予備校講師でわるかったな!





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C'est glauque! 2月15日
  8時起床。
  8時間睡眠だし、バレンタインでもないから起きなくてもいいのだが、晴れて いるので起きる。湿度が高い気がして布団は干さず。

  パソコンをあけてメールチェック。
  お、1通来ている。そうか、チョコを僕に献上する勇気のない女子がメールで 代用か。1日遅れというのが可愛いのう。誰からだろ?と件名を見る。

Subject : 常識判断を願う次第です

  と、ここまでは昨日の日記と同形反復。
  何のこっちゃいと本文を読むと、僕が借りていたマンガ返却の催促である。マ ンガは『のだめカンタービレ』1〜16巻。ええと、いつ借りたんだっけ。たしか ブックオフに売り飛ばした記憶が・・・ないか。

  過去日記を調べてみる。
  12月11日に借りて、12月30日に読み終えている。1回読んだだけでは身につか ないので復習しようと返却を先延ばししたみたいだ(他人事か?)。そのあとも 授業が少ない時期が続いて忙しく、授業がない時期も続いて忙しく、収入がない からコツコツと内職をやっていて忙しく、部屋の整理にも忙しく、家族が入院し て忙しく、新橋にモツ焼きを食べにいって忙しく、つまりヒマすぎて忙しいから 『のだめ』の復習ができなかったのだ。1つウソが混じっているが。

  さらに言い訳を重ねる。
  借りた本は3ヶ月返さなければ借主のものになるという不文律がある(何しろ 不文律だからどこにも記述が見当たらない)。今日あたりで2ヶ月と1週間が過 ぎたから、あと3週間トボければ『のだめ』は僕のものになったはずだ。非常に 残念だ。この催促メールを無視できるほどのワルではなかった自分にカンパイ!

「それ・・・ワルじゃなくて鬼じゃないですかね?」


  やむをえず9時から復習開始。
  いくらマンガでも、そして再読でも時間がかかる。内容を自分の中に入れてい かねば読む意味がない(覚えるのではない)。また同時に『のだめ』にはCDが 2枚ついている(正確には別売り)。『のだめ』はクラシックマンガなので、作 品中のいくつかの曲を抜粋したCDが売られているわけだ。

  そのCDを聴きながら、そしてその曲がマンガに現れた時点でその曲をじっく り聴く。
  これが非常に時間がかかる。読むだけなら1冊15分でいけそうだが、音楽鑑賞 を含めるから1時間で3冊がいいことろか。とてもじゃないが昼飯を作る余裕は なく、宅配ピザを取る。2時過ぎ、16冊を読み終えた。感想文は後日にエッセイ で。


  友人からのメール。
  今年の同志社大学のある学部の国語の問題について。メールに某大手予備校の 「入試正解速報」のリンクが貼ってあった(立場上ここではリンク省略)。なん だなんだと読んでみると、『ウェブ進化論』の一部が問題文になっている。しか も将棋の羽生善治と著者が対談したときの話題から引用されている。

  友人のメールは「この問題の答えってどうなの?」ということだが(彼は別に 入試マニアではない普通のサラリーマン・・・普通か?)、そのことはどうでも いい。
  というのは僕は英語の講師だから国語の入試問題のことは知らないからだし、 自分が読んだことのある問題文だと主観が入った回答を考えてしまうからだ。そ れなのに、なぜこの日記で話題にするかというと、

「国語業界でも変化のスピードが上がっているのか?」

と不思議に思ったからだ。
  『ウェブ進化論』については日記(ここ)とエッセイ(ここ)で取り上げたこ とがある。この本が発行されたのは2006年2月。つまりたったの1年で入試問題 の具材(??)にされているのだ。しかもかなりのベストセラーだから、読んだ ばかりの受験生もいたんじゃないかと心配になる。

  読んだことがある受験生が有利になるのではない。
  英語とは違って国語の場合、読者=この場合は受験生が、前述の理由で不利に なってしまうのではないか。しかも将棋の内容が本文に含まれているから、将棋 をある程度知っている人はかえって苦しいんじゃないか。

  ご存知のように、入試国語の「正解」は設問作成者の意図が最優先で、本文の 著者の意図や読者が読みとった意図は正解とはならないと僕でも知っている。
  英語の場合はほとんど「そんなの読み手・読み方によって違うじゃーん」とい う設問がないからいいんだけど、こういうのって受験国語界ではアリなんだろう か。もちろん「出された問題が全て」の世界であるから苦情を言っているわけで はないけど、ヘンなの。こんど国語の講師の先生に質問してみよう。「出ちまっ たらアリに決まってんだよッ!」と言われそうな気もする。


  CD店へ。
  わりにわかりやすい性格だとは思う。狙いをつけていた『モーツァルトピアノ ソナタ全集』を買う。ピアニストはリリー・クラウス。4枚組で税抜き3600円と いう安さ。彼女の曲は友人から借りて聴いたことがある。そのCDはピアノソナ タの1部を抜粋したもの。つまり全集を買うと重複してしまう部分があるが、身 銭を切って全集を揃えることによろこびがある。

  夕方からゆったりと聴く。
  同じ全集版はグレン・グールドで持っているから、初耳のメロディーはない。 しかし演奏者が異なれば違う曲に聴こえるのがクラシックというもの。グールド が異端の天才であるなら、クラウスはモーツァルトの正統な伝道者。無理のない 演奏。もはや検証できないことだが、作曲者のモーツァルト自身が演奏した姿を 追いかける。聴き手=パトロンを楽しませることを主眼にしたモーツァルトの正 確な模倣。僕がもっと聴ければいいのに。もっとたくさんの語る言葉を持てれば いいのに。


  最後に、件名について。
  glauque は「青緑色」の意味。転じて、C'est glauque! で「やだー、根暗ぁー 」ということなんだとか。それでいいじゃないか。

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