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17年ぶりに、好きだった君に |
11月14日 |
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思い出が嫌いだ。
昔をふりかえることに嫌悪感を覚える。もちろん、昔を懐かしいと思わないわ
けじゃない。ときには、「ああ、そういう時代が僕の過去にはあったんだな」と
思うことはある。でも、自分から働きかけて思い出にひたるのは絶対に嫌だ。ま
だそんな年齢じゃない。僕は未来志向主義だ。
と、日記としては熱めの書き出しを選んでみました。
でもまあ、おおむね事実なんだよね。僕、同窓会とかクラス会とかいっさい出
ないし。人嫌いというわけでもないけれど(いや、そうかも?)、
過去を契機とする集いってなんか悲しくねぇ?
とヤンキーみたいな喋り方になってしまう心持ちである。この日記、なんか口調
がヘンだぞ。
高校時代の友人H君のお家に行ってきました。
ええと、10月9日と10日の日記でH君の紹介をしていますね。読むのが面倒と
いう人もいるだろうから、本日の登場人物を箇条書きにしてみましょう。
・H君
→高校時代のクラスメート。先月、ほぼ10年ぶりに会った。
・Yさん
→H君の奥さん。同じくクラスメート。会うのは17年ぶり。
・S君
→高校時代のクラスメート。この日記には頻出。
・Y嬢
→S君の奥さん。同じく何回か登場している。
・Z君(5歳)
→S君とY嬢のご子息。5月5日に会った。
このほか、H君とYさんのところに3人のご子息がいるのだが、話がややここし
くなるので割愛。
なんともムズカユイ会合である。
唯一の独身男である僕が、S君一家3人とともに、H君一家5人を訪問するわ
けだ。登場人物9人の日記って、『よびわる』史上初じゃないか。僕は劇作家で
もミステリー小説家でもないので、こんなにたくさんの人間を書き分けられない
。そして、寝台特急で殺人が起こった。
わかった、執事が犯人だ!
執事は出てねーだろ(-_-;)
何がムズカユイかって、何が恥ずかしいかって、そりゃYさんに17年ぶりに会
うってことなのよ。
Yさんは僕にとってアコガレの存在であった。性的な意味ではなく好きだった
し、ある意味では尊敬もしてたし。最後に会ったのは大学時代。夏の葛西臨海公
園で(これ本筋と関係ないなw)、そのとき彼女は独身だったわけだ。そして、
17年過ぎて
彼女は3人の息子持ちの奥さん
なんだぞ。20年ちょっと前は女子高生だったのに! 時間が重く肩にのっかって
くるわけですよ。これで緊張しなくてどうする?
以上は先書き。
お昼前に千葉県某駅でS君一家3人と待ち合わせ。H君がお迎えに来てくれた
。わりに土地カンのある地域だけど、駅前は再開発されて変わり果てていた。こ
の、なんだろうね、
若いころに馴染みのあった土地
が変化してしまったというのが、さらに緊張感を盛り上げるよね。
徒歩10分ちょいでお宅に到着。
僕はYさんに「17年ぶりだね」と挨拶したけれど、わかっていたかどうか不明
。もっとも、大人3人子ども1人が客だから、全てのトークは混沌としたものに
なった。それでよかったとも思う。
昨日の日記に書いた、悩んだ手土産。
1つは自宅で育てたサンセベリア。H君がうちに来たときに「これいいね」と
言っていたので。今年で頂いてから6年目、合計で6鉢になっていた。これで株
分けした鉢を人様に差し上げたのは3回目かな。まだ3鉢あるし、もっと増える
はずなので里子希望者はお知らせください。
もう1つは高級なジュース。
750MLで1,000円くらいのものを2本。お子様向けというか、家族向けとして
幸便。いくら何でも、こんな高いものを自分で買う人はいないと思うし。ラ・フ
ランスが1本、オレンジが1本。手土産は充分に吟味したいという僕の考え方に
もマッチした。
さらに1つは石けん。
これは僕が新居に移ったときの余りモノ(あっ)。2軒隣あたりまで挨拶する
つもりだったが、その機会もなくて余っていたから。家族の人数が多いと消耗品
が喜ばれるということは知っている。1個200円くらいの石けんってのもスゴイし
。
とりあえず、築2年の新居拝見。
1時間近くやってたかな。子ども部屋とか風呂とかトイレとか主人H君の「男
の城」とかキッチンとか。他人の家はとてもおもしろい。僕は生活臭のあるとこ
ろを見るのが好きだから、迎えるほうは大変かもしれない。
あろうことか、台所はアイランドキッチンだった。
なんというスペースの無駄遣い。だが、それがいい。2畳ぶんくらいのアイラ
ンド式で炊事をするのはとても楽しいだろう。昼食の準備に忙しいYさんと台所
談義。炊飯器などの細かい道具があるものをシゲシゲと観察していると彼女に怒
られた。
「やめてぇ、そんなとこ見ないでよぉぉ」
「ひっひっひっ、奥さん、そうはいきませんよ、今さら」
もう少し、何かオッシャレーな会話はなかったのか(-_-;)
昼食はイタリアン。
レストランかよここは、という料理ばかりだった。ラタトィユとか、アボカト
と海老のディップとか、クルトンだの粉チーズだのがかかったサラダとか、
手打ちパスタの何とかという料理
とか(名称は聞いたけど1秒で忘れた)、ドリアとか、ペンネ(あれはフェット
チーネって言うのかな、ネジ状のパスタだ)のトマトソース和えとか、僕が作れ
る料理は1つもなかった。旨かったこともあって、たらふく食べた。
子どもたちと遊んだ。
S君が持参した「どうぶつしょうぎ」など。子どもたちは上から10、7、5歳
ということで、長男は何とか将棋が指せるくらいだが、あとの2人にはちょっと
ムリ。しかし特に三男坊のお気に召したようで良かった。
陽が落ちかけるころに辞去。
いわゆるホームパーティー状態で個人的な話をする時間はなかったけれど、と
ても楽しかった。たくさんの人と話す、子どもと遊ぶというのは実は楽しいこと
なのかもしれない。
自分の家族を持たないのは僕だけだ、
ということもあるかもしれない。自分で選んだ道なのだし、と納得している。楽
しかったけれど、寂しいとは全く思わない。これは強がりではない。
腹いっぱいで帰宅。
今は夜の7時になろうとするところで、もう夕食を食べる時間とお腹のゆとり
はない。明日は朝5時の電車に乗らなければいけないし。シャワーを浴びて、紅
茶を淹れて、この日記を書いている。そうそう、さっき荷造りを5分ほどで済ま
せた。1泊2日だからそんなもの。
Yさんに何かを言うべきだったかな?
「変わらないな、君も。」くらいのことは言いたかったけれど、そのタイミン
グも特になかった。それでいいと思う。変わってなかったのは僕かもしれない。
憧憬、とよばれる心情だ。恋愛感情はいつか消えていくけれど、憧憬という気持
ちは消えていかない。
僕が彼女に対してもっていたのが憧憬だった。
それが確認できてとても嬉しかった。また、いつか、生きていれば会えるだろ
う。
「会わなくなった人は、自分にとって会わなくても構わない人になったというこ
と」
あまりにも厳しくて冷たい人生観ではあるにせよ、僕はこれを捨てない。だから
、いつかきっと会えるだろうと思うわけだ。好きだという気持ちは、つまりそう
思うことである。 |
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