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essay エッセイ
とりあえず183冊 12月31日
  日記に書いたように、2006年は11月27日までに183冊の本を読み終えた。
  1年を通して2日に1冊ペースである。それなりにヒマだからできることだし、ヒマだからと言って必ずできるというものでもない。1日に1冊が最低ノルマとされる本当の読書家は笑わば笑え。

  このHPを始めたことをキッカケに、できるだけ本を読むようにしてきた。
  文章が書けるかどうかは読んできた本の量に左右される、そう思うようになったからだ。

  面白いかどうかというネタ的な問題ではない。
  ある程度まとまった文章を書くためには、そしてある程度継続して文章を書くためには、読んできた経験が必要だと気がついたのは2005年度になってからだ。


  2004年は100冊ちょっと、2005年は90冊ほどの読了。
  2006年は読み終えるたびに日記に「読了」と書いた。あるいは多少の書き忘れがあったかもしれないけど、大まかに2日に1冊は達成できたと自叙伝に残しておきたい。自叙伝?

  問題となったことがある。
  読了のたびに感想文とリンクを貼る作業をしなければならなかったことだ。ただ単に「読み終えました」ではウェブ日記に書く意味がない。読み終えて、それでどうだったのかを読者は知りたいはずだ。もちろん、僕が薦めた本が読者にとって面白いという保証はない(そんなことを求めるほうがおかしい)。それでも感想を書かなければならなかった。

  きつかった。
  どんな本でも、要約するのが難しいのである。引用文をどれにするのか決めるのも以下同文。本の紹介としてできるだけ公平であり、また一方でどこまで私的な偏見を入れるかを決めるのも難しい。



  ではここで、「俺的2006年ベスト文庫本」を発表したい。
  ワーストも発表したいが面倒なので略。単純に順位をつけるというより、偏見を根拠にしたベストの5冊である。


・しっとり系エッセイのベスト
『急な青空』南木佳士
※日記はここ

  読んでいたときはそれほどでもなかったが、まさに今このエッセイを書くために日記を検索してみたら、本書が最も印象に残っている。

  かなり根暗な文章の中に宿る希望の光がいい。
  彼の小説を読むつもりはないし、これからも続くであろう彼のエッセイ集を読んでも我がエッセイに加えることもないと思われるが(本書の続きの『冬の水練』の感想文はここの日記)、記憶に残る1冊になった。20年くらいたったら読み返してみたい。


・面白系エッセイのベスト
『帰りたくない!』茶木則雄
※日記はここ

  面白さだけなら土屋賢二もヒケを取らないが、何しろこの著者はこの1冊だけなので。
  読書家であることが文章を書ける必須素養であることを証明した本ということでここに名前を残す。たくさん書いたら質が落ちるかどうか検討できないのが残念なような嬉しいような。


・無茶苦茶系エッセイのベスト
『負け犬の遠吠え』
※日記はここ

  無茶苦茶だからこそ面白いのがエッセイというもの。
  2年前に社会現象になったということはおいといて、我がエッセイ読みの人生でも貴重な1冊に数えられるはずだ。文章の軽妙さを味わう余裕のある知的なエッセイ読みにオススメしたい。


・小説のベスト
『ドナウよ、静かに流れよ』大崎善生
※日記はここ

  正確にはドキュメンタリーというかノンフィクションかもしれない。
  しかし、小説や物語のありかたを考えさせられたという意味では1位に推挙できる。ただ、本書が大崎のピークだったか、と思う面もありフクザツな気分だ。


・全てのベスト
『モリログ・アカデミィ1・2・3」
※日記はここなど

  プロとしての文章書きの技術力と理系人間の思考能力を思い知らされた。
  人生というか、自己の存在の根幹を揺り動かすという意味では村上春樹に遠く及ばないが、ウェブ文章の名作に入れられる1冊である。
  幸か不幸か3ヶ月に1回新刊が出て、しかも3年も続く予定なので再読の楽しみが遠くなりそうなのがツライ。10年後に読んで再評価をしたらどうなるか、それは本書の力と僕の成長力を試すことになりそうで楽しみである。


  2007年度の読書目標。

  トータルは53冊=1週間に1冊ペースでいいと思っている。多読を乗り越えて精読へというわけではないが、何かに追われるように読むのはとりあえず1年ほどパスしようと思う。

  大切なのは小説の読了。
  久しぶりに、あるいは人生で経験の少ない「再読」に挑戦してみたい。10代に読みまくった、日本の古い小説がたくさんある。もう30代も後半になったことだし、良くも悪くも自分なりの再評価をするべきだと思っている。


            自分を探すな、自分に探せ。

  自分が深くなるための努力は捨てちゃいけないよな、と思いながら下らないエッセイも読んだりして。エセ読書家への挑戦が始まるのだ。
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