エッセイ323「西表島激走!」をアップしました。
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