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団体専用的なホテルのためだろう、朝食は7時から。温泉旅館としては早い。
さくさく済ませて激走へ。今日は津軽半島を1周しなければならない。明らか
に走破距離が長くなりそうなので、能登半島の二の舞になる恐れがある。頑張るしかない。
グイグイ走って津軽半島の根元にある金木町に9時過ぎに着く。
ここには小説家・太宰治の生家である「斜陽館」がある。珍しく前もってチェ
ックしておいた観光場所の1つ。古い建物がたまらなく好きなのだ。
入場すると係員のオバハンが案内してくれる。
まだ朝が早くて観光客が少ないせいなのか、僕1人のためにガイドをしてくれ
るというのだ。僕はこういうのが好きではないのだが、結果的に詳しく観ること
ができた。ありがとう、オバハン。
明治時代の大地主であった貴族院議員の津島何とかさん(太宰治の父)が建て
た豪邸である。
1階に11室、2回に8室の和洋折衷の大御殿。言っては何だが凄い田舎に、こ
んな無茶苦茶な建物をよく作ったと思う。オバハンによれば「ケタ違いの金持ち
」だったらしい。一時期は銀行業務もやっていたと(家の中でですよ!)いうこ
とで、金融執務室なんてものまである。
古いもの好き・歴史好きの好事家(こうずか=モノズキのこと)には一見の価
値があるだろう。普通の人がどうかは知らないけど。
10時過ぎに出発。
案内してもらったので見学に1時間近くかかったのだ。シジミで有名な十三湖に向か
う。それほどの田舎道ではない。今日も暑い。
お昼前に十三湖に着く。
やはり昼飯はシジミかねとガイドブックを見ると、ホテルが1軒だけある。そ
の手の(あんまり旨くはなさそうな)定食を出すという。行ってみれば「今日は
団体予約あるんで、休業」とのこと。チッ。
湖畔に海の家が連なったようなレストラン街状のものがある。
6軒くらいか。観光客とおぼしき人々は10人いないくらいの賑わい。しじみラ
ーメンが連呼されている。まあ食べるしかないのだろうなあと750円のそれを注
文。
白濁した、いわゆるしじみ汁にラーメンが入っている。つまり塩味。
旨いと言えなくはないが、こんな田舎まで来てわざわざ食べるほど旨いという
ほどではない。チマチマと身をほじくり出して食べるのがしじみの旨いところな
のか。そう考えないと救いがない。そんな感じ。湿度の高い曇り空。じりっと汗
が出る。
日本海を左手に見ながら北上。
2時ごろ、ついに来ました津軽海峡冬景色、じゃないや津軽半島最北端の竜飛
岬。「階段国道」で有名な339号線がある。岬で国道が行き止まりになり、輪を描
くようになった一部が階段になっているというだけのこと。珍しいと言えば珍し
いがね(-.-)
そして注目の『津軽海峡冬景色』の石碑。
これがなかなかのものです。高さ3メートル、横幅8メートルくらいでなかな
か立派。大きなスピーカーがついていて、本当に『津軽海峡冬景色』がかかって
いるのですッ!
北へ向かう 人の群れは
誰も無口でぇぇぇぇ・・・
岬の近くに駐車場があって、そこにクルマを停めたときから聴こえてくる。
ずっと演奏(ってのか?)されているのかと思うとそうでもない。灯台と前述
の階段国道を見物したあとで石碑に近寄ってみると、左上の写真の通りであった。
赤いボタン、見えますか?
直径10センチくらいなんですが、これを観光客が任意に押すと演奏されるので
す。
上野発の 夜行列車
降りたときからぁぁぁぁ・・・
これが1番の歌詞だと思っていたけど、実際には「北へ向かう人の群れは
・・・」の2番だけ流れる。
石碑に刻まれた歌詞も「北へ向かう・・・」だけ(画像は3番だと思われる)。
こっちが1番だったのかな? 説明板にも書いていないし、質問できる相手もい
ない。それはともかく、日記でくじらくんが書いていたように唄ったのかどうか
?
そりゃもちろん絶唱しましたよ。近くに人がいないタイミングをちゃんと見計
らいましたがね(-_-;)
今度は津軽半島の東側を通って南下する。
道路は空いていて、2時間ちょっとで青森市内に入れた。今夜の宿はJALシ
ティホテル青森。1泊朝食付き9000円くらいの宿だが、ディスカウントで食事な
し6800円。
シャワーなぞ浴びて夜の街へ。
雨が降ったりやんだりで蒸し暑い。小さな飲み屋に入る。綺麗な店。全ての客
は靴を脱いで畳の上にあがるシステム。若い夫婦だけで経営している。カウンタ
ー4席・テーブル4つ。カウンターといっても畳の上に高さ15センチくらいの可
愛らしい椅子がある。まだ早い時間なので客はいない。一人だから、もちろんカ
ウンターに座る。
・生ビール2杯
・ホタテ刺身
・日本酒1合
・鶏の手羽先焼き
僕より少し若いくらいの主人もヒマなのか、話かけてくる。
とうぜん「お仕事ですか」と訊かれる。違う。カタギじゃないから。一人旅。
激走中。嫁募集中(言わなかった)。明日行こうとしている下北半島がどれだけ
広いか説明してもらう。
「海岸沿いに行くんですか? そりゃあ大変なことになりますよ。最北端まで、
ここから5時間はかかります」
ふーんそうなのか。お会計は2800円。けっこう安いな。ホタテも旨かったし。
店を変える。はじめからハシゴする気だったのだ。暗くなった街を歩く。あま
り人の気配がない。繁華街のハズレにいるんだろうか。
ガイドブックにのっていた寿司屋を発見。
>カウンターは青森ヒバの1枚板
その一番端っこに案内される。なるほどいい香りがする。
ケッコウ高そうな店だ。メニューなんてものはありません。値段も出ていませ
ん。自分で注文できない客はお断りですから。そういう感じの大人の店。
まだ僕くらいの年齢だと似合わない。寿司屋のカウンターで、しかもそれが旅
先で入った一見さんで、しっとりと呑めれば大人だ。まだそこまではいかない。
あと10年もすればもう少し格好がつくかもしれない。早く大人になりたい。
・生ビール1杯
・握り5貫(おまかせ)
・日本酒1合
まだ呑めたし食べられたけど、お勘定も気になるし、そもそも落ち着かない。
ほろ酔い程度で引き揚げるのも悪くない。3850円。9時過ぎ就寝。
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