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シャガールにあこがれて 10月8日
  7時10分起床。
 6時間以上は眠っているが、なにぶん昨日の寝不足が残っている。しかし体調は悪くない。天気も薄い雲があるくらいで悪からず。がんばりましょうと出勤。少し悩んで、しかし半そでというくらいの気温。ちょっと寒くて、風はさわやか。


 ウナギの花園は大幅な残業。
 うーん、勤務が終わってから90分後に会議、しかも時給が出ないって納得いかないな、しょうがないけど。しかしあらかじめ約束されたものだし、その必要もあったのでそれほど不満でもない。

 90分の空き時間に雑用的仕事。
 シールを手作業で貼るようなもんですね。正社員も派遣社員も

なんて無駄な作業なんだ

と不満を言っているけれど、何も改善されない。集団で働くというのは奇妙な力が働くのか、文句があるのに何かの策を打たないものらしい。不都合な状況を維持することに全力を傾注する、という感じだ。あるいは、

変わらない、変えないことに美学を見出している

のかもしれない。


 会議は順調に小1時間で終わり。
 即座に退社。最寄駅に着いてからネクタイを外す。今日も市進の休講日で、遅い午後である今から自由な時間になった。上野に移動してアメ横をぶらつき、とりあえず2回目の昼食にラーメンを食べる(実にうまくなかった)。1回目の昼食が軽かったのでちょうど良い。

 もう夕闇が迫っている。
 上野公園を軽く散歩。西郷さんのいるところの左側を抜けて、精養軒の前を通る。通行人はけっこう多く、外国人が2割くらい。ぜんぜん季節ではないにしても桜の木がたくさんある。夕暮れの上野の森はうつくしい。


 もちろん用事があって上野に来た。
 『シャガール展』である。7月の半ばに始まって、10月11日まで。開催は早くから知っていて、来るタイミングを逸し続けてきたのだ。いやぁ、間に合って良かった。この展覧会にはポンピドー・センター所蔵(@フランス)の作品がたくさん来ているからね。

 ここで、

>オイおっさん、絵画鑑賞って柄かよw

と思った読者様は、まだ「よびわる歴」が短いのだろう。
 古いエッセイでは「ここ」でシャガールを観ているし(しかも旅先)、2005年4月28日にはサルタンバンクを観に行っている。けっして造詣が深いわけではないけれど、絵画や古美術に強い関心と興味を持っている。まあ確かに、わけのわからん暴言が多い人間ではあるにせよ(-_-;)


 東京藝術大学まではけっこう遠い。
 京成上野駅からは徒歩10分以上だろう。会場はけっこう混雑している。1枚の絵に20人くらいの客がつくこともある程度。日本の展覧会は

なんと言っても印象派が大混雑

なので、少し意外に思い、嬉しくも思う(もっとも、僕もルノアールとモネが好きです)。ふだんは5時で閉館するが、金曜は8時まで開いていることを確認してきた。

 展示のレベルはそこそこというところ。
 写真などでは知っていても、実物は(当然ながら)初めてという作品ばかりだった。モーツアルトの『魔笛』を上演するために描かれたスケッチは珍しくて感心。シャガールは意外に小品が多いと知った。

 大作の1つ、「彼女を巡って」はなかなか良かった。
 最愛の妻を亡くした直後の絵だとか。シャガールと言えば恋愛や結婚をモチーフにした絵が有名で、僕は「結婚式」という作品が好きだ。あれは日本にあったような気がしたけれど、どこだったかな。9年前に観たことは覚えている。自分用のお土産に650円のクリアファイルを買った。


 夕飯はお酒のつまみ程度。
 食材を買う時間がなかったから。イワシの缶詰を空けて大根オロシと一緒に。キムチ。実家製ラッキョウ。ツナ缶を空けて

細かく刻んだ玉ねぎ

にマヨネーズをかけて一緒に。納豆には白ネギたっぷり。自作ゆで卵の味噌漬け。チーズ。これはこれで良い食卓である。

 長い1日だった。
 睡眠不足でボーっとして、しかし意識は正常という状態だった。仕事もちゃんとこなしたし、久しぶりの独りデートも堪能した。シャガールが失ったものについて、残したものについて考える夜になった。ずばり、

シャガールの絵はキチ×イだが、

彼はそうではなかったはず。天才ではなく、僕は異才にあこがれている。良い1日でもあった。


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