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前記:2011年8月の記録。 注:本稿は「テツわる九州新幹線編その2」の続き。
翌朝は人吉駅発10時8分。
幸いなことに晴れた。今日は久しぶりのループ線に乗るから、天気が良いにこしたことはない。快速『いさぶろう1号』はいわゆるレトロ列車。3両編成だが自由席は7席だけで、時刻表には
「基本的に指定席を予約しろ」
という趣旨のことが書かれている。なるほど、これもあって『霧島のんびり切符』は指定席が取り放題の設定になっているのだろう。
『いさぶろう1号』は観光列車でもある。
心配された乗車率は当然のように低く、3両で30人くらい。展望スペースがあり、肥薩線のガイドが置かれていて、車内放送も観光客向け。肥薩線はもともと鹿児島本線として敷設され、
この完成を持って青森と鹿児島が1本の鉄路で結ばれた
そうである。今の鹿児島本線は海の近くを走っているが、昔はむしろ山の中のほうが鉄道建設に向いていたのかもしれない。
☆誰も読まない詳細解説
正確には、今の鹿児島本線は八代→川内間が『肥薩おれんじ鉄道』として運行されている。鹿児島新幹線の全線開通にあわせ、その区間はJRから切り離されてしまったわけだ。後述するように、なぜ海側の路線を先に建設しなかったのか理由は不明。
人吉の街を出るとすぐに山あいに入る。
次の大畑(おこば)駅までは10キロ以上、時間にして17分ほど。大畑駅手前からループ線が始まる。観光列車らしく、交差するポイントで列車は止まり
「この位置をあとで見降ろすことになります」
とアナウンスが入る。もちろん見上げても「あと」に走る線路は見えないわけだが。
ここで僕も読者も根本的な疑問を覚える。
ループ線って何だ、ということ。路線図を見れば
・A地点からB地点に行くとき、鉄路が環状になって1か所で交錯すること
とわかるが、実感は湧かない。B地点が高い位置にあるから一気に登れないのだなとは理解できるが、具体的にどう交錯するのかがわからない。さあどうなるか?
大畑駅はスイッチバック。
このシステムが理解できない人はすでに読んでいないと思うが、説明は「ここ」のエッセイにある。勾配が異常に険しいのだな、とわかってもらえれば良い。ループ線の中にスイッチバックを持つのは日本でここだけである。
列車はまずホームに入る。
停車してから逆方向に進みだす。引き込み線でふたたび停止し、また進行方向が変わる。つまり、人吉を出たときと同じ方向に進む。ここから強烈な左カーブ。途中で大畑駅付近を見降ろす個所があり、やはり停車する。車内に歓声が上がる。す、すごい。感動の波。
わからない?
そういう人は、ウィキで「大畑駅」を検索すること。航空写真で見ると理解できる(僕の感動を理解できるかどうかは不明)。
しかし、なんでこんな山地に鉄道を敷設する必要があったのだろう。
20世紀初頭の工学技術では限界に近いつくりになっている。整理すると、
トンネル通過→山あいの駅→スイッチバック→ループ線
だから、技術の全てを投入しないと作れない。上述した海側の路線、つまり今の『肥薩おれんじ鉄道』を先に作れない事情が何かあったのかもしれない。このあたりを追求するのが
歴史系(建築工学系)テツ
であろう。僕は初心者だし、それ以上になろうとは思わないにしても。
吉松着11時21分。
快速『いさぶろう』は完全にループ線のためだけの観光列車だったとわかる。3分の接続で始発の『はやとの風1号』。途中の霧島温泉駅から
おじいさん8人組
に囲まれてうるさかった。隼人駅から日豊本線に入り、列車はスピードアップ。桜島を左手に見ているうちに鹿児島中央駅12時48分着。これも新幹線の開業で名称が変わった駅である。むかしは西鹿児島駅と呼ばれていた。
12時57分『さくら』414号。
熊本まで各駅停車。トンネルばかりで面白くとも何ともない。これは東北新幹線の盛岡→八戸間も同じ。山形新幹線のようなミニ新幹線をのぞけば、
最近の新幹線は景色が悪くて当然
である。トンネル工事の技術が高くなったからだ。乗車率が50%程度と混んでいたこと以外は予想通りである。新八代からは高架ばかり走って熊本に着いたのは13時56分。
ここで下車。
新幹線の切符は博多まで通して買ってあるわけだが、ここからは「もう1つの旅」が始まるからだ。今夜は熊本市内に泊まり、明日からは天草半島激走の旅になる。ということで今回の「テツわる」はここまで・・・。
違うッ!
熊本と言えば市電である。時間は午後2時過ぎ。熊本城を観光するのは今回の旅の大きな目標の1つであり、ホテルはお城の近くにあり、そこまでの足は市電がふさわしい。タクシーだのバスだの使っている場合かッ。
まだ、テツ旅は終わっていない。
僕はそのことを確信し、バス乗り場に向かう。この時間から1日乗車券を買うのは割りトクなのかどうか考えながら。
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