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未来志向 |
12月31日 |
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7時起床。
エッフェル塔が出てくる夢の詳細は忘れた。いつものように恥をさらすと、僕
はかなり年をとるまで凱旋門がエッフェル塔だと思っていた。
「そうか。どう見ても門にしか見えないが、これがヨーロッパでは『塔』と呼ば
れるのか。異文化であることよ。それにしても、どこが塔なんだ?」
たぶん、中学生くらいの時までそう思っていたはず。
昨日までの授業でも高校生相手に「お前ら『八代集』も知らんのか。人として
恥ずかしいと思わんのか」と説教していたけれど(爆笑された)、人のことは言
えたもんじゃない。「八代集(はちだいしゅう)」は古今集から新古今集にいた
る8つの勅撰和歌集のこと。日本史か、古文の文学史か、その両方か。
昨晩は1時間だけ遅く就寝したものの、からだが早起きに慣れているみたい。
寝具のシーツを洗おうと思って、ついでに朝風呂。残り湯で洗濯しようという
わけ。時間があるときの朝湯はきもちいい。食材がないので外出して焼鮭定食を
食べてくる。帰りにお豆腐屋さんで豆腐を買った。
まずは昨晩の読書感想文。
『女はなぜキャバクラ嬢になりたいのか?』三浦展・柳井圭雄を読了。
副題が「『承認されたい自分』の時代」であることからわかるように、三浦の
『下流社会』のサブテキストのようなもの。
特に明確な答えはなく、調査方法はうさんくさく、ヤッツケ本とも言えるが、
読んで損した感じはない程度。
そろそろ書いても時効だろうか。
僕はキャバクラが大好きだ、ではなくて(古い日記はヒマここ)昔の教え子の
話。もう10年くらい前かな。早慶上智と呼ばれる大学の1つに進学した女の子が
、大学に入るや否やキャバクラ嬢のバイトを始めたそうだ。
僕のような古い世代の感覚からすると、ハテと思う。
キャバクラ嬢って、頭わるいつーか、偏差値低いっつーか、アバズレ女がやる
もんなんじゃないの、みたいな感覚だ。しかし幸いなことに僕も当時よりは少し
大人になって、時代も流れて、そういう偏見はなくなった。じっさいにキャバク
ラに行った経験からしても、キャバクラ嬢は決して愚か者なんかじゃないし、ア
バズレでもないし、それなりに可愛いしねぇ(これ関係ないか)。
本書でおもしろいのは、後半のキャバクラ嬢(および)その予備軍へのインタ
ビューだろう。
キャバクラ嬢に限らず、それぞれはそれぞれの人生を抱えて職業を選択する。
あの職業だからこういう人間、という決め付けは全く成り立たない。アンケート
を取って数値化(平均化)すればある種の傾向はうかがえるにせよ、ひとさまざ
まということだ。だから本書にこれといった結論がないのはむしろ適切かと思わ
れる。
個人的には、聞いたことがあるけど意味のわからない言葉の説明をあちこちで
読めるのが面白かった。
・オラオラ系
・ツンデレ
・エグザイル
・ピーチジョン
上の2つが人間の属性を示し、下の2つは固有名詞。こんなこと知ったからどう
だってことでもないけれど、僕が『小悪魔 ageha 』なんて読むわけないからね(ど
こに売ってるんだよw)。暇つぶしに読むならそれなりの面白さなのでは。目指
せオラオラ系! ってことで(^^)
遅めの午前に夕食の買い物でスーパーへ。
大混雑。こんなに大みそかって混んでるもんだっけ、というくらい。不景気の
ために家で正月を過ごす人が増えた、というのはコジツケだと思う。明日の実家
帰りのオミヤゲも買って、急いで帰宅。
お昼過ぎに来客。
親友S君とその妻Y嬢と息子Zくんである。大みそかに来てもらうのは今年で
3年連続。さて、今日はZくんとコミュニケーションを取れるであろうか。彼は
4歳半になっている。ピンポーン。
僕「はい(ガチャリとドアを開ける)」
Z「こんにちわ!」
僕「(おっ、自分から喋ったぞ)こんにちわ。久しぶりだねえ」
Z「・・・」
僕「おじさんにいつ会ったか覚えてる?」
Z「7月」
僕「(おっ、好調な滑り出し)あれ、10月だったけど」
Z「・・・」
僕「前におじさんの家に来たのはいつ?」
Z「・・・」
僕「去年の今日だよ」
Z「・・・」
僕「もしもし?」
Z「・・・覚えてない」
なんとかコミュニケーションは成立したとみる。
僕は4人分の年越しソバを作る。もう蕎麦アレルギーの心配もないということ
。僕には4人前の料理を同時にやった経験がとぼしく、蕎麦はややノビてしまっ
た。
僕「Zくん、おいしい?」
Z「・・・」
僕「まずい?」
Z「・・・」
僕「ノビてて良くないとか麺にコシが足りないとか、まあ同じようなもんだが」
Z「・・・」
僕「おい、なんか感想ないのかよ?」
Z「・・・」
僕「去年は『うどん』って言ってたぞ」
Z「飲み物は?」
僕「(おっ、自分への興味はあるようだ)何がいい?」
Z「なにがあるの?」
僕「水と、牛乳と、えーとウーロン茶。ビールはダメだよな?」
Z「じゃあ牛乳でいいよ」
僕「ナマイキな口きくんじゃねぇ!」
牛乳を出し、食後のオヤツに至る。
手土産のお饅頭。Zくんはおいしそうに食べている。コミュニケーションを諦
めてなるものか。
僕「Zくん、どう?」
Z「おいしい!」
僕「あの、さっきの蕎麦は?」
Z「・・・」
僕「じゃあお蕎麦とお饅頭どっちがおいしい?」
Z「こっち!」
僕「即答かいっ! お世辞でもいいから蕎麦も旨かったって言え」
Z「・・・」
僕「お前なぁ、世の中そんなんで渡っていけると思うんじゃないぞ。お前が生ま
れたときからオレは世の中研究家として世の中のしきたりをだな、お前に教えこ
もうとしてだな、イロイロと工夫をこらし、おいコラ、聞いてんのか?」
全く聞いていない(-_-メ)
ふざけるんじゃないよ。食後はトランプ。ババ抜き、七並べ、神経衰弱という
基本ゲームは全て理解していたが、自分が勝っても負けても嬉しそうなのがよく
わからない。まだ勝ち負けの概念はないのだろうか。そこで、
「ダウト」
を教えてみたが、やはり理解してもらえなかった。母親Y嬢の意見。
Y「あのさぁ、こんな小さいときに『該当するカードがないときはウソをつけ』
なんて教えちゃっていいのかなあ?」
僕「世の中そういうもんじゃないの」
ご一家は夕方にお帰りになった。
Zくんは今夜は僕の家に泊まると思っていたらしく、少しだけ名残惜しそうな
そぶりを見せた。ちゃんとお別れの「バイバイ」はできたから、たぶん成長して
はいるんだろう。
暗くなったあたりで猛然とHPの作業。
我が「よびわる」は2月から新年度になるが、日記やエッセイなどの目次はも
ちろん1月に新年度版に切り替わる。かなりしんどい作業。
夕飯は少しだけ豪華に。
フンパツして買ったシマアジの刺身と生ウニがメイン。今年ももちろんTVは
7時のニュースしか見ないはずだ(今は31日の夕方6時半で事実上の先書きです
)。初詣にも行かないし、年が変わるまで夜更かしすることもない。ゆっくりと
時間をすごし、気がつけば新しい年が始まっているはずだ。
つらい1年だった。
それでもこうして無事に、何より健康に過ごすことができたし、ちゃんとお正
月も迎えられる。きっと来年は少なくとも今年よりはマシな年になるだろう。
未来にこそ幸福な自分の姿がある
と信じているから、生きていく勇気がわくのかも。よいお年をお迎えください。
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